ギリッと奥歯を噛み締め、手の平に爪を立てるほど握り締める。

それに応える彼女の、アイツを見つめる瞳の、なんて……!!


-この俺に向けられたならばと


何度夢見たかわからない
アイツを求める 熱く潤んだ瞳--


それを見て、平静を保ってなど、いられるか!!


ラブミー部員のはずの彼女に、どうしてあんな表情が出来るんだ?


誰に向けて?


アイツをコーンに見立てて?


……それとも、まさか……


今側に居ないコーンよりも、アイツ自身に?


冗談じゃない! 冗談じゃない!!


ずっと秘めていたこの想いを君に伝える前に急に現れた妖精もどきに掻っ攫われるなんて--!!!


そんな事は赦さない。たとえ神が赦したとしてもこの俺が---!!


「敦賀さん!!」

俺を呼ぶ声に振り返る。


「やっと見つけた……こんな所にいらしたんですね」

「最上さん……」

 琥珀色に輝く俺を気遣う瞳が、こちらを見ていた。


 そんな瞳で見るな


 何故来たんだ こんな醜い感情に支配された


 今の俺に近寄られたら 何を口走るか


 ワカラナイ--





【SIDEキョーコ】


「………どうして?」

敦賀さんは渋い表情で聞いてきた。

「どうしてって……あの、身体の調子がお悪いんじゃないかと気になりまして……」「そうじゃない」

言葉を遮り敦賀さんは

「どうしてあんなに幸せそうな表情が出来たの?」

「え」

「誰を想っていた?」

誰を……なんて。私には、最早わかりきったコト。でも。

「え?え……と?そんな事より敦賀さん、ご気分が優れないんじゃ……?」

「これ以上俺の気分を悪くしたくなければ……」

 -スゥ-

 と目を細め、目尻を吊り上げる。

「…答えてくれ」

んなっ……!?ひいいっ!!なんでこんなにも怒りを顕わにしているの!?こんなの…

『よかったじゃないか…楽しかったみたいで…』

あの時以来?いえ、それ以上の…怒り?

「…何時から、あんなに相手を『好きで好きで仕方ない』という表情が出来るようになったんだ?」

 …………な、なななな/////