161回 ヒトのサイタイ血で、老齢マウスの認知機能が高まった

 

 

 ヒトの臍帯血(さいたいけつ、Umbilical cord blood)とは、胎児と母体を繋ぐ胎児側の組織である「へその緒(臍帯:さいたい)」の中に含まれる胎児血で、造血幹細胞を多く含むため、白血病などの治療に活用されるています。

 

 で、今回、ヒトの臍帯血を、マウスに投与してみたらしいです。

 

 論文をどうぞ

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 ヒトの臍帯血漿中に存在するタンパク質が老齢マウスの海馬を再び活性化して、認知機能を改善したという研究結果を報告する論文が、今週のオンライン版に掲載される。

 

 この発見は、老化する脳の変性を標的とする治療法の開発に役立つ可能性がある。

 

 Tony Wyss-Corayたちの研究グループは、これまでの研究で、若齢マウスの血中因子を使うと老齢マウスにおける老化に伴う変化を阻害できることを明らかにしていた。

 

 今回、この研究グループは、これに似た効果がヒトの臍帯血漿にあることを実証し、この効果の原因としてTIMP2(組織メタロプロテアーゼ阻害物質2)というタンパク質を同定した。

 

 TIMP2は、発生初期に自然に生じるタンパク質で、老齢マウスに注入すると脳内に出現した。

 

 TIMP2を注入された老齢マウスは、学習、記憶、シナプス可塑性(脳が変化して新しい情報に適応する能力)に関するさまざまな試験の成績が向上した。

 

 まとめると、今回の研究によって得られた知見は、発生初期に存在する全身性因子が老化した組織を再び活性化する上で役立ち、TIMP2とTIMP2が標的とする細胞が新薬開発にとって有用な標的となる可能性があることを示唆している。

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 つまり、臍帯血に含まれるTIMP2というたんぱく質が、マウスの頭を良くしたということです。

 

 で、元々、ヒトの臍帯血なので、ヒトにも有効なはずだ!ということです。

 

 しかも、老齢なマウスに効果があるということで、リターンエイジングやアンチエイジングにもつながる研究だという事です。

 

 但し、臍帯血自体は、非常に貴重だし、白血病などの患者さん優先なので、人工的に、TIMP2というたんぱく質を作るか、TIMP2を作っている細胞を活性化させることができれば、凄いことになるね・・ということです。

 

 人の若返り研究は、急速に進化していますが、今回の成果も有力な方法の一つになるかもしれません。

 

 長生きして、お待ちください。