190回 日本人の「おもてなし」と韓国人の「分かち合い」

 

 

 何を食べてきたかを知れば、その人のことがわかるらしいです。

 

 人は食べたものから出来ているとも言いますし、美容と健康・長寿にも、食は重要だと誰しも思っておられると思いますが、お隣の韓国は、日本と同じように儒教を基本にした社会秩序がつくられてきたにも拘わらず、その文化や人となりは、かなり異なっています。

 

 で、よく言われているらしいのが、日本人の「おもてなし」と韓国人の「分かち合い」ということのようです。

 

立命館大学の朝倉教授によれば、

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 「韓国人と食事を共にしてまず感じるのは、彼らの食べることに対する旺盛なエネルギーです」と語る朝倉。

 

 韓国人の食に対する姿勢は食器にも表れているという。

 

 例えば、日本でも韓国でも食事に箸を使うが、韓国では箸に加えて匙(スプーン)を使ってよりダイナミックに食べる点が日本と異なる。

 

 加えて朝倉は言語表現にも韓国の食に対するエネルギーの大きさを見る。

 

 「韓国人は年を取ることを『年を食べる』と表現します。また夏バテは『暑さを食べる』、決心することを『心を食べる』というように、韓国語には『食べる』という動詞を使った表現が数多く見られます。これも食に対する関心の高さゆえだと分析できます」。

 

 また韓国と日本の文化・精神を「分かち合い」と「おもてなし」という言葉で分類した朝倉の興味深い著作がある。

 

 韓国では、来客があると茶碗に山盛りのご飯をよそい、食べきれないほどの料理で歓待する。

 

 食卓では中央に置いた鍋を囲み、皆が同じ鍋をつつく。一方日本では、高盛り飯は「縁起が悪い」と敬遠され、適度によそって「おかわり」をうながすのが一般的だ。

 

 同じように大皿を前にしても、各々が箸を伸ばす「直箸」を嫌い、取り箸で取り皿に分けるのがマナーとされる。朝倉は「この違いは儒教文化の制度化にある」と説明する。

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 今度の韓国の大統領選を見ても、文化や考え方の違いは一目瞭然ですが、その一因に「食」があるとのことです。

 

 世界中、それぞれの国や地域で得られる食材を使って、異なった食文化が発展してきていて、結果的に、違う文化や考え方が生まれたとすれば、昨今の日本食ブームは、世界中の人に日本人の文化や考え方を理解してもらうのに役立つのかもしれません。

 

 なので、結果的に、資源の奪い合いになって、マグロやうなぎなどが、食べづらい状況になったとしても、少しぐらいは、我慢しなければならないのかもしれません。

 

 どうしても食べたい方は、お早めに築地にお向かい下さい。