「ありがとう。でも、だからこそ、君に言い出せなかった、その事が、とても辛かった……忘れてはいけない事を、忘れてしまいそうな程に…君が」

じっと見返すその瞳が--

「気になって、…気になって仕方なかった。他のヤツが、君を見つめる度に……」

その見開いた瞳を見つめ返しながら言う。

「どうしてだか、わかる?」

「!!……どうして、ですか?」

 俺の問い掛けに身を震わせる。

「わからない?……君の、せいだよ…?」



【SIDEキョーコ】


私を包んでいた敦賀さんの腕が不意に離れ、寂しさを感じていると、その指が私の指先を搦め捕り、自身の口元に近づけ、唇を付けた。


--!!!!--


「な!?ナニヲッ敦賀さん!?」

「アイツにこうされてたよね…?その時は、そんなにうろたえてなかったのに…」

-やっぱりアイツが良いんだ?-と言いながら…指先を軽く口に含み、舐め上げた…

うにゃあぁぁっ///!!?
「は、離してっ!くださいぃぃっ///」

 必死に手を振ろうとする私の手をしっかりと握りしめ、

「駄目。俺の辛い気持ち、聴いてくれるんだろ…?辛かったんだ…君が他の男に何かするのもされるのも堪えられない。だから…」

夜の帝王全開モードだった瞳が、悲痛な眼差しに移り変わり…

駄目…この瞳を見ると…何も考えられなくなる…

「君がされた事、塗り替えてあげたくなるんだ。もっと、深い色で…」

-決して消えないように-そう言い、私の顎を捕え、こめかみに口づけた後、もう一度

「I love you more than anyone.」

と囁き、耳を食み、ふたたび抱き寄せられる--。

背筋を這う昂揚感にガクガクと震えて、

 頭が 真っ白になる……

「それが、俺の今の辛い気持ち。…たとえ君が今の俺ではなくカオンやコーンを見ていたとしても…。俺は君を、誰よりも愛してるよ」

「つっ…るがさん…///!!」

声が上擦って上手く発音出来ない--

「ご、ごごごめんなさいぃ……」