175回 「有機EL」っていう照明器具が簡単にできます

 

 

 最近は、LEDランプが普及してきて、電球や蛍光灯に置き換わっています。

 

 省電力で、10年ぐらい長持ちする環境にやさしいと言われている照明器具です。

 

LEDの特徴は以下の通り

 低電力なのに高輝度(まぶしい)

 長寿命

 指向性の強い光

 点光源

 小型

 高価

 

一方、有機ELの特徴は、

 面発光

 非常に薄い(曲がる照明も作れる)

 明るさの調整が可能

 構造が簡単

 発光色が多彩(発光材料が無限)

 発光効率がいい

 水銀ゼロで環境にやさしい

 

などです。

 

 有機ELとLEDは、どちらも発光ダイオードという種類の発光体の仲間なので、光る原理は同じです。

 

 LEDが点で発光するのに対して、有機ELは、面で発光し、曲げられるため、壁自体を照明にするなど、色んな用途が考えられています。

 

 で、このたび、有機ELの実用化に向けた画期的な発明があったようですので、ご紹介します。

 

 と言っても、ほとんどの方が、あまり興味のない話だと思いますので、適当に、読み飛ばしてください。

 

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 炭素と水素という二種の元素のみからなる「トルエン」を環状に
連ねた新しい大環状分子材料を開発し、これにより単一層という最も単純・簡潔なデバイス構造をもちながら、ほぼ理論限界となる高い効率で光を発する有機 EL を実現できることを発見しました。

 

材料を「さっと一吹き」するだけで照明ができあがるのです。


 それも炭素と水素というたった二種の元素のみをつかった有機物質(炭化水素)を材料につかったもので、有機 EL の設計指針を分子設計という根底から単純化することに成功したのです。

 

 元素のもつ性能を最大限引き出し活用するという、元素戦略的観点からも重要な発見です。

 

 研究グループでは、この新しい炭化水素材料が赤・緑・青という光の三原色すべてのリン光発光材料に適用できることまで実証しており、表紙図の写真に見られるような白色発光を行うデバイスの作製に成功しています。

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  右の図が、皆さんよくご存じの抗酸化物質として有名な「ポリフェノール」の一部分なのですが、上の図のトルエンと似たような形をしているのがわかると思います。

 

 つまり、トルエンという物質は、ありふれた物質でして、比較的簡単に手に入れることができます。

 

 そんな、どこにでもあるような原料で、照明器具を作れるというのが、今回の有機EL材料の発明でして、環境にも優しいし、安いし、長持ちなど、照明としての機能以外にも、色んな要望に応えてくれる材料です。

 

 製品化された暁には、是非とも、ご購入頂いて、普及を後押ししていただくと、地球温暖化対策にもなります。