131回 活性酸素が増え、老化を促進する糖化とは?リターンエイジングできない理由
ダイエット&ビューティーフェアの案内を見てたら、講演のテーマに「抗糖化」というのがありましたので、テーマにしてみました。
老化を促進する原因の一つに活性酸素があります。わかりやすく言えば、身体を錆びさせてしまう悪い奴です。
なので、活性酸素に打ち勝つことが、老化の進行を食い止める鍵ではあるのですが、これがなかなか難しいというお話です。
ちょっと古い論文ですが、
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炎症と糖尿病合併症における終末糖化産物とその受容体の役割
糖尿病に起因するグルコース値の上昇は、種々の重要な生化学的メカニズムを活性化させる。
すなわち、グルコース値の上昇により、終末糖化産物 (AGE)の生成が促進されると、その主要なシグナル受容体、AGE 特異的受容体(一般にRAGE と略称される)を介して、活性酸素種の生成が亢進し、炎症のシグナルカスケードが活性化される。
後略
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論文が言いたいことは、糖尿病の合併症の原因として、終末糖化産物(AGE)が悪さして、活性酸素を増やす結果、炎症がひどくなるということなのですが、ダイエット&ビューティーフェアでの糖化のお話は、美容と健康にかかわる話です。
糖化とは?
糖化とは、血液中に長く糖分が残っていることで、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)が糖化(グリケーション)し 変性して硬く脆くなり、AGEs(Advanced Glycation Endroucts)という最終糖化産物となることです。
最終糖化産物は血管病変を起こし、私たちのからだをどんどん老化させます。
そして、一度できてしまうと、取り除くことができないという厄介な代物です。 糖尿病患者の方が発症する腎臓病や失明、四肢の神経障害などの合併症は、これらの糖化産物の影響です。
もちろん糖尿病の方だけでなく、健康や美を目指す方にとっても糖化は大敵です!
AGEは、シワ、シミ、たるみ、代謝異常、脱毛、キューティクルの損傷、骨粗しょう症などの原因となっていることも、最近の研究で明らかになっています。
また、AGE は殆どの老化現象、認知症、癌、高血圧に深く関与していることもわかってきました。取り除くことができないため、リターンエイジングの妨げにもなっています。
で、今できることは、炭水化物を食べないことです。
AGEの原料は、糖とたんぱく質ですが、さすがに、たんぱく質は、身体の中にたくさんあって、取り除くと死んでしまうので、防げるのは、糖しかありません。
糖の原料のほとんどは、炭水化物ですので、なるべく減らすしかありません。但し、全く食べないのは、逆に、老化を促進しますので、食後の血糖値があまり上がらいない程度に食べるのが、コツです。
(※人のほとんどの細胞は、糖と酸素からエネルギーを作っていますので、減らしすぎると、「低血糖」という症状が現れ、代謝が低下して、老化が進みます)
実は、AGEを除去する薬は、既に、あります。
2年ほど前のお話ですが、久留米大学医学部教授 山岸昌一先生がアプタマーという物質の一種に、AGEを除去する効果があることを発見しています。
アプタマー(Aptamer)とは、特定の分子と特異的に結合する核酸分子やペプチド(アミノ酸の塊)のことで、医薬品の分野では、とっても期待されています。
病気の原因物質とだけ結合するので、効率的に除去したり、分解したりすることができます。
なので、AGEとだけ結合してくれるアプタマーを摂取すれば、シミやシワなんてのは、あっという間になくなって、一気にリターンエイジングになるかもしれません。
当時(2年前)、5年後の実用化を目指しておられると言われておりましたので、あと3年です。
東京オリンピックとともに、楽しみにしてお待ちください。
くれぐれも、血糖値を上げ過ぎないように。。。