本ブログのテーマ「リターンエイジング」にぴったりの研究報告です。
例によって、マウスでの実験結果ですが、人でも同じことが起きそうな感じですので、取り上げてみました。
論文によれば、
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体内組織の修復能力は加齢とともに低下し、このことは老齢の個体における骨折の治癒に長時間を要することに反映されている。
ただし、こうした加齢による修復能力の低下を引き起こす分子機構については十分に解明されていない。
今回、Benjamin Almanたちは、若齢と老齢のマウスの血流をつなぎ、骨髄移植を実施して、若齢マウスの体内を循環する血液細胞から分泌される分子が骨細胞の再生能を高めることを明らかにした。
また、この分子(化学物質か小型タンパク質と考えられる)が若い血液細胞のみから分泌されることも判明した。
この分子は、骨細胞の一種である骨芽細胞におけるシグナル伝達分子βカテニンの濃度を低下させることによって働く。
そして、Almanたちは、このことが高密度の新しい骨の形成と関連していることを発見した。
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とのことです。
つまり、若い血液細胞からのみ分泌される物質によって、骨細胞の再生が高められるとのことです。
「第41回 GDF-11は、若返り薬の本命か?進化するリターンエイジング」で、若いマウスと老齢のマウスをくっつけて、血液を交換すると、老齢マウスが若返るというお話をしたことがありました。
この時の若返り物質は、「GDF-11」というたんぱく質で、「骨そしょう症改善効果」や「脳細胞の増加」にも効果があるとのことでしたので、今回の報告も、同じような効果のあるタンパク質かもしれません。
いづれにしても、若さを保つために必要な何らかの物質が、加齢により失われていることは確かなようですので、人への応用が待たれるところです。
間違いなく、ニーズは高いですし、経済的利益も多そうですので、恐らく、一生懸命、研究していることと思います。
それまで、頑張って、長生きしましょう!