ショートコラム 「美の時 倫の刻」 
      (月)期間限定テーマ=2022年春は「西城秀樹」さん
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 第三十二回 中森明菜「悪女」(カバー曲)をめぐって
2022年5月11日添付の導入動画

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 中森明菜さんには、様々な動画サイト等で、今さらながら魅了されている。
 というのも、私は1980年代の明菜さんのテレビでの存在感が、あまり好きではなかったからだ。
 嫌いというわけでもないし、他の女性タレントの方が好きだった…とかでもない。
 明菜さんが、なんとなく強そうに見えた(私は強気な人は嫌いではないのだが、傲慢な感じがするとダメなのだ)し、曲調が私の好みに合わなかったからだ。

 ところが、最近、動画サイトで幾つもの曲を聴いて、圧倒された。
「明菜好き」の友人たち(男の子も女の子もいた)を身近に感じながら、日々テレビで観ていた自分の感受性は、実に鈍かったと思う。
 明菜さん、スゴイ表現力。
 そして彼女、本当は、「少女A」的なキャラクターではなくて、正統派の女性歌手だと思い知った。
 
 そんな明菜さんを取り上げる一曲目は、中島みゆきさんの「悪女」(1981年10月)のカバー。
 みゆきさんが開き直ってやさぐれ気味にわざと「悪女」を演じるボーカルなのに対して、明菜さんは、落ち込み切る直前で自分を支えようと震える心から発せられるボーカル。
 どちらも素晴らしい。
 明菜さん、どこかで出会ったら、手を添えて支えたくなってしまうような繊細さ。

 この人、まさに「歌姫」なのだ。

 
 中森明菜 「悪女」(アルバム『オールタイム・ベスト―歌姫(カヴァー)―』 2014年8月)
   作詞・中島みゆき
  作曲・中島みゆき


            藤谷蓮次郎
                二○二二年五月五日