127回 オーソモレキュラー医学とは?東洋的に言えば、医食同源
東洋では、ずっと昔から「健康は食べ物から」みたいな思想があって、日本では、「医食同源」という言葉が有名です。
ところが、この「医食同源」という言葉は、意外に新しい言葉でして、1972年に、NHKの料理番組『きょうの料理』の特集「40歳からの食事」において、臨床医の新居裕久先生が発表したものと言われております。
一方、西洋では、20世紀初頭、何人かの医者はビタミンで病気を治すことができるのではないかという仮説を立て、1930年代より大量のサプリメントが処方されてきたようです。
それらの健康に対する効果は失望的であったようなのですが、1967年にライナス・ポーリングさんが、「オーソモレキュラー」という言葉を発明して、再び、注目されるようになったようです。
オーソモレキュラーとは?
「自然に存在する栄養素などを分子レベルで最適な量で投与し、病気の治療・予防をする医学」という定義になっています。
オーソとは、矯正、修正という意味で、モレキュラーとは、分子という意味でして、「分子矯正医学」とも言われているようです。
医学的には、「体の中に自然に存在する栄養素(ビタミン、ミネラル、アミノ酸などを必要に合わせて投与する、栄養療法を治療レベルを高めた医学」ということのようです。
従って、治療において、オーソモレキュラーを適用する場合は、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、必須脂肪酸などを分子レベルで計算して、最適量を投与するということになります。
目的としては、
①薬の副作用の軽減、
②治療や予防に必要な体力と心を作る、
③全身のアンチエイジングなど、
病気の治癒というよりは、補助的な意味合いで使われているようです。
農業の進化が、オーソモレキュラーを必要とする
日本には、元々、医食同源の文化があって、皆さんも、積極的にサラダを食べたり、青汁飲んだりと日頃から、医食同源を意識していると思いますが、オーソモレキュラーが医学に取り入れられた背景に、農業の進化があります。
現在の農業は、利益を生むための産業の一つという位置づけになっており、機械化などにより、生産の効率化が図られてきましたが、効率化の方法の一つに、品種改良、肥料過多、農薬の増加などがあります。
その結果、昔に比べると、多くの農産物で、栄養素が減っています。1973年と2005年のデータがありましたので、一例を記載します。
1973年 → 2005年
トマトのビタミンC 200mg → 15mg
大根のカルシウム 190mg → 24mg
ホウレンソウのカルシウム 98mg → 49mg
極端な事例を紹介していますが、大量生産用に開発された野菜の多くは、軒並み、栄養素が減っています。つまり、昔の何倍もの野菜を食べないと、ビタミンやミネラルが不足するという事になります。
(※私の母も、しっかり野菜を食べているにも関わらず、栄養失調状態と言われたことがありました。)
このことが原因かどうかは、因果関係がはっきりしていませんが、近年の傾向としては、花粉症などのアレルギー患者の増加やガン患者の増加などが起きています。
また、頭痛、不眠症、めまい、慢性疲労、倦怠感など、病気とは言えないまでも、不定愁訴(患者が訴える症状)の増加も起きているようです。
とういことで、世間的に
「正しい食事療法、サプリメント摂取による病気の治療と予防」
が、必要となってきたということです。
高齢化や医療費の増大などの問題もありますので、その内、国レベルで、オーソモレキュラーを強制してくるようになるかも知れません。
<関連記事>
第85回 食べて治す 薬をつくる農作物(モレキュラーファーミング)
加齢により不足した若々しさを保つための成分補給に!美容食品「NMN ACTIVATOR」