ある夜

ずっと大好きだった人から

電話があった。



切っても切れない繋がりは

他の人のこどもを身ごもった私にとって

言い様のない寂しさを感じさせた。


『元気?最近どう?』

「……こどもができたよ」

そう言うと

『…そうなんだ……
ちゃんとしないからー』

とからかわれた。



彼にとっては

どうでもいいことかもしれない。

私が追いかけた憧れだったから。



見ているだけで

いつも胸がドキドキしてた。

まともにしゃべれないほどに。

私の心の真ん中で

いまでもずっと『憧れ』であり続ける。



「君が誰かと結婚したら

私もあきらめて結婚するよ」

昔そんなことを言ったね。

彼は笑って

『なに、それ』

と言っていた。



追いかけても届かなかった。

彼の住む街は遠くて

冗談でも

『近くに来いよ』

と言われたあの時

何故全てを捨てて

行けなかったんだろう。



後悔の中で

もう二度と彼からの連絡はないだろうと思った。

そして

『…彼のこどもを産みたかった』

と思って涙があふれた。

あかちゃんが生きているとわかって

安心しながら

私たちは挙式の相談をしていた



彼は母子家庭だし

うちも両親は別居中だし

私は結婚式はしなくてもいいと思っていた



でも彼が

「少しでもドレスが着てみたいとか

挙式してみたい気持ちがあるなら

しておこう」


と言ってくれたので

ちいさな結婚式をすることにした



ドレスは

お腹が大きくなっても良いように

1サイズ大きい物もあるのを選んだ




このまま全て順調にいくと思ってた









翌日

朝一番に病院へ向かった



『どうか あかちゃんが

生きていますように』



エコー検査を受けて

カーテンの向こうから

『おーー。元気げんき。

動いてるよー』


と先生の声が聞こえた



よかった…生きてた…


安心したら

涙がこぼれた


私は

この子を守りたいと思った