第102回 脳はさらに若返る!失った記憶の復元に成功!

 

 

 前回、「第101回 脳は若返る!チョコレートを食べるだけらしいです」の反響が宜しかったので、今回も、「脳の若返り」のお話です。

 

 近年、物凄く進化している脳科学の世界ですが、これまで、この分野の発展を妨げてきた「呪い」があります。

 

 

『カハールの呪い』

 

 100年ほど前のノーベル賞科学者で、「サンティアゴ・ラモン・イ・カハール」というスペインの神経解剖学者です。1906年にノーベル生理学・医学賞を受賞しています。

 

 今日の神経科学・神経解剖学の基礎を築き上げた巨人として位置づけられているほどの凄い方なのですが、この方が言われた言葉が、今でも多くの人の脳に焼き付いていて、専門家でさえ、その呪縛から逃れられないとのことのようです。

 

その言葉とは、

 

「成人の脳の細胞は、死んでいくばかりである…」

 

 

『カハールの呪い』と言われています。今では、間違った学説として認識されているのですが、未だに多くの人が、信じているようです。

 

 

で、面白い実験がありまして、

 

 平均年齢68歳のウクレレサークルメンバーと、東京大学クイズ研究会の大学生とで、関連のない単語を覚えてもらう記憶力対決を行いました。

 

 すると、なんとお年寄りが、現役東大生相手に勝つという驚きの結果が得られたそうです。

 

 で、なぜそうなったかというと、実験の前に、カハールの呪いが嘘だったということをお年寄りの方々だけに教えて、脳に関するネガティブな考え方を払拭したとのこと。

(東大生は、呪いにとらわれたまま・・)

 

 

 実に簡単です。

 

 「自分の脳は、若い」と思うだけで、脳は若返るということです。

 

 アルツハイマー病などの病気の方は別として、そこそこ元気な方は、年を取ったからと言って、諦める必要はないとのことですので、新しいことに、どんどんチャレンジしましょう!

(体力的なところは、如何ともしがたいところはありますが・・)

 

 

失った記憶の復元に成功!

 

 アルツハイマー病の患者は、記憶が失われておらず、思い出せないだけかもしれない・・

 

 そんな研究結果を、理化学研究所が、昨年、発表しました。動物実験を通じ、アルツハイマー病で失った記憶を人為的に復元できたということです。

 

 アルツハイマー病は、物忘れなどの記憶障害から始まり、認知機能全般が徐々に低下する病気です。

 

 海馬の異常が原因とされる一方、記憶を新しく作れないためなのか、形成された記憶を正しく思い出せないためなのか、詳細なメカニズムは、解明されていませんでした。

 

 

 ねずみさんの実験では、アルツハイマー病のADマウスの脳内に光を照射し、記憶を保存する細胞群「記憶エングラム」というところを刺激したところ、「すくむ」動作を見せたとのこと。

 

 この「すくむ」という行動は、ねずみさんが、アルツハイマー病になる前に示していた反応とのことです。(上図は、光刺激「OFF」のときと、「ON」のときのすくみ具合を測定したもの)

 

 つまり、「光の刺激で記憶を復元できた」ということで、記憶を作っていても、アルツハイマー病の方は、思い出すことができない可能性が示唆されたということです。

 

 まだ、人への応用は先の話ですが、記憶力に関しては、衰えることはなさそうですし、チョコレートで、脳細胞も増やせますので、頑張って、チャレンジしてください。

 

 

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