以下、感想を書いていますので、未読の方はネタバレにご注意ください。
タイトルにもある通り、物語の主な舞台は武蔵境です。
一見すると、花畑や武蔵境について否定的に描かれているように感じるかもしれませんが、これはあくまで比喩表現です。特別な場所だからこそ、物語が生まれる、そんな意味が込められているのだと思います。
物語では、(足立区の)花畑から武蔵境への移動が、山手線(円環)の内側で、ありくいのお告げによって導かれる形で描かれています。このあたり、いかにも春樹さんらしい展開ですね。
花畑は、便利で住みやすい場所ではあるものの、名前に反して実際には「花畑」は存在しません。一方、武蔵境は主人公の叔父さんによって「文明の果て」と表現され、ここから新たな物語が始まっていきます。
この対比は、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を連想させます。
武蔵境が「世界の終り」に、花畑が「ハードボイルド・ワンダーランド」にそれぞれ対応しているように感じられました。