バクテリオファージは、複数の細菌種の間で病原性遺伝子を広めているようだ。
Science 2009年1月2日号
細菌に感染するウイルスである「バクテリオファージ」
このバクテリオファージというウイルスは、細菌への感染を通じて病原性にかかわる遺伝子をほかの細菌へと伝達する。通常、ファージ(ファジー)は同種の細菌にのみ感染するため、遺伝子の伝達は同じ細菌種内でおきると考えられていた。
アメリカ、ニューヨーク大学のチェン博士らは、ファージによる遺伝子の伝達が、当初考えられていた以上に広い細菌種の間で行われていることを報告した。
遺伝子解析を行った結果、黄色ブドウ球菌がもつ病原性遺伝子が、ブドウ球菌同士と同じくらいの頻度で、別種であるリステリア菌にも伝わっていることが確認された。博士らがブドウ球菌に寄生するファージをリステリア菌に感染させたところ、一部のファージは細菌を破壊することなく、遺伝子の伝達を行ったという。
今回の発見は、ヒトに感染する病原体の進化を考えるときにも重要な意味をもっているだろう、と博士らはのべている。
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ちなみに
日本人がノーベル賞受賞を果たした研究。オートファジーとは
オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。
酵母からヒトにいたるまでの真核生物全般に見られるものであり、特徴は以下のとおり。
・細胞内での異常なタンパク質の蓄積を防ぐ。
・過剰にタンパク質合成したときや栄養環境が悪化したときにタンパク質のリサイクルを行う。
・細胞質内に侵入した病原微生物を排除することで生体の恒常性維持に関与している。
・不要になったたんぱく質などを細胞自身がリサイクルし、新しいたんぱく質を作る材料にしたり、細胞内をきれいに保つ役割などをしている
auto-はギリシャ語の「自分自身」を表す接頭語、phagyは「食べること」の意で、1963年にクリスチャン・ド・デューブにより定義された。
(参考Wikipedia)
このオートファジーの研究でノーベル賞を受賞したのが、大隅良典栄誉教授!!
オートファジーの仕組みを分子レベルで解明したそうです。
詳しくは東京工業大学HPで
http://www.titech.ac.jp/news/2016/036467.html