第110回 ビールを飲んでも、血糖値はあがりません
体内を流れるブドウ糖の量が「血糖値」です。
ブドウ糖の多くは、でんぷんなどの炭水化物を食べて、体内で消化・分解されたときにブドウ糖が生まれます。
ご飯やパンなどの炭水化物を食べると血糖値があがりますので、糖尿病やメタボ、ダイエット中のかたは、極力食べないようされてこられたと思います。
中には、ビールの炭水化物を恐れて、大好きなのに、ビールを控えていた方も少なくないかと思います。
ビールに含まれる炭水化物の量は、ビール100g中3~4%程度なのですが、ビールは、水(水分)が92%程度含まれますので、残りの8%中、約半分を占める炭水化物は、血糖値を上げる要因と言われていました。
ビールには、炭水化物は、ほとんど含まれていない
ほとんど知られていませんが、ビールの成分表に表示されている炭水化物は、
ビールの炭水化物 = 炭水化物 + 食物繊維
でして、純粋な炭水化物だけの表示ではありません。
また、ビールの多くは、冷やして飲まれることが多いため、ビールのでんぷん質の多くが、レジスタントスターチとなっており、消化されないでんぷんに変化しています。
レジスタントスターチは、でんぷんでありながら、消化されないため、体内では、食物繊維と同じような働きがあることがわかっています。
で、結局のところ、ビールには、体内で利用可能な炭水化物は、ほとんど含まれていません。
つまり、ビールを飲んでも、血糖値はほとんど上がりません。
これまで、血糖値上昇を気にして、ビールを控えてこられた皆様、ビビらずにお召し上がりください。
文科省さんも、これまでのやり方(成分の分析法)が間違いだと言っておりますし・・
--------------------------------------------
国際的にも、炭水化物を従来の差引き法(全体から水分、たんぱく質、脂質、灰分等を差し引いた残りを炭水化物と見なして算出する方法)ではなく、実際に含まれる各成分を積み上げて求めることが推奨されています。このため、主要な食品について分析や推計を行い、利用可能炭水化物(でん粉、糖類)、糖アルコール、有機酸の成分値を「炭水化物成分表編」としてまとめました。
--------------------------------------------
これまでの分析方法とは、色んな成分を測定した残りを、炭水化物としていたということなのですが、実際には、炭水化物ではないものが、多く含まれていたので、今後は、炭水化物だけを直接測定しましょうということです。
それだけ、炭水化物だけを測定するのは、難しかったということなのですが、栄養士さんは、このいい加減とも言える数値で、献立を考えていたわけですので、ちょっと微妙なお話です。
ということで、今後、多くの食品において、炭水化物の含有量表示の数値が小さくなってくると思われます。
但し、炭水化物の数値が減ってくるという事で、今までよりたくさん食べても良いかというと、表示される数値がかわるだけで、食品そのものは何も変わりませんので、減量の必要がある方は、これまで通り控えめにされることをお勧めします。
皆様の健康をお祈り申し上げます。
<関連記事>
第20回 ダイエット中でも、スイーツ爆食の言い訳にも使える?レジスタントスターチの効能