159回 老化は”錆び” 脂肪が錆びると、様々な病気になります
以前から、身体が酸化(サビ)すると、老化が促進されるとか、病気になるとか言われていましたが、その多くは、細胞に関する話でした。
で、今回は、脂肪も錆びると、大変なことになりますというお話です。
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九州大学大学院薬学研究院の山田健一教授らの研究グループは、体内の脂肪が酸化される際に生じる「脂質ラジカル」と呼ばれる中間体の検出技術(蛍光プローブ)を開発し、脂質ラジカルが実際に肝細胞がん発症に極めて重要な役割を担っていることを明らかにしました。
私たちの体内にある脂肪が「錆びる」、つまり酸化されることで、様々な病気を発症することが明らかになりつつあります。
これら脂肪の酸化過程には「脂質ラジカル」と呼ばれる極めて高い反応性を示す中間体が生成され、連鎖的かつ爆発的にその傷害を拡散・増幅させます。
しかしこれら中間体は、その高い反応性のために検出や解析が困難とされてきました。
研究グループは今回、脂質ラジカルと選択的に反応することで発光する蛍光プローブの開発に成功しました。
さらに、脂質ラジカルが肝細胞がんモデル動物のがん発症初期段階に発生しており、その後のがん形成過程においても極めて重要な役割を果たしていることを初めて明らかにしました。
この知見により、「脂肪の錆び」を標的とした、病気の予防・治療法開発の基盤研究となることが期待されます。
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脂肪をターゲットにした研究は、まだ、始まったばかりという段階ですが、既に、肝臓がんとの関連も明らかにされたことで、研究はさらに進んでいくものと思われます。
そもそも、人の細胞のほとんどは、水とたんぱく質、脂肪の塊で、その脂肪が酸化するということは、細胞が酸化したといっても良いぐらいです。
で、細胞が酸化すると、お肌がカサカサになったり、皮膚病になったりします。
また、血管細胞が酸化すると、弾力を失って、血圧が上昇したり、破れたりします。
つまり、脂肪の酸化は、美容にも、健康にも、重大な影響を及ぼしますので、気を付けたいところです。
抗酸化物質をたくさん含む食材を食べるとか、酸化しやすい食用油の使いまわしはしないとか、過度な日焼けは避けるとか、巷で言われる体の酸化防止対策は、概ね、有効なようですので、日頃から、気にかけた方が宜しいかと思います。
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