エイジレスの176回 クジラの紫外線対策!HSP(ヒートショックプロテイン)とは?

 

 

 クジラさんのお話ですが、皆さんの美容にも関係ありそうな話なので、取り上げてみました。

 

 ゴールデンウィークも過ぎて、日差しが強くなる季節となってまいりました。

 

 当然、紫外線も強くなって、老化が加速しやすいほどの紫外線量となってきているのですが、紫外線に、直接さらされているクジラさんの皮膚には、紫外線を防御する仕組みがあることがわかったとのことです。

 

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 クジラが紫外線の悪影響を弱めるために用いる機構は種によって異なっていることを報告した論文が、今週掲載される。

 

 紫外線を浴びたクジラが皮膚病変を発症することが、これまでの研究で明らかになっている。

 

 遺伝子レベルでの紫外線曝露の影響を調べ、クジラの損傷と回遊パターンが結びついていることを明らかにした。

 

 いったん浮上すると海面付近で最長6時間滞在できるマッコウクジラは、紫外線曝露に対して別の応答の仕方をする。

 

 つまり、遺伝毒性ストレス経路を活性化させるのだ。

 

 マッコウクジラの場合には、この応答の一環として発現するタンパク質の1つであるHSP70の発現量が多いこととmtDNA損傷の量が少ないことが相関していることが明らかになった。

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 クジラさんは、お魚ではないので、時々、海上に出てきます。

 しかも、服を着ていません。

 

 そのため、海上に出ている間は、日焼けします。

 

 で、マッコウクジラさんの場合は、HSP70(ヒートショックプロテイン70)というたんぱく質をたくさん作り出すことで、お肌を守ります。

 

 

 

ヒートショックプロテイン(HSP)とは?
 
 ヒートショックプロテイン(以下、HSP)は、ストレスタンパク質とも言われており、細胞が熱や紫外線などの外部からの刺激(ストレス)を受けた時に、細胞を守るためのたんぱく質を発現することから、この名が付きました。

 HSPには、様々な種類(HSP10~110)があるのですが、そのいずれもが、生命にとって極めて重要な働きをしていることが、近年の研究で明らかになってきました。

 特に需要なのがHSP47とHSP70というたんぱく質です。ちなみに、HSP47の数字の部分は、分子量(分子の重さ)のことで、通常は、小さいほど、重さも大きさも、小さくなります。
 
 
HSP47
 
 体内でのコラーゲンの生産に不可欠な物質で、コラーゲンの生産量と比例関係にあります。つまり、HSP47が多いとコラーゲンがたくさん生産され、HSP47が少ないとコラーゲンも減ってきます。

 近年の研究で明らかになってきたのは、HSP47の減少がお肌のシワの数や深さに極めて大きな影響があるということです。つまり、シワになる大きな原因の一つにコラーゲンの減少にあるのですが、実は、HSP47の不足がコラーゲン減少の主因だったとのこと。

 逆に言えば、老化だからと諦めていた方も、HSP47を増やせばシワがなくなるかもしれません。かんばれー(^_^;)(増やし方は後程・・・)

 ちなみに、コラーゲンもタンパク質の仲間でして、その生成には、亜鉛、ビタミンC、エクオール、アミノ酸も必要ですので、お忘れなく・・・
 
 
HSP70
 
 たんぱく質を細胞内に運び込むお仕事をしているのですが、細胞が受けているストレスの状態に応じて働き方を変えながら細胞を保護しようとするため、結果的に様々な効果が報告されています。

 美容に関することだけでも、紫外線障害(炎症、遺伝子障害)から細胞を守る機能、色黒・シミの原因となるメラミンの抑制、シワ形成の抑制があります。わかりやすく言えば、HSP70が不足すると、単純に、シミ・シワが増加するということです。

 これまで、様々なシミ・シワ対策をしたのに効果がなかった皆さん、細胞レベルではHSP70不足が起きていたかもしれません。(はっきり言って、既存の化粧品ではHSP70を増やすことは不可能です(^_^;))
 
 もう一つ重要な働きとして、ミトコンドリアへ、タンパク質を運ぶというお仕事です。ミトコンドリアとは、細胞の中にある小器官で、細胞(人)が活動するための唯一のエネルギー源であるATPという物質を生産している命の源とも言われる器官です。

 HSP70は、このミトコンドリアにタンパク質を供給するという生死に係わる重要な役目があります。つまり、HSP70が不足すると、細胞活動が停止して、命に係わるような大変なことになりますので、美容どころの話ではなくなってきます。怖いですね・・・
 
 ミトコンドリアの詳しいお話は、【第11回 お肌が若返る?ミトコンドリアの活性化でリターンエイジング?】を参照ください。
 
 
HSPの正しい増やし方
 
 ヒートショックプロテインを体内で増やす方法はいろいろとあるのですが、一番簡単なのは、その名のとおり、細胞に熱を与えること。熱と言っても高温が必要なわけではなく、わずか3℃。つまり体温が、平熱から3℃上昇するとHSPは発現するとのこと。

 温泉に入るとお肌が綺麗になったように感じますが、その要因の一つに高温の湯船があったかもしれません。

 ということで、お風呂の温度は42℃で10分、40℃なら20分ぐらい(体温が38℃以上になるくらいの温度)が良いらしいです。但し、毎日する必要はありません。HSPはタンパク質なので、一度できるとしばらくは、効果を維持します。
 
 ※外気温の急激な変化による刺激で血圧が上昇することを「ヒートショック」と言います(HSPではありません)。

 

 高齢者は血圧の調節がうまくいかず、これが起こりやすいとのこと。熱いお風呂は、高血圧にはよくないので、ご遠慮くださいね。

 

何せ、日本人の死因、第5位に不慮の事故(ヒートショック死も含む)があるらしいので・・・
 

 熱以外に、ヒートショックプロテイン発現誘導剤なる薬もあるようですが、お好みで試してみてください。(HSPそのものではないので、効果のほどは、よくわかりません・・・)
 
 
 食べ物では、多糖類の仲間のβ-グルカンという物質に、HSPを増やす効果があるとのことです。
 

 <β-グルカンを含む食べ物>
 キノコ類では、アガリクス、ハナビラタケ、 メシマコブ、 マイタケ、 霊芝、椎茸など
 
 酵母類では、パン酵母、黒酵母、オーツ麦、大麦など
 
 藻類では、フコイダンや昆布(ラミナリン)などが挙げられます。
  (※ラミナリンは、免疫力アップ効果もあるらしいです)

  ヒートショックプロテインは、たんぱく質ですので、原料となるタンパク質やアミノ酸(特に必須アミノ酸のリシン:動物性たんぱく質に多い)の摂取も欠かせません。
 
 コラーゲンを増やすには、HSP、亜鉛、ビタミンC(アスコルビン酸)、アミノ酸などが必要です。HSPの材料としてのたんぱく質は、なんでもOKです。むしろ、体内で吸収されやすいものがお勧めです。(牛乳やチーズなど)
 

 皆様のご検討を祈念しております(*^。^*)