米国Brown大学で、勉強しすぎというところまで、勉強したらどうなるかの研究結果が報告されました。
柴田和久先生・佐々木由香先生・渡邊武郎先生は、脳における明確な神経化学的な変化に裏打ちされた過剰学習の新たな効用を発見したとのことです。
過剰なほど勉強した経験がない方(私も)には、実感がないかもしれませんが、勉強し過ぎると、普通の学習とは違う記憶の固定化が起こるということです。
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今回の研究結果は,以下のように要約される.
まず,知覚学習において,課題の遂行能力に向上がみられる状態において訓練を停止すると,学習は不安定な状態となり、新たな学習により失われる.
そのような変化しやすい不安定な状態は,低次の視覚野において興奮性が優位であることに対応する.
ところが,課題の遂行能力に向上がみられなくなったのち,なおも訓練を行った場合,学習は急激に安定化すなわち固定化し,新たな学習の影響をうけないどころか,その成立を阻害するようになる.
この急激な固定化は,低次の視覚野において興奮性が優位の状態から急激に抑制性が優位になる過程と対応する.
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ということです。
つまり、普通に勉強するとある程度のところで、向上が見られなく(不安定)なるのですが、それでも勉強すると、急激に学習効果が上がるとのことです。
で、実験では、記憶が、固定化されるまでにかかった時間は、3.5時間のようです。
この研究から得られた勉強方法としては、
1.ひとつの技能だけを効果的に学びたいときには,それをマスターしたと思っても我慢してさらに練習をつづけると,それが急激にしかも強く固定化されてほかの学習に干渉されなくなる。
2.複数の似たような技能を短時間に学びたいときには,マスターするまえに訓練をやめないと,過固定化によりほかの学習ができなくなる。
ということです。
試験前の一夜漬けのお勉強は、勉強しすぎると他の教科のお勉強に影響がでるので、満遍なく勉強した方がよさそうですが、 本物の実力をつけたいときは、理解したと思っても、さらに勉強した方がよさそうです。
来年、受験を控えておられる方は、まだまだ、十分な時間がありますので、一度、勉強しすぎるぐらい勉強(過剰学習)してみては、如何でしょうか?
脳を鍛えると、脳細胞が増えるとも言われていますので、脳に不安のある方にもお勧めです。
健闘をお祈りいたします。