先輩が横綱になった。
相撲ってよくわからなかった。
競技人口は少ないけど国技になってて、コアなファンは離れない。
知り合いにそんな角界の頂点、新時代の寵児がいる。
あんまり実感がない。
小学校の時、あの人が新潟の中学校に行くって聞いた時は何を目指してるのか理解できなかった。
嫌々柔道やってた身からするとそこまでして相撲をやる意味が分かんなかった。
自分も柔道がある程度強くなって、2回全国大会で3位になったことがあった。日本のてっぺんに手を伸ばしかけたことがあった。
中学生の時は多分優勝できた。
わざと飛んだから。
優勝目の前にしてわざと飛ぶ理由がわからないって思われるかもしれないけど、決勝とかめんどくさいって思った。
だから心底柔道が嫌いだし向いてないってことは中学生の時点で分かってた。
勝つことに対する執着が無さすぎる。
だけど今日知り合いが横綱になって、すごく身近だった人が横綱になって、悔しいってよりも悲しくなった。
1位が欲しい。
そんな気持ちはあるけれど、今日角界の新しい歴史を作った人間は夢ばっかり膨らませてる俺と違って中学生時点で親と決別する覚悟で新潟に行った。
どんな苦しみがあったか分かんないし知る由もないけど、こんな理想ばっかり口にするカスみたいな奴らの評価を気にせずひたすらに相撲に命を捧げてたんだと思う。
勝つとこで勝ちきるのが漢。
それを遂行できなかった自分はカスだ。
ほんの少しだけ強くて、少し余裕があるからってオールマイティな雰囲気出して、それなりにいい人間取り繕って、負けてもいいとか説いてた。
勝つこと以外に大事なものがあるってそう信じることが強さだとかほざいてた。
そんな負け犬根性に嫌気がさす。何してんだって叫びたくなる時がある。
でも1年前、やっぱり勝つことを諦めきれなくて、どこか胸にチャレンジャーでありたいって気持ちがあって、法曹になろうとした自分がここにいる。
あの人が子供ながら親元を離れることを選んだように、俺だって一緒に生きてきた柔道と決別することを選んだよ。
格闘技みたいに直接対決なんかないかもしれないけど、この先の世界でも十分に日の本で1番を観念できる世界なんだよ。
俺よりすげえ奴なんて半径10メートルに40人いて、押しつぶされそうな毎日が続く。この道を笑った奴らとか怒ってた奴らもいて、まあわからんでもない。
そりゃ他人に俺を理解してくれって話し合う気力は起きないし、分かってくれとも思わないわな。
そんな過去の自分に似たHatersはいるけど、今日それをぶち壊してくれた角界の頂点が誕生した。
勝つことが全てなんだ!
理解してくれなくても最後勝てば勝ち。
魅せてやれ
って言われた気がした。
俺は俺らしく、自分以上の奴らに嫌気がさしながらもなんだかんだ救われてます。
この先見てろ!
俺の夢は依然日本一!