どこにも行けない
僕は黄ばんだ部分に向けて煙吐いた。
天井の他の部分はピンク色なのに、あの部分だけが黄色い。
あそこはどうして黄色いんだろう。
雨漏りをしているからだろうか。
このホテルに泊まった人間たちが皆、あの部分に向かって煙を吐いているからだろうか。
僕はセックスが終わった後に煙を吐く男たちを想像してみた。
真っ暗なホテルの一室で、女の寝息を聞きながら吐く煙。
きっとセックスという行為はあの煙のように消えていくものなんだろう。
そしてどこへも行くことができない代物なんだろう。
ドアが開いてバスタオルを体に巻いた女が入ってきた。
「もう煙草吸ってるの。嫌な人ねぇ。」
ベッドに横になっている僕を見ながら女は言った。
「そうかなぁ。」
僕は黄ばんだ天井を見たまま言った。
「そうよ。」
近寄ってきてバスタをはずそうとする女を僕は無理やりベッドに押し倒した。
「嫌な人ねぇ。」
「そうかなぁ。」
「そうよ。」
そして僕たちはセックスをした。
女は同じ撮影会社の同期だった。
世間でよくある話がそうであるように、二人で飲みに行った何度目かに寝た。
付き合おうとどちらかが言い出したわけじゃない。
世界の歯車の一部の流れに身をまかせただけのことだ。
それ以上でもないし、それ以下でもない。
そいうものだ。
それから僕たちは度々会社帰りに、こうやってホテルの一室でどこへも行けない行為をしている。
二人とも結婚しているわけでもないし、付き合っている人がいるわけでもない。
だから余計に割り切れた付き合いができたと言っていいだろう。
だが今日は違った。
天井の他の部分はピンク色なのに、あの部分だけが黄色い。
あそこはどうして黄色いんだろう。
雨漏りをしているからだろうか。
このホテルに泊まった人間たちが皆、あの部分に向かって煙を吐いているからだろうか。
僕はセックスが終わった後に煙を吐く男たちを想像してみた。
真っ暗なホテルの一室で、女の寝息を聞きながら吐く煙。
きっとセックスという行為はあの煙のように消えていくものなんだろう。
そしてどこへも行くことができない代物なんだろう。
ドアが開いてバスタオルを体に巻いた女が入ってきた。
「もう煙草吸ってるの。嫌な人ねぇ。」
ベッドに横になっている僕を見ながら女は言った。
「そうかなぁ。」
僕は黄ばんだ天井を見たまま言った。
「そうよ。」
近寄ってきてバスタをはずそうとする女を僕は無理やりベッドに押し倒した。
「嫌な人ねぇ。」
「そうかなぁ。」
「そうよ。」
そして僕たちはセックスをした。
女は同じ撮影会社の同期だった。
世間でよくある話がそうであるように、二人で飲みに行った何度目かに寝た。
付き合おうとどちらかが言い出したわけじゃない。
世界の歯車の一部の流れに身をまかせただけのことだ。
それ以上でもないし、それ以下でもない。
そいうものだ。
それから僕たちは度々会社帰りに、こうやってホテルの一室でどこへも行けない行為をしている。
二人とも結婚しているわけでもないし、付き合っている人がいるわけでもない。
だから余計に割り切れた付き合いができたと言っていいだろう。
だが今日は違った。
