ガラっ・・・。


「将人・・・。」


「話って・・・なに?」


「えっと・・・その・・・。」


話すことを全く考えてなかったから黙り込んでしまった。


「・・・あの雲見てみ?」


「えっ・・・?」


そう言われて窓の外を見た。


将人が指差す雲は・・・フツーの雲だった。


「あの雲が・・・どうかしたの?」


「え?わかんねーの?・・・キャンドルに見えない?」


笑っちゃった。


その雲が確かにキャンドルに見えたから。


「なに笑ってんだよ!」


ちょっとふてくされたように将人が言う。


「だって・・・将人が子供みたいだったから!」


あたしは笑いながら言った。


でも本当は分かってる・・・。

緊張をほぐそうとしてくれたんだよね?


だから・・・思い切って言った。


「あたし・・・将人が好き・・・。」


「は・・・?だってさっき・・・。」


「うん・・・健太センパイとキスした・・・。」


「だったら・・・。」


自分でも何が言いたいのか分からなかった。


健太センパイのことは彼氏だと思ってる・・・なのに。


今あたしが好きなのは将人だ・・・。


「分からないけど・・・将人が好きなの!」


「サンキュ・・・。」


将人がつぶやくように言った瞬間・・・。


あたしは力強くてたくましい将人の腕の中にいた。


どこか懐かしくて・・・心地よい腕の中・・・。


何でかわからないけど涙がいっぱいでた。