すごい覚悟や…!
その後ろ姿はまるでジャンヌダルクの様…!!!
たぶんこんな事を堂々と言うと、女の嫉妬や不満から攻撃対象になりかねないんやろうけど、それを一手に引き受けてでも前に立つつもりなんや!
ビシッとキメた真琴ちゃんはどんな顔してるのか、後ろ姿だけではようわからんけど、背中からものすごい覚悟だけは伝わってきた。
俺の勝手な直感やけど……、この真琴ちゃんの宣言は、軽音部立ち上げの為っちゅうより、俺らのバンドの為?
あと半年で卒業する滝本やイケメンの為ちゅうより、もっと先を見越してやってるんとちゃうか…?
真琴ちゃんも俺と同じなのかもしれへん。
自分の“これから”を、このバンドにまるっと賭けてるんとちゃうやろか…!?
おもろいがな、俺らは同志ちゅう事や!
よっしゃ、俺も旗揚げ宣言にのっかったろ!
俺は真琴ちゃんの後ろから口を挿んだ。
「それにな、俺も言っとくけども、勝手に葬式みたくイケメンのラストライブにせんといてや!」
「…!!?」
「俺らはこれからもバンドやってくんやで!それに、俺が絶対今年中にもう何回かやったんねん!滝本が文句垂れるかもしれへんけどな!」
真琴ちゃんも今回が今年最後のラストライブやと思ってたんやろな。
驚いた顔でゆっくりと振り返った。
「……ほ、ほんとう?」
「当たり前や、活動せな部活ちゃうがな!俺がケツ叩いてでもやったんねん!」
イケメンは横で俺の宣言にたまげて、「勝手に何言ってんの!?」と反論したが、俺は無視をした。
真琴ちゃんは何も言わへんかったけど、相当うれしかったんか顔がふわっとほころんだ。
まるでふんわりと蕾がひらいた花のような……
この学校に来てから初めて見た、真琴ちゃんの本当の笑顔…!
ズキューーーーンッ!!!
俺は誰もが認める硬派な男や…!
せやけど、この顔にはさすがに己の心臓が貫かれ飛び上がるのを感じた。
「ぐはぁぁぁっ!!!」
「……!!?」
「い、いや、何でもない!そそそ、それよりバンドの事はまかせとき!」
真琴ちゃんはとても嬉しそうな顔でコクリと頷いた。
だが、横で俺を思いっきり小突く男…!
何やうっとおしいなぁと横を見ると、イケメンが白い目で俺を睨んだ。
「ちょっと石黒、いい格好しすぎ…!適当な事言って、廉ちゃんに怒られるよ!?」
「いい格好ちゃうで!そ、そんなんと、ちゃうちゃう!俺は本気や!」
「………」
「そんな事より、真琴ちゃんもサッサと行こうや!手紙なんてイケメンの下駄箱にでも突っ込んとけばええねん!」
「いいの、先に行って。私は後から行くから。」
「わかった。ほなな…!」
俺はイケメンを連れて理科室を出て、階段を上がった。
イケメンはまだ俺をジロジロと白い目で見とる。
「さっきの何あれ。もしかして石黒、真琴ちゃんの事……」
「そ、そ、そんなわけあるかいな!俺は日本一硬派なロックスターやで!?惚れられる事はあっても、俺は誰にも惚れん!!」
「ハァ~?バッカじゃないの?廉ちゃんを超える本物の中二病だね、石黒は…。」
「しかしイケメンはホンマにとんでもない人気モンやな~!こちとら邪魔臭くてまともに歩けへんがな!」
「俺だってヤダよ…」
「ま~、しゃーないわな!その調子で今後もバンドの為に頑張ってくれや!」
「別に俺、何にも頑張ってないってば…!」
すると、階段の上の方から滝本と滝本の女が仲むつましげに笑う声がした。
のんきに女の所にサッサと先行きよって、のび太顔のくせに意外と結構な自己中やな、滝本め…!
先、メンバーに「おつかれ」の一言もないんかいっ!!
だが、音楽準備室の扉を開けると、そこには誰もおらんかった。
「さっき、こっちで滝本の声しいひんかった…?電気もついてるやんか。」
「あれ~?俺もそんな気がしたような気もするけど、気のせいかも。 っていうかさ、廉ちゃんは彼女いるし、さっきまでいたけどすれ違いで急いで帰ったのかもよ?」
「マジかいな!?打ち上げは!?」
「打ち上げぇ!?」
「はァ!?自分ら、ライブの打ち上げせぇへんつもりかいな!?」
「俺はもう遅いし帰るよー。俺達リーマンじゃないんだし、学校にバレたら怒られるよ?」
「ほな、反省会は?今日のライブ、振り返って話し合ったりせぇへんの!?」
「反省会~!?」
足音がして振り返ると、静かに真琴ちゃんが後ろに立っていた。
カメラの三脚やら、署名の束やら、大量のファンレターやら、なんやえらい大荷物や。
「相沢あいこは?」
「滝本と滝本の女ならおらんで。今、二人の声したような気ぃしたなって話してたとこや。」
「でも、荷物がある。」
本当やがな!
滝本の鞄と、もう一つ、いかにも運動部の女子的な鞄がピアノの椅子の上に置かれていた。
気ぃつかへんかったなー…
真琴ちゃんは何か気になったのか、急にハッとして振り返り、廊下の方を見た。
「…………」
「どないしてん?」
「今……、ううん、なんでもない。」
「?」
「真琴ちゃん、何で滝本の女捜してんねんな?」
「……あぁ、あの女のせいでもう最悪よ!これ見て…!」
真琴ちゃんは持っていたビデオカメラを開き、俺とイケメンに向けると、再生ボタンを押した。
そこに写っていた映像はさっきのライブの様子。
せやけど、肝心の音が全く聴こえてこーへん。
なぜなら、どうやら横で女が号泣しとったんか、うおんうおん泣き叫ぶ声ばかり。
かなりヒドイ映像になっていて、思わず俺とイケメンはプッとふきだした。
「うっわぁ~!あいちゃん、なぜに号泣!?」
「なんやこれ!うるさっ!だはははっ!」
「せっかく録画してたのに…!あの女の横に置いたのが間違いだったわ。」
「でも、素直なあいちゃんらしいね!泣くほど喜んでもらえて、廉ちゃんも本望なんじゃない?」
そのイケメンの一言で、真琴ちゃんの額に怒りの青筋が入った。
イケメンも真琴ちゃんの地雷を踏んでしまった事をすぐに気がついたらしく、一瞬たじろいだ。
「あ…、あ~、じゃあ俺はそろそろ帰ろうかなっ…!師匠が待ってるかもしれないし!」
「滝本の師匠、今日来てたんか~!」
「うん、俺が招待したんだ。だけどさー、師匠、ケータイとか持ってない人なんだよね。とりあえず、師匠の家に帰ってみるよ。」
「さよか。それやったら今日は打ち上げできんわな。ほな、師匠によろしゅう言うといてや!」
「うん。真琴ちゃんも今日はありがとう。おかげで帰りやすくなったよ。」
「大した事じゃないわ。おつかれ。」
イケメンが足早に去ってしもうて、なんと、俺と真琴ちゃんの二人きりになってしもうた!
さすがに女子と二人は気まずい…。
せやけど、真琴ちゃんはそんな事気にせんと、イライラして廊下に出た。
「ちっくしょう、相沢あいこめ…!戸締りしてやるわ!!」
「あ!?まだ滝本の鞄もあるやん!?」
「うるさい、知るかっ!アンタもサッサと出て!」
そう言い捨て、俺を教室から出すと、ポケットから鍵を取り出し、ほんまに戸締りしてもーた。
そして、またさっきの大荷物を抱え歩き出したが………
なんと突然立ち止まり、持っていた物を全て壁にブン投げた。
署名の束はなんともなかったけども、バラけてたファンレターはバラッと音を立てて飛び散った。
「うおおっ!?」
「~~~~っ!!」
突然のヒステリーにたまげ、一瞬何が起こったのかわからへんかったけども、反射で体が勝手に落ちた物をかき集めていた。
そして、ふと真琴ちゃんを見上げると………
なんと、目からボロボロと大粒の涙が零れ落ちていた…!
ななな、泣いてるぅぅぅぅ~~~っ!!?
どどど、どないしたらええねんっ!?
女子なんか慰めた事ないよって、どうしたらええんかサッパリわからん!
「どどど、どないしてん!?」
「あんな女大っ嫌いっ!なんで!?もう嫌っ!!」
「あんな女って、滝本の女の事かいな!?」
「そうよ!あんな子のどこがいいのかぜんっぜんわかんないっ!ブスだしバカだし天然だし!!」
「さっきのビデオの事でそんなキレてんのかいな!?今更しゃーないやん!」
「もうそれはいい!そうじゃなくて、あーもおっ!私、やっぱりこんな風じゃマネージャーなんてやっぱり無理!」
「えええ!?ちょ、ちょっ…、待ってぇな!真琴ちゃんおらんかったら、軽音部絶対無理やで!」
「…………」
「…………」
しばらくお互いに無言……。
俺、どないしたらええんか全くわからん!!ヤバイ!!
せやけど、少し間を置いたら落ち着いたんか、真琴ちゃんは荷物を拾い上げると、なぜか俺に手渡した。
「重いから持って」
「……へ?あ、ハイ、持ちますっ…!」
そして、真琴ちゃんはなぜかズンズン階段を登り始めた。
「ど、どこ行くねん!?」
「屋上」
「な、なんでや!?」
「たぶん滝本先輩と相沢あいこがいるから」
「!?」
「さっき足音がした。階段を登る音がしたから。」
「ちょ……っ…!?」
真琴ちゃんは隠し撮りのプロや、気配を感じ取るのに長けてるんやろう。
心の中ではすぐに「止めとき!」と叫んだが、あからさまに怒っている真琴ちゃんにそれは言われへんかった。
これはヤバイな…と思いながらも、俺は荷物を抱え、すごすごと真琴ちゃんの後をついていった。
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前話:第18章「ステージライト」その後2-1話
続き:第18章「ステージライト」その後2-3話
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最悪であります…!うちのPS3が盗まれてしまいました(TωT)
ディスクの読み込みができなくなってしまった為、旦那くんが修理に出したのですが、ソニーじゃなく、安さにつられて謎の業者に出してしまったようで、そのまま連絡が取れなくなり、どうやら盗まれてしまったと…。
オィィィィ~ッッ!!!ヾ(▼ヘ▼;)
もう今更しょうがないですが、何故こうなるのか…(-""-;)
旦那くんのPSNにクレジット履歴があったので、PSNのパスを変更したり、さらに念の為クレジットカードを解約したりと色々とドタバタしました。その後何事もないといいのですが…。
そういう修理盗難はプレステに限らず結構よくある事らしいので、みなさまもどうぞお気をつけくださいませ(ノДT)
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