深夜のSAの空間は異次元みたい
意味も無く辺りをふらふらしてみる

カーテン潜ってiPod聞きながら、流れる道路や風景見るのも何とも言えない

目が覚めて、外を眺める
自分の見知らぬ風景が広がっている時のワクワク感は異常


考えただけで旅がしたくなる




―――午前三時



昼間は喧しかった蝉の鳴き声が嘘のような静寂の中


赤と黄が点滅を繰り返すだけの信号機に
落ち着いた、生暖かい風が吹き抜けて行く



辺りは真夜中、闇の世界
昼間とは別の空間が広がっていく―――





―――水槽内のエアポンプがこぽこぽと軽快な音を立て泡を放出している

水槽の中にいるただ一匹のくらげがふわふわと漂っている―――



―――テレビだけが光を発し、この空間とは異の存在を持つ
しかし、画面はモノクロの砂嵐を映し出すだけ

誰も知らない砂嵐の中では新しい情報が構築されていく―――





―――波の音が聞こえる

暗闇の波はまるで巨大な生物に見え
テトラポットが作り出す得体の知れない暗闇の中へそのまま引きずり込まれそうになる―――





―――均衡の崩壊とは突然やってくる
蝉が少しずつ鳴き出し、信号機は元通り活動を始める
どこかからホーホーとキジバトの鳴き声も聞こえてきた―――





―――僕は今日のニュースを見ながらトーストを食べている


…そろそろ出発しなくては
でないと遅刻だ
朝飯を手早く済ませ、急いで支度にかかる
日課であるくらげの餌やりも忘れない

「いってきます」
誰も居ない部屋に言う、いつも通りの事

海に反射した朝日が海岸通にある僕の家を眩しく照らす



真夜中の空間とはまた違った空間が急速に広がっていく、蝉は本調子で鳴き始めていた、さあ朝だ―――