エイジレスの160回 イモリが絶滅寸前まで、追い込まれています・・

 

 

 水虫菌に感染されたことがある方なら、理解できると思いますが、一度、感染すると、根治が難しいのが真菌です。

 

 わかりやすく言えば、カビの仲間です。

 

 「121回 真菌が感染した脳組織が、アルツハイマー病の原因」でも、ご紹介しましたが、脳内に感染すると、アルツハイマー病を発症するという恐ろしい奴です。

 

 今回のお話は、人に対する話ではありませんが、シベリアの永久凍土が溶けて、未知のウイルスやバクテリアが発見されているといううわさもありますので、予備知識としては、持っていた方が宜しいかと思います。

 

 では、論文です。

------------------------------------------------

 ヨーロッパに生息するイモリの仲間が、真菌類の一種によって絶滅寸前まで追い込まれているが、これは、この真菌について新たに見つかった複数の特徴が併存することによる最悪の事態であることを報告する論文が、今週掲載される。

 

 この真菌は繁殖し続けているため、ヨーロッパ全土に早期警報システムを構築して、この真菌の動きを監視し、絶滅寸前の絶滅危惧種のイモリサラマンダーをex situ(自然の生息地以外の場所)で保全することを優先課題とする緊急行動計画を策定することを論文著者は訴えている。

 

 ヨーロッパに出現した病原性真菌のイモリツボカビ(Batrachochytrium salamandrivorans)に関しては、特に性的に成熟した成体のサラマンダーが数多く感染して死んでおり、最近になって、サラマンダーの個体群が著しく減っている。

 

 イモリツボカビは、姉妹種であるカエルツボカビ(B. dendrobatidis)と同様に運動性のある胞子だけでなく、丈夫な胞子と運動性のない胞子も産生する。

 

 その毒性は、水中と土壌中だけでなく、イモリツボカビ感染症の宿主である特定の両生類種でも維持されている。

 

 さらに、この真菌に感染しても生き続けているベルジャンファイアサラマンダーは、この真菌に対する抵抗力を持てない。

------------------------------------------------

 

 ということで、イモリやサラマンダーにとっては、大変な自体となっていますが、現在のところ、自然環境から隔離するしか、助ける方法がないようです。

 

 生物は、多様性を維持してこそ、種をつないでいくことができますし、食物連鎖などを通じて、他の種の生存にも関わっていますので、話は、イモリやサラマンダーだけに収まらないかもしれません。

 

 近年、外来種の侵入による生態系の破壊や、地球温暖化による環境の変化も言われていますので、いずれ、ヒトにも影響が出てくるかも知れません。