世界最強の武器は「スポンジ」?無限強化で洗い殺す?!

 〜スポンジに憑りついたポンコツ精霊と目指す、いつか最強の物語〜

第38話 ボスが動き出す

「急に早くなったのぉ。大分仲間が減ってしまったわい。」

やっとの思いで隻眼のゴブリンまでたどり着いたが、相手はまだまだ余裕だった。

こっちはついさっき習得した「【清掃】グライド」でスピードはぐんと上がったし、あとは攻撃が通用すれば。

さっきは弾かれたが、ダメ元で斬撃を飛ばす。
また簡単に弾き飛ばされる。

「この程度ならば、あいつにはまだまだ及ばんな。」
「急に誰の話をしてるんだ!」
「ホッホッ。それもそうじゃな。わしの目を奪った勇者と比べるのは早計だったの。」

急に何を言い出すかと思えば、勇者?
そんなやっと進み出したばかりの自分がそんなそんな存在と比べられるものの訳がない。

「こっちも攻撃させてもらうかの。
《ストーンバレット》」

身長と同サイズの石つぶて、ここまでのサイズは石つぶてではなくて岩だろう。
普通では回避出来ないスピードで飛んできたので、【清掃】グライドで回避する。
回避した先にオオカミを失った元ゴブリンライダーのゴブリンが剣を構えている。

【清掃】グライドのスピードのまま剣を受けようとすると、元ゴブリンライダーの剣を弾き飛ばして、片腕の肘から下が無くなった。
「ギャオォォ!」
腕をなくした元ゴブリンライダーが咆哮する。
冷静さを無くした元ゴブリンライダーに【清掃】グライドのスピードで体当たりして弾き飛ばす。

実質1対1にやっとなった。

「ほぉ。まだ少し舐めていたかの。《ファイヤースピア》《サンダースピア》」

投げるようなモーションで両手から魔法を放つ。
なんでゴツいくせに魔法ばっかりなんだ、コイツ。

直線的に飛んでくる二つの魔法を回避した。
さっきの《ストーンバレット》の残骸にぶつかって岩が弾ける。

強力なやつじゃねぇか!

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第37話 ピンチはチャンス

ゴブリンライダーがまた攻撃をしきた。
やはり、色違いは上位互換のようで、さっきまでとは攻撃のスピードが段違いだった。

辛うじて回避できるが、鎧を掠める。
すぐに攻撃に転じられないのと、鎧の一部がすぐに壊れてしまうので、
ジュリさんの変形した鎧で耐え、【硬化】を突き破られるそばから直すしかなかった。

何個か【分裂】で作っていた武器で、斬撃を飛ばしていたので、
攻撃すること自体はできたが、ゴブリンライダーの攻撃を受けているうちに武器に付与していた【硬化】もすぐに切れていた。

「このままだとろくに攻撃できないぞ。」
『もっと早く動けないの?このままじゃやられちゃうわよ。』

そう言われても、動くスピードなんてそんな簡単に上げられない。
【身体強化】も発動しているが、ゴブリンライダーの速度には追い付かない。

『あんたもオオカミに乗るとか、すごいスピード出す手立てを考えなさいよ。』
「そんなのあるわけないでしょ。弱い方のゴブリンライダーだって倒し切っちゃってるんだし。」
ただただ、無理難題を押し付けられイライラしそうだった……
何か改善する手立てがないことには、ジリ貧だ。

またしても、ゴブリンライダーが体当たりしてきて、
避けきれずに鎧の脚部分が破損する。

体勢も崩している状態で追撃の《ファイアーボール》が3連発で放たれる。
避け切れないので、ジュリさんの魔法で防御することにした。
「ジュリさん、《ウォーターウォール》を」
『オッケー』

目の前に水の壁が発生し、《ファイアーボール》は飲み込まれた。
脚の部分が破損していたので、また【清掃】が発動され、水の勢いを堪えられず、後ろに下がった。

「ん?これで移動スピードは何とかできるんじゃ?」
『なにぶつぶつ言ってんのよ。またオオカミが来てるわよ。』
「ジュリさん、後ろに《ウォータージェット》撃ってくれます?」
『なんで、そんなところに撃つのよ。敵が来てるのよ』
「いいから、早く!」
『そこまでいうなら。《ウォータージェット》』

後ろの壁に向かって《ウォータージェット》が飛んでいく。
その水圧の反動でゆっくりとユーリが動き出す。

「これで相手より早く動けるだろ。」
滑るように前に進み出したので、足の【清掃】を意識してもっと滑るようにした。

斜めから体当たりをかまして来たゴブリンライダーを躱し、上がってきたスピードでゴブリンロードを狙う。

いきなりスピードが倍近くになった事で反応が遅れていたゴブリンロードの首を真っ二つにした。

「よし!これでイケる。全員ぶった斬ってやる。」

そのままゴブリンライダーを追走して斬りにかかる。
スピードは上がったが、同等程度だった。
水平に斬りかかった斬撃はオオカミを乗り捨てたゴブリンライダーだけが生き残った。

この場合はゴブリンライダーと呼んでいいのだろうか。

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第36話 ラスボスは強敵だった

「うっひょー。飛ぶ斬撃はヤバい。この斬撃には少年のロマンが詰まってるからこの威力なのだ!」

斬撃の快感からまた徐々に壊れていくユーリ。
しかし、強力な遠距離攻撃で残すはゴブリンライダー、一体のみ。

威力が上がった事で攻撃は捨てて、逃げ回るようになったゴブリンライダー。
飛んだ斬撃が回避されて、隻眼の巨大ゴブリンに向かっていく。

ちょっと不意打ちのような攻撃だったので、期待してしまったが、片手で簡単に弾かれてしまった。

「なかなかの威力のようだが、まだまだじゃの。」

さっきまでの浮かれた気持ちが萎んでいく。
まだ強敵が残っている。
「気持ちを引き締めないと。」
最後の一体を切り刻む。
斬撃の快感ににやけそうなのをグッと堪える。

「これだけ出来るなら十分じゃ。最後はワシらが相手をしてやろう。楽しませておくれ。」

隻眼のゴブリンが立ち上がる

「命懸けでな。」

その一言を発した瞬間に場の空気が重くなり、息が吸いづらい。
カラダがすくんで上手く動けない。

『ちょっと、しっかりしなさい。あのデッカいヤツにビビってんじゃないわよ。』
ジュリさんに話しかけられてちょっとだけ落ち着いた。
しかし、その瞬間に吹き飛ばされた。

色違いのゴブリンライダーの体当たりだった。
鎧に穴が空き、【硬化】も使えなくなっていた。
追撃で飛んできた《ファイヤーボール》も今までより大きくてかわしきれない。
空いた穴の部分にも当たり燃えてきていた。

「ジュリさん、火消して。」
ジュリさんの魔法で消火し、元鎧だったスポンジが水で湿る。

ゴブリンライダーとゴブリンロードの強さが今までの敵とは段違いだった。
隻眼のゴブリンはどれくらいなのだろうと思うと恐ろしい。

濡れた元鎧の足元は【清掃】が発動しているのか少し滑る。
急いでジュリさんに壊れた鎧を飲み込んで変形し鎧を直して、向き合った。

どうにか逃げ出した方がいいように思うが部屋は締め切られ、逃げ場はないようだった。

「どうすればいいんだ……」
『さっきみたいにぶった斬ればいいのよ。』

ピンチすぎてツッコむ気力も湧かなかった。

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第35話 快感

『発動した武器だから出来ると思うわ。』
「魔法は相殺してしまうのに武器ならいいってあり。」
『まぁそんなものだから。まずはやってみましょ。』
『《ウォーターエッジ》』

あっさりとした説明をされたので、新たに発動された《ウォーターエッジ》を打つ。
さっきまでとは段違いのスピードで飛んでいく《ウォーターエッジ》。

ゴブリン達には当たらないが、壁には大きな傷がついた。

「にゃにこれぇ。威力しゅごぃ。」
「もっともっと!」
『なんかヤバいけど、まぁいいわ。《ウォーターエッジ》」

今まで体験したことのない威力の攻撃に脳汁が溢れてくる。

「おりゃ、おりゃ。」

精神年齢が下りながら何発か試していくと効率のいい打ち方がわかってきた。
魔法と斬撃の角度が一致している時が一番早い。

「角度がぴったりだと早いんだよな。」
連発していることで徐々に落ち着きを取り戻してきた。
『だいぶ落ち着いたみたいで安心したわ。それなら剣に纏わせれば?』
新たな常識がポンポン出るな。

「それが出来るならそれでいきましょう。」
『じゃあ、《ウォーターエッジ》』

ジュリさんの変形した[両手剣]の周りに水の膜が付く。
重さはないけど、武器を持つ感覚が今まで体験したことのないものになる。
ゴブリンライダーを減らすべく剣を振る。

「ヒュン」

今までとは次元の違うスピードで《ウォーターエッジ》が飛んでいく。
ゴブリンライダーはオオカミと一緒に真っ二つになった。

「うわぁぁ、これもヤバいぃぃ。」
『また変になったわ……』

目を輝かせ口元の弛みきったユーリを見なくて済んで安堵するジュリだった。

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第34話 武器精霊の常識

「そんなこと出来るなら早く言ってくださいよ。」
『むしろ、そんな常識伝えないとダメなの?』

精霊と人間では常識が違うようです。

「当然でしょ!魔法なんて使ったことないんだから。」
『あっ。危ない!』

ゴブリンメイジ達の《ファイヤーボール》がまとめて飛んできた。
喋ってる時は攻撃しないでよ。

左側からゴブリンライダーが追撃を狙っているようだったので右側に避ける。

『危なかったー。むしろ、壁にしたりしてるんだから大体どんな形でイケるに決まってるじゃない。』

自然とお願いしてたからほぼ意識がなかった……

「それなら刃状とか棘状とかで飛ばせば威力が上がりそうなんで、それでいきましょう。」
『オッケ。じゃあ《ウォーターエッジ》』

片手剣くらいの大きさの刃状の水の塊が飛んでいく。

《ウォーターボール》やゴブリンの《ファイヤーボール》よりだいぶ遅い。
歩くスピードくらいしかない。

「これ当たらないでしょ。」
『推進力にエネルギーが回せなかったわ!』

優秀なくせに相変わらず抜けた野郎だ。

「《ウォーターボール》で押すとか推進力加えるのは?」
『魔法同士がぶつかったら相殺するに決まってるでしょ。』
「だから、そんな常識知らないって。」

そして飛んでくる《ファイヤーボール》
だから話してる最中は、攻撃してくるな。

《ウォーターエッジ》に当たると真っ二つに割れる《ファイヤーボール》

威力だけは申し分なし。
あとはどうやって当てるかだけ。
罠みたいに設置しておきたいところだけど、そこまでの戦略を組むには時間も能力も足りない。

「武器で押せたら楽なのにな。」
『それいいじゃない。』

また知らない常識が出てきた。

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