エイジレスの145回 悪者扱いされている活性酸素ですが・・植物が活性酸素で病原菌を撃退する仕組み

 

 

 活性酸素と言えば、身体を錆びさせて、老化を促進する憎い敵と思われているかと思いますが、実は、病原菌をやっつける重要な免疫システムの一つでもあります。

 

 ということで、今回は、日頃、悪者扱いされている「活性酸素」くんの弁護をしたいと思います。

 

こんな論文です。

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 将来、予想される爆発的な人口増加などの問題から、耐病性作物の創出による食糧生産の増大に大きな期待が寄せられています。

 

 植物は、細胞膜型免疫センサーで病原菌の侵入を認識し、活性酸素の生成や病原菌の侵入経路の閉鎖、抗菌性物質の合成といったさまざまな防御応答を誘導します。

 

 しかし、この免疫センサーがどのように細胞内で情報を流し、これらの防御応答を誘導するのか、その詳細な仕組みは解明されていませんでした。

 

(中略)

 

 免疫センサーから活性酸素生成までの情報の流れを詳細に解析したところ、免疫センサーは「BIK1」という因子を介してRBOHDをリン酸化し活性化させ、活性酸素を生成する防御応答を誘導することが分かりました。

 

 さらに、BIK1を介してRBOHDにより生成された活性酸素は、毒性因子として直接病原菌を攻撃するだけでなく、情報を伝達する因子として働き、病原菌の主な侵入経路である気孔を閉じて病原菌の侵入を防ぐことが分かりました。

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 植物においても、活性酸素は、病原菌を退治するための強力な武器で、しかも、病原菌が侵入したことを察知して、すぐさま、活性酸素を作って、病原菌をやっつけるというメカニズムが解明されたということです。

 

で、この仕組みを、上手にコントロールすると、病原菌に強い作物ができて、農薬を減らすこともできるし、食料増産にもつなげられるということで、実用化されると、人類にとって、とっても有益な研究という事になります。

 

 このように、「活性酸素」は、世の中のために、大変役に立っているわけですので、一方的に非難するのは、可哀そうなので、少しは、優しくしてあげてください・・