163回 トランス脂肪酸で細胞が自殺するらしい・・で、動脈硬化になるとのこと

 

 

 トランス脂肪酸は、

 

・心筋梗塞や狭心症のリスクを増加させ、

・肥満を発症させやすく、

・アレルギー疾患を増加させ、

・胎児の体重減少、流産、死産の可能性

・母乳を通じた乳児へのトランス脂肪酸の移行

 

が、研究等で確認されているということで、生活習慣病の主犯格とも言われています。

 

 ということで、米食品医薬品局(FDA)は、食用油などに含まれ、肥満や心臓病との関連が指摘されるトランス脂肪酸を、2018年6月までに食品添加物から全廃すると言っております。

 

 つまり、既に、色んな研究から、有罪判決が出ているトランス脂肪酸ですが、今回ご紹介する論文は、これまでの罪状を裏付ける話です。

 

では、論文をどうぞ(ポイントだけでもいいです)

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<ポイント>

●食品中に含まれるトランス脂肪酸が細胞の自殺(細胞死)を促す仕組みを発見。 

●過剰な細胞死は、動脈硬化症の発症・進展につながる。 

●動脈硬化症等の、疾患メカニズム解明につながることが期待される。

 

<詳細>

 トランス脂肪酸は、トランス型の炭素-炭素間二重結合を含む脂肪酸の総称で、主に食品製造過程において人工的に産生されます。

 

 これまでの疫学的な調査から、トランス脂肪酸は動脈硬化症等の循環器系疾患や肥満・糖尿病等の生活習慣病のリスクファクターとされていますが、分子・細胞レベルでの知見に乏しく、その疾患発症機序はほとんど解明されていません。

 

 その結果、食品中含有量の最も高いエライジン酸をはじめとしたトランス脂肪酸が、細胞外 ATP 誘導性細胞死を著しく促進することを見いだしました。

 

 細胞外 ATP は、細胞膜上のプリン受容体 P2X7 のリガンドとして作用し、その下流でストレス応答性キナーゼ ASK1 を介した p38 MAP キナーゼ経路活性化によって細胞死を引き起こすこと
が知られています。

 

 詳細な解析から、トランス脂肪酸は、細胞外 ATP によって誘導される ASK1-p38 経路の活性化を亢進することで、細胞死を促進することが明らかになりました。

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 元々、細胞は、常に死んで、新しく生まれることによって、生命を維持しようとしています。

 

 その数、1日に3000億個とも言われています。

 

 で、トランス脂肪酸を食べ過ぎると、細胞が、たくさん死に過ぎて、動脈硬化など様々な病気の原因になるとのことです。

 

 

 脂肪酸には、シス型とトランス型というのがあって、自然界では、圧倒的にシス型が多いのですが、主に熱を加えることで、トランス型に変化します。

 

 また、常温で液体の植物油や魚油から半固体又は固体の油脂を製造する加工技術の一つである「水素添加」によって、トランス脂肪酸が生成する場合があります。

 

 水素添加によって製造されるマーガリンファットスプレッドショートニングや、それらを原材料に使ったパンケーキドーナツなどの洋菓子揚げ物などにトランス脂肪酸が含まれています。

 

 ということで、悪いことは言いません。特に、女性やお子様には、酷な話かもしれませんが、なるべく、上記の食品は避ける方が賢明です。

 

お大事に・・