149回 オリゴ糖と言えばビフィズス菌のご飯ですが・・食料不足にも貢献
世界の人口は増え続けていて、現在、74億人ぐらいだと推定されています。
一年に、7,000万人ぐらい増えているということです。
(2年で、日本が1個増えている感じです・・)
2050年には、96億人と推定されていますので、皆さんの中には、人口100億人越えを経験される方もおられるかと思います。
現在のところ、世界の飢餓人口は、およそ8億人ということですので、既に、食料が足りない!なんて思われるかもしれませんが、食料の生産量的には、全く不足していないようです。
年間に約25億トンの穀物が生産されていて、もしこれが世界に住む74億人に平等に分配されていれば、1人当たり年間340キログラム以上食べられることになります。
日本人が実際に食べている穀物は、年間159キログラムなので、全然楽勝です。
ところが、お金もそうですが、食料も、平等に分配されることはありません。
やっぱり、経済力が強い国に、経済的に豊かな人や団体に集中する傾向にあります。
なので、食料不足を解消するためには、食料が不足していたり、食料生産が少ない国や地域の生産を増やす必要があるという事です。
で、そのための方策の一つに、乾燥地帯でも生産できる作物の開発があります。
最近発表された論文の中に、「干ばつに強いイネの実証栽培に成功」というのがありましたので、ご紹介します。
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理研は、植物が乾燥耐性を獲得するうえでラフィノース属オリゴ糖の基質であるガラクチノールが重要な物質であることを、2002年に報告しています。AtGolS2を過剰発現させたシロイヌナズナは、ガラクチノールを有意に蓄積し、乾燥条件でも長く生き抜きます。
(中略)
この遺伝子組換えイネは原品種と比較して、最大で約70倍という多量のガラクチノールを蓄積することを確認しました。
さらに、複数年に渡る圃場試験の結果、30日間を超える無降雨期間という厳しい干ばつ条件下でも単位面積当たりの収量は最大で157%増加し、高い収量を維持できることを実証しました。
本研究成果は、米国の科学雑誌『Plant Biotechnology Journal』に掲載されます。
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これから、アフリカや南米の乾燥地帯で、大規模な実証実験をするとのことですので、将来の食糧不足を緩和してくれるかもしれません。
こんな素晴らしいイネですが、オリゴ糖が重要だったとのことですので、少し、オリゴ糖についてお話しますと、
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オリゴ糖とは
単糖が数個結合した糖類。ラフィノース属オリゴ糖は、ガラクチノールを基質として合成されるラフィノースやスタキオースを含み、植物の乾燥ストレス耐性獲得に関与すると考えられている。
ラフィノースには、ビフィズス菌を増やす作用(整腸作用)があり、カロリーオフの甘味料として利用されている。
天然の動植物中にもともと含まれているオリゴ糖は、ほとんどがスクロース、ラクトース、トレハロース、マルトースなどの二糖類であり、
三糖類では、ラフィノース、パノース、マルトトリオース、メレジトース、ゲンチアノースなど。
四糖類ではスタキオースなどが知られている。
また、ブドウ糖が環状に結合したオリゴ糖として、シクロデキストリンがある。
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といことで、オリゴ糖と一口に言っても、沢山の種類があります。
で、ビフィズス菌を増やして、整腸作用を高めるオリゴ糖は、「ラフィノース」というオリゴ糖なので、騙されないようにしてくださいね~
ラフィノースは、キャベツ、ブロッコリー、アスパラガスなど植物に広く含まれています。
なので、最近、便秘気味なんて方がおられましたら、ビフィズス菌系のヨーグルトと一緒に、キャペツ、ブロッコリー、アスパラガスを重点的に食べてみては、如何でしょうか?
市販のオリゴ糖関連製品に、ラフィノースが入っていればば、それでも宜しいかと思いますが、私は、見たことがありません。
因みに、わたくしは、毎日、どれかを食べています。
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