2024年11月8日。
人生で初めての正倉院展に行ってきました!
京都から近鉄に乗って一時間かけて奈良国立博物館に向かいました。
駅から徒歩25分かけて博物館に向かったのですが道中でもいろんな景色があって楽しかったです!
近鉄奈良駅に降りた瞬間から小学校の修学旅行で奈良にきた時の記憶が頭の中を駆け巡って、なんとも言えない気持ちになりました…
どこを見ても「修学旅行で来たとこだ…」という感想が強くて純粋に奈良を楽しめたかは割と疑問です。
奈良国立博物館についてからはまず公園内に入ってすぐ獣臭がして、鹿の気配を感じさせてきました。匂いでわかった通り大量の鹿、そして大量の外国人観光客で溢れていて、あの空間では日本人の方が少数派なのではと思わせるぐらいの密度でした。秋なのも相まって京都、奈良には観光客が多いのかも知れませんね…。
完全にアウェイな空間でしたが、それもまた観光に来た感があって良かったです。
正倉院展のチケットは予約制だったので早めに予約を取ってから行きました。私が取ったのは16時入場のチケットだったので夜間割りもあって1000円(大学生料金)でした。普通は学生割でも1500円だったので夜間というだけで、500円割引されるのはデカいなと思います。近くにいたおばさま方が「コロナがあってから値段が上がったのよ〜」と仰っていたので、ここでもコロナの影響は大きく出てるみたいです。
16時入場で10分前から行列に並びました。その時点でかなりの人が並んでいて人の多さに圧倒しましたね…。
基本的には上の年代の方が多く、同年代の学生はかなり少ないと感じました。そしてやはり日本人がほとんどを占めていて公園には外国人が多いのに、列に並んでいる海外の方は1割もいませんでした。
16時になって入場が始まるとワクワク感が高まってきて、かなり嬉しい気持ちでした!
人数がいた割に入場はかなりスムーズで、美術館側としても正倉院展はかなりの一大イベントであることがわかりますね…。展示会場に入って一番初めに感じたのは「人、多っ!!!」でした。人が多かったです。本当に。展示台を沢山の人が囲んでいて入場してすぐ展示を見るのは難しかったです。
私は今回、ガラスが使われた作品を目当てに行ったので真っ先に見たかったのですが、特に黄金瑠璃鈿背十二稜鏡は今回の大目玉だったこともあり多くの人が囲っていたのですぐには見れませんでした。
さて、ここからは作品の感想になります。
大前提、私は美術大学に通っていますが、日本芸術の専攻ではないので作品の知識は全くありません!!!なのでただの感想になります。
まず初めに花氈を見ました。花模様のフェルトの敷物ですね。
白い生地に青色のフェルトで花模様が施されていました。全体的に黄ばんでいたり所々穴が空いていたりもしましたが、1200年以上前のものだと考えたらそれが現代まで残っていることの凄さに感動します。1200年前にシルクロードを渡って日本に来た敷物が大事に保管されて今私の目の前に存在している、というのはすごく衝撃的でこの時点で来れてよかったと強く感じました。
次に印象的だったのは紅牙撥鏤尺です。
名前の通り紅に染めた象牙を厚さ5ミリ程の定規のような形にしたものです。表面には模様が描かれていて、装飾性の高い立方体といった感じでした。何が印象的だったかというと作品の持つ質量感です。といっても実際に手に持てるわけではないので、重みがあって…とかではないのです。ただ、そこにあるだけで確かな重量感のあるものだと感じました。ガラス越しでもはっきりと伝わってきて、それは歴史が持つ重みなのかそれとも、それが象牙という素材の魅力なのかも知れませんね…?
同じ展示室にあった深緑瑠璃魚型もすごく素敵でした。
この作品を目当てに来ていた節もあったので本物を目にして思わず笑顔になりました!普段の生活で色つきガラスを見る機会は沢山ありますが、今まで見たどのガラスよりも石っぱさを感じました。また色も4色あったのですが、どの色のガラスも市販のガラスとは違う色の深みがありました。おそらく製造過程で使われる染料の違いでしょうか?銅で着色された鉛ガラスと書いてありましたが、学がないのでよくわかりませんでしたね。どれも魚型でコロンとした丸いシルエットが可愛らしかったです。
一度掌の上に乗せて近くで鑑賞してみたいと思わされました。太陽の光を通してみたら展示場とはまた違った色を見ることができそうです。
叶わぬ願いですかね。
次は第4章の展示場にあった緑地彩絵箱です。
まず鮮やかさに驚きました。平等院鳳凰堂の壁画を思い起こさせる極彩色といった感じです。でも地の緑色はパステルカラーの淡い緑でしつこさを感じさせないところが印象的です。箱に描かれた絵も花であったり蝶々であったり全体的に華やかさを感じさせますね。また亀の甲羅に見えるような模様を描いたり金装飾に見えるようにされていたりして、資材はなるべく使わないけれどできる限りの華やかさを演出しようとしているのは技術と工夫を感じました。ちょっとずるいなとも思いました。
同じ展示場にあった沈香木画箱は、これまた印象的でしたね。
なんといっても模様が細かい!!とにかく細かいです。この時ばかりは単眼鏡を買えばよかったと思いました。
この作品も色のバランスの良さに魅力を感じました。基本的に木で作られている箱なので、濃茶色、橙、薄橙色といった感じなのですが所々に見える水色や黄緑色がキラキラ光っているように見えてずっとみていても飽きない作品でした。木の継ぎ目が見えるのも面白いところで工芸品っぽさが出ていたと思います。細部までこだわって作られているのが分かって、作品としての重みを感じました。
最後は黄金瑠璃鈿背十二稜鏡です。
なぜ最後に持ってきたかって、そんだけ印象的で衝撃的だったからです。
この作品自体は今回の正倉院展のポスターにも印刷されていたので何度も見ましたが、それでも実物の衝撃はとても強かったです。実際、閉館ギリギリになって展示場に数人しか居なくなったタイミングでこの作品だけを見に最初の展示室に戻りました。それぐらい魅力的で、それでいて離れ難い作品でした。ガラスの色の綺麗さは勿論ですが、角度によって見える色が変わってそれがすごく印象的です。その綺麗さを上回るぐらい迫力を感じる作品でもありました。それに触れられたらどんなに名誉なことだろうと思います。言い方は変ですがその作品一つにとてつもないパワーを持っているような、目が離せないとはこのことだと思いました。
最後の最後、目に焼き付けてから帰ろうと思ったのですがなんとも展示台から離れがたくて、歩き出してもすぐそこに戻りたくなりました。帰り道、とっても寂しくて黄金瑠璃鈿背十二稜鏡の印象的な深緑色のガラスが脳裏に深く残っていたのを思います。
今回、初めて正倉院展に行きましたが展示を見ている間にもたくさん考えることがあって、とても楽しかったです。1200年前の作品が目前にあることの感動はとても強くて、それぞれに宿っている作品の生命力みたいなものも強く感じました。
日々、作品制作を行なっている私たち作家にとって作品がどこまで残っていくかというのは大きな課題だと思います。1000年前の絵画が今でも残っていることと現代作家の作品が1000年後に残っているかは全くの別物です。昔の宗教画が今でも残っているのは歴史的に大きな価値があるのは勿論のこと、宗教という題材の永続性も加味されています。でも共通点もあって、それはどちらも人の手がなくては作品は残らないということです。この展覧会では価値のある宝物を後世まで残そうとした人々の意思を感じることができました。そしてそれは作品の魅力無しでは成り立たないことです。
今回初めて正倉院展に行って、作品の持つ生命力とは、いかにそれを少しでも長く現状のまま残していきたいと思わせるかなのかもと考えました。勿論、展覧会自体もすごく楽しかったです。来年も行きたいな〜^_^
