185回 スギ花粉症に対する新しい免疫療法!腸管免疫
スギ花粉の飛散は、ほぼ終わった季節となりましたが、最近では、黄砂によるアレルギーとか、PM2.5の飛散とか、何かと、煩わしい物体が、日本上空にやってきています。
健康被害を受けやすい方は、要注意な時期が続きますが、対策の基本は、やっぱり、スギ花粉症対策なようです。
日本人の30%以上が罹患しているといわれるスギ花粉症。
いまや国民病とも一部で呼ばれていますが、これまで、短期間で治す体質改善治療(免疫療法)はありませんでした。
そこで、新たに登場したのが、腸管免疫を利用した免疫療法とのことです。
近年、免疫学において、最も注目されている分野の一つが「腸管免疫」です。
腸管免疫の特徴として、
「免疫細胞の数が多いこと(特にIgA産生細胞とCD4+細胞が重要な役割を果たします)」と、
「感染症に対する防御のために免疫を活性化する一方、栄養成分を摂取するために腸内細菌や食物に対しては免疫を抑制すること」
などが挙げられます。
つまり、免疫力は上げるけど、アレルギー反応は抑えるというのが、腸管免疫ということです。
アレルギー反応とは、免疫異常のことで、異物に対して、必要以上に免疫機能が働くことで起こるため、アレルギー反応を抑える腸管免疫を使った手法は、俄然、注目されることとなったようです。
では、論文をどうぞ
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これまでになかった、カプセルを飲んで治す治療を新たに開発しました。
これは、腸管免疫を利用した新しい免疫療法です。
カプセルの中には、スギ抗原と多糖体の一種であるガラクトマンナンとの複合体が含有されており、これを花粉が飛散する前と飛散中の約2ヵ月の間毎日服用する方法です。
近い将来、アレルギー体質を改善する新しい治療につながる可能性があります。
九州大学研究グループは、2010年からこの新しい免疫療法の研究及び治験を行ってきました。
その結果、安全性も確認され、鼻症状、目の症状を軽減するだけでなく、治療のための薬物を減らす効果が認められました。
その結果は、最近掲載された論文含め4つの国際的な医学英文雑誌に発表されています。
スギ抗原-ガラクトマンナン複合体を用いた腸管免疫を利用した免疫療法は、従来の免疫療法では実現できなかった短期間で治療効果が期待できる新しい免疫療法です。
最新の研究(論文)では、標準的治療に比べ、約6割、抗アレルギー薬を減らす効果が認められました。
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もう一歩で、薬の開発に繋がるところまで、研究は進んでいるようですので、花粉症の皆様、あと少しの辛抱です。
腸管免疫は、スギ花粉症だけでなく、あらゆるアレルギーに対しても有効に働くようですので、食物アレルギーをお持ちの皆様にも朗報かと思います。
命に係わるほどの症状の方もおられますので、早急な開発が望まれるところです。
薬が開発されるまでは、腸管免疫によいとされる食べ物で、少しでも、症状を緩和しつつ、お待ちください。
<腸管免疫にいい食べ物>
1.発酵食品
ヨーグルト、みそ、納豆、キムチ、メンマなど
2.魚
ハマチ、ブリ、マグロ、イワシ、サンマなどの青魚
3.お茶
べにふうき緑茶、ルイボスティー、甜茶(テンチャ)、グァバ茶
4.コーヒー
5.食物繊維(以下は、食物繊維の多い食品)
1位 キクラゲ黒(74.2g)、
2位 干しヒジキ(54.9g)
3位 干しシイタケ(43.4g)、
4位 乾燥もののカンピョウ(25.8g)
5位 インゲン豆(19.8g)、
6位 乾燥ものの切り干し大根(17.9g)
7位 きな粉(17.1g)、
8位 乾燥ものの小豆(16.0g)
9位 乾燥ものの大豆(15.0g)、
10位 干し柿(10.8g)
お大事に!