第74回 若返り薬と言われた成分たちの今 (メトフォルミン編)
私は糖尿病ではないので、知らなかったのですが、今回のテーマのメトフォルミンは、糖尿病の薬として、非常にメジャーな薬でして、60年ほど前から、出回っているようです。日本では、1961年に承認されたとのことで、これだけ長く使われているわけですから、安全性についても問題はなさそうです。
薬としては、非常に長い歴史の中で、メトフォルミンを服用している患者さんが長生きしているということから、「若返り薬」的な扱いになってきています。
化学的には、アミノ基(NH2)が、いくつもつながった構造で、化学式は「C4H11N5」。
身近な化学物質としては、肥料などにも使われる尿素(NH2)2COが近いかと思います。
元々は、カレガソウというマメ科の植物から抽出されたグアニジン (HN=C(NH2)2)成分ですが、副作用が強かったため、化学的な処理を施し、改良したグアニジン誘導体というのが、メトフォルミンの本当の姿です。
グアニジン誘導体は、いくつか作られたようですが、残っているのは、メトフォルミンだけということですので、よっぽど良い薬だったのでしょうね。
メトフォルミンの長生き効果
Vladimir N Anisimov (Nov 2013), Metformin - Do we finally have an anti-aging drug?, 22, 12, Cell Cycle, pp. 3483–3489, doi:10.4161/cc.26928という論文の中で、マウスや線虫、ハエの寿命が延びたとの報告があります。(※エイジングレス系の研究では、よくあるパターンです)
英カーディフ大学の疫学調査では、メトフォルミンを服用している患者さんは、8年長生きしたとのことです。
また、健康な人よりも長生きしたとの結果も得られたとのことです。
但し、糖尿病でないと、服用できない薬なので、単純にメトフォルミンだけの効果かどうかは、何とも言えませんが、18万人を対象とした大規模調査なので、説得力はあります。
そんな実績もあって、アメリカのFDAって機関が、正式に、研究を開始するということですので、期待して待ちましょう!
待てない方は、今のところ、糖尿病になって、薬として手に入れるしかありません。
長生きするために、病気になるというのも、リスクが大きいと思いますので、自己責任でお願いします。