フリッパーを後ろにして走るようにシホは家路を急いでいた。

ここしばらくというか、ここ数年お店のことで手一杯になっており、

ブログを書くということを忘れていたことを急に思い出したからだった。

ブログを書いていた頃は、書き忘れてPCが埃を被ることもあったが、

ブログを止めている間はPCは家計簿管理用に、ブログを書かない間に購入したスマホは

もう何代目かになっていた。その位忘れていたのである。

「あー書き方忘れたかも…まぁなんとかなるか…」

と持ち前の楽天的発想を口にしながら急いでいた。

あっという間に自宅前につき、一呼吸入れて玄関のドアを開けて中に入った。

家は片付いていて綺麗になっていた。

そうしていつも家計簿をつけているPCのあるデスクに座り、PCを立ち上げブログ画面を開いた。

仕様が変わっているとシホは気付いたが、すぐに気を取り直しておもむろに書き始めた。

 

皆さん、久々です。そうジェンツーペンギンのシホ🐧です。

元気してましたか?私は元気です。

ほーんとご無沙汰してしまいました…(゚∀゚)

書かなかった間、お店は忙しくそして、色んなことがありました。

後輩が別の店の店長になったり、託児施設が出来たり…

新しいことを取り入れていくのがカフェ温順の良さなんです(強調)

私はというと相変わらず副店長をしてます。今の店長というかオーナーが好きなのでこの本店にいます。

オーナーには、「シホちゃんも他の自分でお店を立ち上げたら?」と何度も薦められたのですが…

「私はこの店が好きなんです(`・Θ・´)」と言って断りました。

オーナーからじゃあそうね…今までの功績とこれから先の手本になるようにと、

専務兼執行役員副店長にということで落ち着きました。これがどの位前だったろうかな?忘れちゃった(あはははぁ)

ということで今は役員です…それで給料(※)がよくなりました。

久々に書いてと店長に言われたので、久々に書いてみました。

気まぐれなので次いつ書くかわかりませんが、よろしくです( *・ω・)*_ _))ペコ

ではでは~(`・Θ・´)ノ

 

そこまで書くといつの間にか用意されていた夕食にシホは気付き、テーブルに腰掛け一緒に談笑しながら食事をとり始めた。

(※ペンギンの給料なので、アンチョビーと小石です)

 

前回までを知っていておやっと思った方は次回以降のお話にご期待下さい

 

 

キャスト

マリ役(おっきーさん):今回の主人公 ちょっと天然系。

ハッピーアンチョビ大好き。店長に何か聞きたいことがある様子。
ミャーコ役(みゃうさん):アイデアウーマン。棚卸しの名人。

今回の社員旅行の企画者。
店長役(うさ丸さん):仕事が出来て愛嬌があって皆の人気者

ごくたまに失敗する

モブ:副店長シホ、マー君、ミキちゃん
ナレーション・原作・シナリオ ペンギンさん

マリ:「今日は旅行、旅行っと♪ フフンッ」(嬉しそうに身支度をしている)
ナレ:今日は初の社員旅行の日だった。それもカフェ温順始まって以来の出来事であった。それが決まったのは、ミャーコの副店長への提案からだった。企画・立案・店長へのプレゼン等非の打ちどころがないことだったらしく、企画からゴーサインが出るまで2日ほどであった。ただ一つ問題事は、お店のことであったが、ちょうどその時、支店からの研修が1泊2日の日程が組まれていたので、それもクリアできたのだった。
(旅行が決まった時の嬉しそうなミャーコの顔を思い出しながら少し手を止めていた)
マリ:「あっいけない、いけない準備準備…と」
ナレ:マリは時間が迫っていることに気付いて急いで荷物を詰め、それが終わると、忘れ物がないか確認をした。
マリ:「よし準備完了!さぁ行こうっとモリモリ食べるぞ!」
ナレ:マリは羽繕いをして身支度を整え、フリッパーを後ろにして集合場所の店の前へと急いだ。マリの周りは、春の訪れを告げるように花が咲き乱れていた。そんな中をいそいそと歩いていると待ち合わせていたように偶然、副店長に会って色々な話をしながら待ち合わせ場所に着いた。
(待っていたかのように、ミャーコが声を掛ける)
ミャーコ:「副店長、うちの嫁遅いぞ~ 店長も待っているから」
マリ:「えっ店長?」(驚く)
ナレ;マリは、まさか仕事一途な店長が来るとは思わなかったからだった。
店長:「あらっシホちゃん、マリちゃんお早う~意外って顔してるわね…私だってたまには外に行きたいのよ…久しぶりねぇ、お店を空けて遠出するのは…ウフフッ」
(屈託なく笑いながら)
ナレ:久しぶりの台詞にマリは、副店長から聞いていたことを思い出した。店長は前に、新支店設置の為、視察にいったことがあると…そうしてたくさんの知識・経験を得て今のカフェ温順を作り上げたのだと、そして副店長曰く、今までの経営者の中でも1、2を争う「やり手」なのだと…
店長:「あらっマリちゃん、何か考え事?普段は、なかなか頑張っているってシホちゃんから聞いているし、ちらっと仕事の様子も見てるわよ」
(マリ照れる)
ナレ:その言葉にマリは、嬉しくなった。マリやミャーコは普段あまり接することが少なく、店長とゆっくり会話することもなかったからだった。店の実務は、副店長がほとんど担当していることもあり、普段は副店長との遣り取りが多かったからだった。
(マリが話をしようとした時、出欠を取り終えたミャーコが促すように)
ミャーコ:「さあ、皆揃ったし、出発、出発」(いつものように元気な声を出す)
(ミャーコは先頭に立って歩き始める。その後について皆ぞろぞろと歩く)
(間)
ナレ:マリ達一行の周りは、さっき通ってきた通勤路と同じように黄色の花が咲き誇っていた。そんな中を皆色々な話をしながらフリッパーを後ろにして颯爽と歩くジェンツーペンギンの集団があった。いつも歩く道から離れて目的地へと続く道は、あまり足で踏み固められていないので草のクッションのきいたまだ名もない道であった。
(マリ、店長の少し後ろから声を掛ける)
マリ:「店長、あの、店長は昔随分遠くまで視察に行かれたことがあるのですよね…その時の思い出を聞かせて下さい」(少し遠慮がちに言う)
店長:「そうねぇ…」(足を止めてマリを待って言う)
ナレ:その話というのは、時々店長を目当てに訪ねてくるマゼランペンギン達の話であった。マー君、ミキちゃんとの名前を紹介がてらその時の話を聞かせてくれた。いつも来ているマゼランペンギン達の名前は知らなかったが、マリは何回か案内したことを思い出して聞いていた。
店長:「その子達と一緒に出掛けたわぁ…そうその結果が今のパタゴニア支店と、アレーナス支店よ。私の力というよりあの子達…つまりマー君達のおかげね」(頷きながら言う)
マリ:「そうなんですか、なるほど」(感心する)
ナレ:その後、2羽でどんなファッションに興味があるかとか、休日はどんなことをしてるのか等の話をしながら歩いた。マリは、今まで採用面接くらいしかじっくり話したことがなかった店長と話せて、店長のペンギンなりを知ることが出来、店長に対して親しみがわいた。2羽を含んだ影がやや左から右に変わり始めた頃、ようやく旅館に着いた。
ミャーコ:「ここで~す」(元気よく)
ナレ:その旅館は、古いという感じはしなかったが、落ちついた佇まいであった。木々と花に囲まれていた綺麗な旅館だった。その木々の合間からは温泉もとい、プールがちらっと見えていた。(皆感嘆している)
マリ:「流石ミャーコちゃん…センスがある…」(小声で感嘆する)
ナレ:入口には女将らしきペンギンが立っていた。マリ達と同じジェンツーペンギンであった。マリ達に気付くと女将はぺこりと頭を下げた。ようこそ、いらっしゃいました、お待ちしておりましたとの言葉をかけてくれた。そして玄関には、本日のご宿泊、カフェ温順本店ご一行様の歓迎看板が掛けられていた。受付で手続きの後、お部屋に案内しますので、どうぞこちらにと右のフリッパーを出してマリ達一行を部屋へと案内する仲居さんに紹介してくれた。
ミャーコ:「さぁ行くわよ」(胸を張って颯爽と歩きだす 皆後についてソロゾロと歩く)
ナレ:通路には、ちょっとした花が活けられていて、落ち着いた雰囲気を醸しだしていた。それを横目で見ながら案内役の仲居さんの後を、マリ達はついていった。旅館の奥へと案内されると、客室入口という表示があった。ここから先すべてがカフェ温順様のお部屋になりますと、仲居さんから紹介があり、付け加えるように、夕食は大広間で、メニューは海鮮づくしコースになります、と告げれると皆から歓声が上がった。
(歓声が上がる その声が収まってから)
ミャーコ:「部屋割りは、皆に配ったパンフに書いてありますよ。よく見て部屋に行きましょうね」
(マリは、急いでバックの中に積めたパンフを見る)
マリ:「えっと部屋はっと…」(パンフ改めて見る)
ナレ:実の所マリは、パンフを貰ったままほとんど見ていなかったので、部屋がどこで誰と相部屋が分からなかったのだった。
マリ:「「雪見の間」か、えーと店長とミャーコちゃんと相部屋だ」(嬉しそうに)
ミャーコ:「どうした嫁?私と相部屋だぞ…さっ行こう行こう 店長も早く早く」(ミャーコがマリのフリッパーを引いて催促する)
マリ:「あっミャーコちゃん、待ってよ」
(その様子をニコニコしながら店長はその2羽の後をついて行く)
ミャーコ:「こっこで~す」(ミャーコは右のフリッパーで指す)
ナレ:その部屋は、さっきの客室案内版からさほど離れていなかった。ミャーコがゆっくりと襖を開け、先に中に入った。続いてマリ達も中に入った。その部屋は、3人部屋もとい3羽部屋というよりも少し広かった。机の上には、お菓子といくつかの茶碗、魔法瓶があった。奥には竹で編んで作られた椅子があってそこで座って外の景色を見渡せた。そこはすぐに庭に出られる1階であった。その庭には、池があってその周りには石灯籠・低木が点在していた。
(マリは、部屋の紹介のようなものを見つけて開いて見る)
マリ:「ふむふむ…」(覗き込む様子で)
ナレ:そこには「雪見の間」冬になると雪が綺麗に降り積もり幻想的な雰囲気を醸しだします。外に出てトボガン(そり)滑り遊びにもお奨めです、と書かれていた。今は時期外れなので、もちろんそんな遊びは出来ないが…
(そんな様子を覗き込むようにして)
ミャーコ:「ねぇマリ、パンフよりお菓子食べよう♪ほら大好きなハッピーアンチョビがあるよ♪」(机の上を指さしながら言う)
マリ:「えっハッピーアンチョビ?!食べる食べる~」
ナレ:マリはハッピーアンチョビという言葉を聞いて机の上に目をやった。そこにはハッピーアンチョビが袋ごと置いたあった。ハッピーアンチョビは、アンチョビを秘密の製法で加工したペンギン達にはとても人気のある商品であった。
ミャーコ:「ここのハッピーアンチョビは、特産で出来がいいのよ」
ナレ:ハッピーアンチョビに目がないマリは、部屋の解説そっちのけで急いで袋を開けようとした。
ミャーコ:「もうマリは食いしん坊なんだから…」(半分呆れながらもニコニコしながら)
マリ:「えへへへっだって…ハッピーアンチョビだよ、我慢できるわけないよぅ」
ミャーコ:「そうよね…うんうん」(嬉しそうに)
 (その様子を見ながらお茶をさっと手際よく煎れている)
店長:「お茶煎れたから皆で飲みながら食べましょう」
 (マリ、ミャーコは煎れられたお茶に気付く)
ミャーコ&マリ:「店長すみません、気が利かなくて…有難うございます」
店長:「うぅんいいのよ、私こういうこと好きだから ウフフフッ」
(屈託なく笑いながら少し2羽の様子を見て)
店長:「さぁ冷めないうちに飲みましょう」
(先に座っていた店長に続くようにマリとミャーコは腰を下ろす)
ナレ:3羽は煎れられたお茶を飲みながらハッピーアンチョビの袋を開け食べ始めた。それを食べながら、最近のどんなことに興味があるのとか、ちょっとした噂話とかをしながら談笑した。
(間)
ナレ:それから、どのくらい時間がたったのだろうか、外を見やると日が落ちてきていて夜の帳がもう少しでおり始める時間であった。庭の小さな池には、沈み始めた太陽が映し出されていた。
ミャーコ:「あっそろそろ大宴会場での夕食の時間だ。貴重品と鍵を持って行かなきゃ。支度支度~」(と立ち上がる)
店長:「あらっもうそんな時間?行かなきゃね」
ナレ:そういうと、店長も立ち上がり支度を始めた。そんな行動に促されるようにマリも支度をして、マリとミャーコの2羽で一緒に部屋を出て、店長が金庫の鍵を締めたのを確認して颯爽と大宴会場へ急いだ。
ナレ:大宴会場
ナレ:マリ達が会場に着くと、さぁ早く早く席について下さいと副店長に促され、マリ達はいそいそと席に着いた。それを確認すると、皆さん、お疲れ様です。(一同お疲れ様ですと返す)と言った後、少し副店長の話が続き、不意にオーナー店長より挨拶がありますと、紹介があった。それを聞いて可憐な顔の綺麗な瞳をパチッとさせ、店長はさっと前に出てきてマイクの前に立った。
店長:「皆さんお疲れ様です。本日は、カフェ温順創業以来初の社員旅行にこれました。企画をしてくれたミャーコちゃんには大変感謝しております。皆カフェ温順の一員であることを忘れずに、羽目を外しすぎずに楽しみましょう。あまり長話をすると目の前の新鮮な魚をついパクッと食べてしまいそうなのでここらへんにします」
 (ニコッと微笑む)
ナレ:そのスピーチを聞いて会場の空気が和んだ。そんな皆の様子を確認すると、店長はいそいそと自分の席に戻った。さらにそれを確認すると、副店長が、乾杯の音頭をミャーコちゃんお願いしますと指名をした。
(ミャーコは私?という顔を一瞬したが、すぐにノリノリになって)
ミャーコ:「えっと皆さんお疲れ様です。ではまずコップに飲み物を入れてください」
(皆、慣れた手つきでさっと注ぎ準備を整える準備が出来たのを見計らって)
ミャーコ:「これからのカフェ温順の発展を願って~ かんぱーい」(明るく)
(乾杯と息を合わせる)
ナレ:マリは、飲み物にちょっと口をつけると、目の前にある料理に目を落とした。目の前には、たくさんの魚介類が皿に盛りつけてあった。ナンキョクオキアミ、アンチョビー、イカ等どれを見ても本当に美味しそうだった。
(マリはどれから箸ならぬクチバシをつけようかと悩んでいる)
(そこに乾杯の大役を終えたミャーコが帰ってきていつも通り明るく声を掛けてくる)
ミャーコ:「マリ~美味しそうな物ばかりでしょ?マリの好きな料理を選んで宿を選んだのよ」
マリ:「ミャーコちゃん、乾杯の音頭お疲れ様~うんうん、どれも美味しそう…お腹がなって仕方がないのよ…ミャーコちゃんも席について食べよう」
ミャーコ:「もうマリは食いしん坊なんだから…うんうん食べよう」 
(ミャーコが席に着くと同時かそれより早くマリは目の前にあるアンチョビーのお造りに箸ならぬクチバシを付け始める)
マリ:「美味しいよぅ、うんうん、このお造りこれなら一杯食べられそう…」
(刺身を飲み込みながら言う)
ミャーコ:「嫁がそう言ってくれるなら嬉しいぞ♪よし私も食べるか…」
(2羽で食べ始める 周りも食べたり飲んだり話したりしている)
(間をあける)
ナレ:宴もたけなわがすぎ、皆落ち着いた頃に、マリは店長の様子をちらっと見た。店長は品よく食べ、いつもの優しい笑顔で軽く談笑をしていた。そんな姿にマリは感心した。店長はいつも自然体で品の良さを感じられるペンギンなのだなと思った。
マリ:「あっ…そうだ」(思い出したように 店長が他のペンギンとの談笑を終わったのを見計らって話しかける)
マリ:「店長、お隣いいですか?」(明るく自然に)
店長:「あらっマリちゃんいいわよ」(いつもの笑顔でさらりと隣にどうぞと薦める)
(マリはぺこりとして隣に座る)
店長:「いつもお店を盛り上げてくれてありがとうね。私ね、お店を皆が盛り上げてくれてとても感謝してるのよ。特にマリちゃんとミャーコちゃんには、皆を仕切ってくれたり、盛り上げてくれたりしてくれているから本当に感謝してるの ウフフッ」
(優しい声で笑顔を向ける)
マリ:「ミャーコちゃんはともかく私は何もしてないですよ…」(照れながら)
店長:「そんなことないわよ、。そうそう、よく家族で来て下さっているペンギンのお子様の面倒をみてくれているじゃない?あれって保護者のペンギン達には評判がいいのよ。そして、面倒を見ていた子ペンギン達からは、またあのお姉さんと遊びたいとか話を聞いて欲しいとか要望が多いのよ」(優しく)
マリ:「そ、そんなぁ…嬉しいですけど…照れますよ…」(照れ隠しをする)
店長:「そんなマリちゃんに、これから新しい業務を任せようかなと思っているの…まぁまだ構想の段階だけど…正式に決まったらお願いするね」(いたずらぽく笑いながら)
マリ:「新しい業務ですか…どんなことですか?」(マリは少し小首を傾げながら聞き返す)
店長:「内緒よ…決まってからのお楽しみね」(ウインクしながら笑って言う)
ナレ:そうこうしているうちに周りを見回すと皆食事を終え談笑の声も少なくなりペンギンの性というか眠くなるペンギン達も出始めていた。そんな様子を首を見回して軽く眺めてマリは店長に本題があって聞こうとしたが…
店長:「そろそろ皆食事も終わったし、続きは各自の部屋でしましょうか…シホちゃんそろそろ締めの挨拶を…」(促すように)
ナレ:シホは少し眠くなり始めていて、目を閉じかけている時にそう言われ少しビクッとして、慌てて眠たそうに続きはラウンジや部屋でしましょう、ごちそう様でしたと言ってしめた。
(一同ごちそうさまでしたと言って部屋やラウンジ等へ移動を始める)
ナレ:マリは、周りを見回してミャーコを捜し、見つけると自然に待っていてくれた店長と一緒に部屋に戻ることにした。部屋まで帰る間に行きには気づかなかった卓球台とちょっとしたゲームセンターがあるのにミャーコが気付いた。
ミャーコ:「温泉から出たらさぁ、皆で卓球しようよ、店長、そして嫁も…」(おねだり気味)
ナレ:その提案にマリと店長は目を丸くした。特に、マリは得意ではないからだった。だが、ミャーコの目を輝かせた提案を無下にするわけにもいかず、マリが困っていると
店長:「温泉を出て、旅の疲れから眠くならなかったらね…」(さりげなく気を使って)
ミャーコ:「そうですね、うん分かりました」(納得した様子)
(マリは内心ほっとする)
ナレ:3羽が、部屋に帰ると、またお茶を煎れてお菓子を食べながら話をして盛り上がった。店のこと…プライベートのこと…色んな話が尽きなかった。そうしているうちに、いつの間にか外は月が出てきていて、中庭の池に映っていた。(それに気付くミャーコ)
ミャーコ:「あっそろそろ温泉行かなきゃ…海も空も綺麗だから露天もいいね 支度、支度~」(その言葉に皆同意して、支度をし大浴場へ急ぐ)
ナレ:大浴場&露天風呂
ナレ:宴会場とは違う道を通って一行は、温泉へむかっていった。天井からぶら下がっている案内板を見ながら進むと、大浴場入口が見えた。途中で上がってきたペンギンやら、これから行こうとするペンギンの姿を見かけ、その会話から大浴場の様子を聞き、3羽は、想像力を膨らませていた。入浴の支度を済ませると、ミャーコが先頭になって、浴場の引き戸を開けた。
3羽:「広くて、綺麗…」(少し間があって)
ナレ:大浴場は、ペンギン達がゆっくりくつろげる岩場や泳げる場所になっていた。その中でも、特に目を引いたのは20~30羽泳いでも狭くない浴場であった。人間の世界の温泉では泳ぐとか禁止事項になっていたりするのだが、ここはペンギン達の為に作られた施設なのでもちろん泳ぐことは自由であった。その温泉をみると、たまらずミャーコは駆け出して、ドボーンと大浴場に飛び込んだ。
ミャーコ:「わぁー気持ちいい~。いい水加減だし、最高」
ナレ:ミャーコは、一日の疲れを癒すように泳ぎながら左右のフリッパーで背中、お腹の羽の汚れをバシャバシャと音をさせながら払った。そして、クチバシで乱れた羽毛を整え、少し落ち着くと鵜のように泳ぎながら軽く目を閉じた。
ミャーコ:「ふぅ、極楽、極楽~」(目を閉じたまま静かに泳ぎ続ける)
(マリと店長も湯舟に入る為にせぐ気持ちを抑えながらゆっくりと歩き湯舟に入る)
(店長は自然に2羽から離れる)
マリ:「あぁ気持ちいい…うんうん最高~」(1日の疲れを癒したように)
ミャーコ:「嫁、気持ちいいでしょ?ここはね、美羽の湯として有名なのよ。」(スッーと寄ってきて)
マリ:「ミャーコちゃんセンスいいね…本当に気持ちがいい」
ナレ:2羽が羽繕いが終わると、ミャーコはその温泉の雰囲気を楽しむように広々とした湯舟を勢いよく泳ぎ始め離れていった。
マリ:「あっ店長は…」(首を動かして探す)
ナレ:店長はすぐに見つかった。それは雰囲気で分かったからである。オーナー店長になってもすべてのカフェ温順を通して一番人気になることが分かるようだった。ミスとかしそうにないしっかり者のイメージもあって、だからこそ棚卸しの時のことが気になってマリは機会があったら聞こうと思っていたのだった。
(マリは話しかけるタイミングを伺っている)
(湯舟を楽しむ為離れていたミャーコがふいに近づいてくる)
ミャーコ:「嫁~ここには露天風呂もあるのよ…一緒にいこ、いこ」(外を指す)
マリ:「ろ、露天ふ、ぶろ…?嫁のお薦めならいこうかな」(すこし噛みながら)
ミャーコ:「嫁~慌てなくても大丈夫よぉ…よーし決まったからいこいこ」
(露天風呂の方に泳ぎ始めてしまう)
ナレ:マリは、会話を終えると店長がいたほうに目をやってみたが、店長はいつの間にかどこかへ行ってしまっていて姿が見えなくなっていた。マリは、少しがっかりしたが、せっかく誘ってくれたミャーコの気持ちを思い、気を取り直してミャーコの後を追った。
マリ:「ミャーコちゃん、今行くから待ってー」(急いで泳ぐ)
ナレ:2羽は、同じように泳いで、露天風呂に一番近い所に目掛けて泳ぎミャーコ、マリの順で跳ねるようにそれぞれのやり方で上陸した。
ミャーコ:「嫁、行くわよ」(かっこよく言って歩き始める)
(マリは後に続いてフリッパーを広げて歩く)
(ミャーコが露天風呂の入口のガラスドアの前に立つマリが到着するのを待つ)
ミャーコ:「マリ開けるわよ」
(静かにだが待ちきれないとばかりにドアの取っ手をもってスライドさせる)
マリ&ミャーコ:「わぁー」(感動する)
ナレ:そこには小高い丘の上から見下ろす海と綺麗な空が広がっていた。空は暮れたばかりとあって、ほんのちょっとだけ紅が残っていた。その光景と海の青さとが混じりあって言葉では表現できないほど綺麗な光景が広がっていた。2羽は、その光景を見て、思わず声を上げたのだった。肝心の露天風呂はというと、海と空の景色を邪魔することなく、ほぼ自然の環境そのままに草木が茂っていた。ペンギンが自然に過ごせるように作られたと思われる場所であった。そんな場所に2羽だけの時間があった。
(ミャーコは、露天風呂に近づくと湯加減を確かめ、スッーと中に入って泳ぎ始める)
ミャーコ:「大浴場もいいけど、露天はもっと気持ちがいいわよ…嫁も早く早く」(せかす)
マリ:「ミャーコちゃん今行く~」(露天風呂に向かって走り出し、そのままの勢いでピョンと飛び込む 露天の水が、風呂の淵から音を立てて勢いよく流れる)
ミャーコ:「嫁~急がなくても露天は逃げないぞ」(微笑ましく笑いながら)
(マリは少し恥ずかしかった そして2羽で泳ぎ始める)
ナレ:2羽は並んでゆったりと露天と景色を楽しむように泳いだ。それは短い時間だったかもしれないが、2羽にとって、とても長く感じた充実した時間だった。そして、露天を出るとかけ湯をして温泉を出て、支度を整え、ゲームセンターに少しだけ寄り道をし、卓球をしてから部屋に戻った。

ナレ:部屋にて
ナレ;部屋に帰ると、そこには店長が待っていた。
店長:「あらっお帰り…今お茶煎れるから待ってね」(そういうと自然にお茶を煎れようとする それを見てミャーコが、少し慌てる)
ミャーコ:「店長、私が煎れますから」
店長:「私に煎れさせて、ここに連れてきてくれたお礼だから」
(ウインクして手際よくお茶を煎れ始めた)
ナレ: 3羽は、ゆったりとお茶を飲み、話の流れから支店候補地の視察話になった。それは、視察というよりむしろ冒険であった。マリとミャーコはその話を目を輝かせて好奇心旺盛に聞いた。その話を語る店長は、とても生き生きしていた。マリは、その様子を見て、普段と違う店長をさらに見たような気がした。その話が終わると、ミャーコは眠くなったのか、寝やすいように自分用にアレンジしたベットに腹ばいになった。
ミャーコ:「店長、嫁先におやすみちゃん」(疲れていたのかとすぐに寝てしまう)
(残されたマリと店長は、新しいお茶に入れ替えて飲む)
マリ:「店長って失敗とかしないイメージがあるのですが…このあい…」(意を決して)
(言葉を遮るように店長)
店長:「この間の棚卸しの件ね…私が、アンチョビーを養殖と天然混ぜちゃった話ね…あの時はね…」(一気に言って 息を整える)
店長:「そうそう私に姉がいるのは、聞いたことがあるかしら?」
(マリ頷き回想)
ナレ:マリは、ちょっと聞いた話を思い出した。確か店のオーナー兼店長決める時、店長のお姉さんと現店長の2羽が候補になったのだが、店長のお姉さんは後を継ぐよりも新しい場所を開拓してそこで店をしたいと希望を出し、妹である今の店長を推薦して旅立ったという話だった。
店長:「あの時はね、視察旅行で再会した姉からメールが来てて、ちょっと読んで感慨にふけっていたのよ…そのメールを読んで自分のやり方で店を大きくすればいいなって思い始めていたの…」(流暢かつ手紙の内容を思い出しながら)
マリ:「そうなんですね…」
(マリそれを頷きながら聞く)
店長:「そしたら急に電話が来てね、そのちょっとした用事を済ませている間に、天然物の入荷があったの…指示を出してわけてもらえば良かったんだけど…私が自分でしたら、天然物と養殖物一緒にしちゃって…20尾程養殖が混じちゃったの…」(申し訳なさそうに言う)
(照れ隠しだろうか…お腹の辺りの羽繕いをし、またお茶を飲んで心を落ち着ける)
店長:「でもその失敗で私たくさんのペンギンに支えられているんだって、改めて認識したの…シホちゃんや、マリちゃん、ミャーコちゃん…色んなペンギン達に支えれてるだなってね まだ姉には届かないけどね…」(自分に言い聞かせながら)
マリ:「…うん、なるほど…」(話を遮らないように)
店長:「私はね、物心ついた時から姉の姿を追いかけて生きてきたからね…給餌の時もこの店に入るときもね…でも急に姉がいなくなって自覚が芽生えたのよ」(微笑んで間を置く)
ナレ: マリは、店長の姉への思いを感じ取ることができた。それゆえ、店長の話をほぼ黙って頷きながら聞くしかなかった。(間を置く)
店長:「話が長くなったけど、気持ちは伝わったかしら?」
マリ:「店長有難うございます お気持ち伝わりました」(頭を下げながら)
店長:「遅くなったし、そろそろ寝ましょうか?」(促すように)
ナレ:そう店長がマリに言うと、寝ているミャーコを起こさないように、自分達が寝る為にベットを静かに整え、無言で目をつぶって眠りについた。その時、外には綺麗な月と星が瞬き、海の波の音が遠く聞こえていた。
FIN

「今日も遅くなっちゃった…」

シホは、家路に急いでいた。何かしたいことがあって特に急いでいた。

そうブログである。この間、もっと定期的に書かなきゃと思い立ったので、書かないとと気合を入れていたのだった。いつも通いなれた通勤路を駆け足で進んでいた。季節は春から夏へと変わり始めていた。それは、黄色の花が緑の草に変わり始めていたからだった。しかし今は夜なので、その緑の草は漆黒の闇に紛れていた。そんな草の絨毯をシホは、走っていた。暗闇の中をただ一羽のみの草踏みの足音が響いていた。

「ふぅ…やっと着いたぁ…」

カフェ温順からペンギンの足でも3分ちょっとのとこにシホの家はあったのだが、その時間が長く感じられたのでやっとという表現になったのだった。家に着くと、いつものように一呼吸おいてドアを開けた。

さてとシホは言うと荷物を置いてPCを立ち上げ、ブログにログインしておもむろに書き始めた。

 

皆さん今晩はシホです。

あれっ今回は更新早いじゃんと思ったかもしれません。(◉Θ◉)

少しずつでもいいから更新していこうと思いました。

だから今日更新しています。年末も近づきだんだん忙しくなってきました。

これからいろんなイベがあるので…尚更です…

 

そうそう、話は変わりますが、この間、社員旅行と体育祭がありました。

そのことはおいおい詳細を書くとして本当に楽しいイベントでした。

私もカフェ温順に入って色んな事を経験してきましたが、ここ一年足らずの間に

濃い経験が出来たと思います。私が、店長になっても色んなイベントを企画してみたいな

って思うようになりました。この本店は色んな人材がいて楽しいです。

店長になったらそんな人材を集めてペンギン皆が幸福になれるようなお店を作りたいなと思っています。このブログは、そんなことを綴っていけたらいいなって思っていますので、

更新されたらお手すきの時に読んで下さいね

 

そこまで書き終えるとシホはブログが更新されたことを確認してPCを落とし、家のことを始めた。今日はいつも出てる月は、雲に隠れていて隙間から薄く照らしているだけだった。そんな中でも、せわしなく動き回っているシホの姿は明るく照らし出されていたのだった。

 

「今日は、早く終わったので急いで帰らなきゃ…」

シホはいつもの道をいそいそと疾走していた。それは理由があったからだった。

シホは1年程忙しさのあまりブログを書くことを忘れていたからだった。

急にそれを再び書こうと思ったからだった。

「私、仕事に集中しちゃうと忘れちゃうのよね…もっと書かなきゃって前も言ってたのに…」

疾走しながらシホは思っていた。まぁマイペースで書いてるブログだから更新はきまぐれでもいいのだが…なんとなく気になると書かずにいられなくなることがあった。ブログの読者はそれを知っているので

気長に待っていてくれているようであった。現に前に更新してから1年ちょっと経っているだが、毎日ちょっとずつコメントがついているようだったからである。それがなぜわかるかというと、通知がスマホに届くからであった。とても暖かいコメントが多く、シホの人柄がわかるようであった。

ようやく少し時間が取れたので、自宅へと急いでいた。周りは、黄色い花が咲き乱れていて、春真っ盛りという感じだった。昼に自宅に帰るなんて、とても稀なことであった。だが、シホには春の温かい景色も目には入っていなかった。早く帰ってブログを書きたいその一心で家路に急いでいた。いつもより早く自宅についたシホは、いつもルーティンワークで羽繕いをしてドアを開け中へと入った。そして少し埃の被ったPCを綺麗に掃除して、立ち上げた。しばらく放置していたせいで、自動アップデートがたくさんあり、それが終了するまで、シホはいてもたってもいられなかった。

「早く終わってよ…もう」

とPCのモニター前で独り言を言った。シホは、ただ待つのも何なので紅茶をいれ、それを飲みながら待った。その紅茶が冷めはじめた頃ようやくアップデートが終わり、PCを立ち上げ、ブログへとログインし、文字を打ち始めた。

 

どうも久々のシホですヽ(・Θ・ )ノ

本当にご無沙汰してましたwここ1年位非常に忙しくて更新できませんでした。

副店長になってから本当に忙しく動き回ってました。

新しい事業も始まったり、支店も増えてそれに伴って本社研修も増えたり…本当に忙しいです。

特にこの時期からは、外洋に出ていたマゼランさんや、イワトビさん、マカロニさん達が、

帰ってくるのでお客さんが増えますので、ますます忙しくなります。そんな中で、昨年より恒例になった社員旅行に今年も行きます。昨年とは違った企画を立ててくれているようなので、とても楽しみです。(・Θ<)

今年は2泊3日の予定です。時間が出来たらここに書こうと思っていますのでよろしくです。

 

それから長い間待っていてくれた読者さん(人''Θ`)ありがとう☆これからもマイペースで更新していきますのでよろしくです♪

 

そう書き終えると、シホはブログが更新されたことを確認して、PCの電源を落とした。

そして

「溜まっている洗濯物を片付けるのと、掃除しなきゃ」

と言って洗濯物を持ち、色物とそうでないものを分けて洗濯機に入れた。洗濯機をセットすると、それは勢いよく回り始めた。そんな音を聞きながら、椅子に座りさっき入れた紅茶パックを入れ替え、新しい紅茶にしてまた飲み始め、洗濯機の音以外しない空間でくつろぎ始めた。外は、少しずつ日が傾き始めていた。 

 

※この話はフィクションです。

※これはウイニングポスト8のゲーム内での出来事を物語にしたフィクションです

本編前の前置


PN人鳥さん(ぺんぎんさん)は、自分が馬主生活を始めた頃を思い出していた。

その頃は、右も左もわからないことだらけだった。

その時、初期に譲ってもらった馬とセリで購入した馬がいた。

一頭は現役だが、デビュー前のホリスキー(譲渡条件に名前を変えないことと引退後繋養することを条件に購入)という馬と、セリで自分が気になったスインフォード系のリードホーユー(とのちに名付けれた)であった。

なぜスインフォード系が気になったかというと、この血統は、ブランドフォード系が血統として独立して島しまったために、零細血統となってしまった。ある意味悲運の血統だったからだった。その血統でG1を勝ちたいと思い購入したのだった。

ホリスキーは、デビュー戦を白星で飾り、順調であったが、重賞は勝つもののG1にはなかなか届かず1年目を終えた。一方リードホーユーはゆっくりと2歳の重賞をいくつか勝ちその年を終えた。

1年目は、G1未勝利であったが、重賞をいくつか勝ち順調といえた。そのおかげで初期資金と紹介状(金・銀・銅・赤)と合わせて何頭かの繁殖と、仔馬を手に入れることができたのだった。

2年目は、ホリスキーは重賞で好走するもなかなか勝てずにいた。リードホーユーは、馬主の方針で長めの距離を使おうと、進めていた。ダービートライアルである青葉賞を勝ち、ダービーへと駒を進め、3番人気でダービー当日を迎えた。当日の1番人気は皐月賞を勝って臨んでいたミスターシービーであった。

10年以上たった今でも明確に覚えているのだが、大逃げを打つ馬の2番手に控えて、直線半ばで先頭に立つと最後方から猛然と追い込んでくるシービーを尻目になんと2着に5馬身の差をつけ圧勝していたのだった。(シービーは3着)馬主生活2年目にして初のG1それもダービーという快挙だった。最初は、何が起こったのが分からずあぁ勝ったんだなと、淡々としたものだった。ウイナーズサークルで馬と一緒に写真を撮り、牧場に帰るとじわじわと喜びが湧いたものだった。その後ホリスキーで海外G1を勝つなどして波に乗り、そこから今の地位に上り詰めたのだった。ダービー以後のリードホーユーはG1を5勝するなどして

種牡馬となり、皆に求められてシンジケートを組むことになり、我が牧場を離れたのだった。手元に残った株で自分も何頭かに種付けしていたのが、繋養先が事情によりシンジケートを解散し、乗馬になりましたとの突然告げる手紙が届き、買戻しオファーすら出来ずに私には後悔だけが残った。幸い自牧場には数少ないリードホーユー産駒の牡馬(母アグネスフローラ)がいる…これを繁殖に上げ何とかスインフォード系を継続させようと思い立ったのだった。幸い資金・施設も充実しているので、1血統ぐらい道楽ができるはずだ…

次章へ続く

「今日の売上の締めは終わりっと」

シホは売上帳を締めると、店長であるジュンに提出した。

「店長後で確認お願いします」

「分かったわ、今日もお疲れ様、帰ってゆっくり休んでね」

「はい、店長も気をつけて」

と言うとフリッパーを後ろにして店長室を出た。

そして、宿泊室担当のペンギンにお疲れ様、お先にねと声を掛け、

静かになった喫茶店の裏からそっと店外に出た。

いつものように春が来て花の咲くジェンツーロードを少し速歩で家路への急いでいた。

春のジェンツーロードは、いつもより華やいで見えるのだった。

シホは、突然足を止め、ふと空を見上げた。空にはうっすらと星が輝いていた。

「綺麗ねぇ…」

とシホは呟き、そしてさっきより速歩になった。

「急がなくちゃ…もうすっかり暗くなっちゃった」

と急ぎながらまた呟いた。急いでいけば、ペンギンの足でも5分はかからない距離にシホの家はあった。
「ただいま~」

と元気よくシホは玄関を開け、中へと入り、PCの置いてある机に急いだ。


「さてと…」

最近はよくPCを開いているので、よく掃除をしているPCを開いておもむろにブログを書き始めた。


皆さん今晩は、シホです♪

驚いたでしょう…こんなに短い間にブログを更新するなんてw

私もちょっと気が向いて書いてみました。

店では、マゼランさんとかイワトビさん、マカロニさん達が旅立ちの用意をしてる話が飛び交ってます。

もうそんな時期なんですね…皆が旅立ってしまうと、いっぺんに寂しくなります。

かといってお客様が来なくなりわけではなく、私達ジェンツー及びはぐれペンギンさん達の来訪も

あったりそれなりに忙しい日々になります。

それに…先日から始まった養殖事業が本格化して、そのメンテナンスもしなければなりません。

また半年後、帰ってきたペンギンさん達においしく・楽しく・くつろげる場所を提供しなければならないのですから…

それから、後輩たちも元気よく皆、色んなことを学んで成長しています。それが、私とても嬉しいです。

またそんな話を折を見つけて書きたいと思ってます。

皆さんよろしくですノシ


そこまで書くと、更新ボタンを押し、PCを閉じた。

そして、シホはノビをして石のベットに腹這いになり、目を閉じた。

しばらくすると、静かな寝息と共に眠りに落ちていった。


「皆…頑張ってお姉さん応援してるぞ…」

シホはいつもの帰り道をゆっくりと歩いていた。

しかし少し気がかりがあった。筆不精とは言え、また一年近くブログを放置してしまったからだ。

副店長格から正式に副店長へと昇格し、部下達にも慕われるそんな存在になっていた。

特に必殺棚卸人の異名を持つミャーコやその相方で、人気者のマリと言う存在はシホにとっても心強いものとなっていた。

二羽は、特にシホを慕っていて一緒に昼食をとったり、遊びに行ったりするような仲になっていた。

そんな部下に恵まれシホは幸福であった。他にも毎年のように新しいペンギン達が入ってきて楽しい時間を過ごしていたのだった。そんな日々の中から少しずつでもブログを書けばいいのにねと、シホは考えていた。

「まずは少しずつでいいから書こう…そして続けていくことをね…」

とシホは呟いた。

「シホ先輩~お先です~」

不意に後輩の声が聞こえた。

「お疲れ様~また明日ね」

と少し足を止めフリッパーを振って答えた。

そしてマリの姿がある程度見えなくなってから、シホは、また家路へと歩み始めた。

シホは、最近引っ越しをして花のたくさん咲いている場所に住んでいた。

そんな花畑の中を自分の巣へにむかってゆっくりと歩んでいた。

空は、少しずつ暮れ始めていて、シホの影は長くなっていた。

また日の光によってシホの体は、白い羽は一段と白く、黒い羽は濃紺に輝いていた。

そうこうしてるうちに、巣の前につき、シホは息を整えて巣の中に入った。

巣の中はいつもと変わらない小石のベッドと石の机とその上にはたまにゲームしかしなくなったPCが置かれていた。

「今日も疲れたなぁ…」

と言って石の机にむかい、PCを立ち上げブログを書き始めた。


皆さん久々です、元気してましたか?

私は元気です(◉Θ◉)

色んな仲間に囲まれて楽しい生活を送ってます。

副店長に昇格して、今までとは違うことも学んでます。

これからは経営のことも勉強しなければなりません。

今まで通り1つ1つ丁寧に頑張っていく。

それが私の決めたことです。

それが私が評価されたことだからです(`・Θ・´)キリッ

そんな私を応援してくれると嬉しいです♪

そこまで書くと、シホは一息ついた。

そして思い立ったように続きを書き始めた。


次の世代を担う人財を育てていくのも私の役目になるのかなとも思っています。

私、皆とわいわいやっていって盛り上げていくのことが好きなので、

これからももっともっとお店を盛り上げていきたいです。

 

そこまで書くとシホはノビをして、キュッとフリッパーで体を締めてから、PCの電源を落とし、

石のベットに腹這いになって目を閉じた。

疲れていたのですぐにシホは眠りに落ちてしまった。




タイトル:必殺棚卸人ミャーコ~カフェ温順外伝~
登場人鳥 ミャーコ:主人公 棚卸大好き、しっかり者
       シホ:カフェ温順の副店長 どこか抜けている
       マリ:ミャーコの同僚 仕事に忠実で、ミャーコの大の仲良し
       ナレーション:

ナレ:とある日のこと。ペンギン達が多く住む、ある島に、ペンギン達が経営するカフェ温順という店がありました。そこでは、毎月恒例の(?) 棚卸しが行われています。この物語は、棚卸しに奮闘するペンギン達を描いたお話です。

(ミャーコは意気揚々とフリッパーを後ろにして、力強い足取りで自信を持って入ってくる)
ミャ:「よし、頑張る~!」(と気合を入れて、タイムカードを押す)
ミャ:「今日は得意な棚卸しだ、張り切るぞぉ♪」(と再度気合を入れる)
シホ:「ミャーコちゃんおはよう。今日は、あなたの得意な棚卸しだから頑張ってね」
ミャ:「副店長お早うございます。本日もよろしくです」
(すっとマリ登場)
マリ:「お早う、ミャーちゃん」
ミャ:「あっおはよう今日もよろしくね、マリちゃん今日もかっこよくいくわよ」(フリッパーをパタパタさせる)
マリ:「うん、よろしくね」(同じくパタパタさせる)
(ミャ-コは、いつものパートナーのマリと一緒に倉庫へ入る)

ナレ:倉庫には、カフェで出される様々な茶葉や、コーヒー豆、ペンギンソーダの素、パフェの素、アンチョビー等があった。今回、その在庫担当責任者を任されたのがミャーコ達であった。

ミャ:「よしまずは、茶葉からね、えっと何gかし…」(言い終わらないうちに)
マリ:「誤差50g以内、問題なしです」(しっかりと答える)
ミャ:「流石早いわね…じゃあ次はペンギンソーダの素」
マリ:「ソーダの素、入庫・出庫・在庫とも誤差なしです」(すらすらと答える)
ミャ:「次は…」

ナレ:とこんな具合に次々に進んでいった。ミャーコ達が在庫担当責任者を任されたのは理由があった。それは、狂いの少ない正確な仕事ぶりを評価されたからである。
特にミャーコは、必殺棚卸し人と呼ばれるくらい棚卸しの仕事ぶりには定評があった。また、2羽の息のあったコンビぶりにも目を見張るものがあった。
(少し間があって副店長シホ登場)
シホ:「疲れたでしょう、そろそろ昼食にしましょう」(ねぎらうように天然で)
ミャ&マリ「はぁ~い」(倉庫の奥から)

ナレ:3羽は倉庫を出て昼食を取る為、社員休憩室に入った。
昼食はまかないが、カフェ温順のルールであった。
今日のまかないはナンキョクオキアミのサラダだった。

ミャ:「わぁー、今日はオキアミサラダだ~」(と笑顔で言う)
マリ:「うんうん、今日は最高ね」(うなずきながら)
シホ:「でしょう?今日は棚卸しだから奮発したのよ」(満足そうに)
(少し間があって)
シホ:「うーん、そうそう…2羽とも仲がいいのね…お姉さん羨ましいぞ」(とフリッパーでつつきながら)
ミャ&マリ「うふふふ、私達嫁同士だもんね」(声を合わせて)

ナレ:そうしているうちに、お昼が過ぎ、ミャーコ達は、意気揚々とまた倉庫へ入って行った。

(入荷日ごとに並んでいる水槽を見ながら)
ミャ:「アンチョビー、アンチョビーたくさん残ってないかな~」(歌いながら)
マリ:「今日の夕飯、アンチョビーちゃん♪」(同じく歌いながら)
ミャ&マリ「ラ・ラ・ラ~アンチョビー♪ウフフフ♪」
(ミャーコ、我に返る、マリはまだ浮かれている)
ミャ:「はっ、でも今は…目の前にあるアンチョビーの在庫確認ね…」
(そんな独り言にも似た言葉を聞いてマリは、鼻歌をやめ作業に入る)
(それを待って)
ミャ:「まず1月前の入荷分から…マリ、どんな感じ?」
マリ:「ひと月前は2尾だけね、これは管理表通りです」(と言ってニコニコする)

ナレ:マリがニコニコしているのは、理由があった。アンチョビーの在庫期限はひと月と決められていたからである。つまりその時点で在庫になったアンチョビーは処分されることになるのだが、それは棚卸しを担当したペンギンが貰えることになっていたからだった。

ミャ:「うん、それは良かった」(本当に嬉しそうに)
マリ「うん」(ものほしそうに水槽を見ながら言う)
(マリの顔を横目で見ながら、自分を抑えて)
ミャ:「よし次、その2日後は…」(きりっと)
マリ:「ざ、在庫は、60尾で、-1なので許容範囲です」(もの欲しさをこらえながら)

ナレ:-1尾がなぜ許容範囲かというと、それは実にペンギンらしい理由からであった。
目の前に大好物のアンチョビーがあると、店員であろうと、つい「パクッ」と食べてしまうからであった。それも考慮されていて、少しの在庫があわないのは許されていた。

ミャ:「私が棚卸しをしてあわないわけがないから」(上機嫌に言う)
マリ:「おいしそうなアンチョ…いやそうね、そうよね、うんうん」(慌てて言い直す)
(マリは次々にアンチョビーの入っている水槽を見ながら)
マリ:「どれも美味しそうな…おっと仕事、仕事…」
ミャ:「マリは食いしん坊なんだから」(聞こえないように小声で)
マリ:「ん?何か言った?」
ミャ:「…なんでもないよ。後少し頑張ろう!」
マリ:「うん」(アンチョビーを目で追いかけている)
(2羽急いで仕事を再開する)

ナレ:そうこうしているうちに、ミャーコ達は最後の水槽にとりかかった。
そこで事件が起こったのだった。少し少ないとかちょっと多い分には問題がないのだが…20尾も、
アンチョビーが多かったからである。まぁ入庫の時期によってはアンチョビーの産卵の時期と重なり卵が孵ってたくさん増えることはあるのだが、今はその時期ではなく、大量に増えることなどありえなかったからだった。

(ミャーコは思案をしながら)
ミャ:「…考えられることと言えば、今月分の入庫と来月分の在庫を混入してしまうことねぇ…副店長に確認してみないと…」
マリ:「…在庫があわないと…食べられないよ…アンチョビーサンドイッチ…しくしく」(独り言ぽく)

ナレ:そんな独り言を言っているマリを尻目に、ミャーコは副店長シホに内線をかけた。

(副店長シホに変わったのを確認して)
ミャ:「副店長…なぜか在庫が多いのです…もしかして来月分の入荷分と混同してませんか?」
シホ:「…そうなの?分かった確認してみるねぇ…」(ちょっと天然で抜けたように)
(シホ内線を切る)
(落ち込んでいるマリのそばにそっとミャーコ駆け寄って)
ミャ:「マリ、大丈夫よ、きっと。いざとなったら2羽で食べて数を合わせればいいんだから」(気遣いながら言う)
マリ:「ぜ、全部?私もりもり食べちゃうよ…だって食いしん坊だもん…」(緊迫感なく言う)
ミャ:「うんうん、そうね(ぜ、全部食べる気なんだ…)」

ナレ:しばらくして副店長のシホから折り返しの内線がかかってきた。

シホ:「ミャーコちゃん、来月分の入荷はまだしていないみたいねぇ…」
ミャ:「…そうですか…じゃあなにが…」(と原因を探るように言う)
シホ「…あっ待って!そういえば、うんうん」(何か思い当たる)
ミャ:「えっ?!…」
シホ:「…ちょっと店長に確認してみるね…倉庫にいてね…内線切るね…」
ミャ:「分かりました」
(ミャーコも内線電話を置くと落ち込んでいるマリを励まして)
ミャ:「…もう1回在庫確認するわよ、棚卸し人の名に掛けて」(きりっという)
マリ:「…う、うん…ア、アンチョビー…ア、アンチョビーなぜ増えちゃったの…」(しょんぼりしながら、適当なリズムで歌う)

ナレ:ミャーコ達はもう一度確認作業に入ったが、でもやはり20尾増えていることに変わりはなかった。ミャーコ達は、思案にくれ、急にどっと疲れが出て腹這いになって眠くなりうとうとし始めた。

ミャ:「…私自信なくしちゃう…この棚卸しだけは自信があったのに…」(しょんぼりしながら言う)
マリ:「…大丈夫だよ…ミャーちゃんのせいじゃないよ…」(励ます)
ミャ:「ありがとう…きっとそうよね…」(少し眠そうな声で)

ナレ:ミャーコ達は諦めて寝入りそうになった時、突然内線が鳴った。

(急いで立ち上がりミャーコがとる)
ミャ:「…副店長原因がわかったのですか?」(息をきらして)
シホ:「ごめん、ごめん、店長がさぁ、昨日から始めた養殖分を同じ水槽に入れちゃったんだってさ…だから20尾増であっているって…あははは、ごめんねぇ」(どこか抜けた口調で)
ミャ:「そうですか!有難うございます!良かった♪」
シホ:「私今からそっちに行くから、ちょっと待っていてくれる?」
ミャ:「はい分かりました。」(受話器を置く)
ミャ:「養殖ですかぁ…なるほど…」(自分で納得する)
(と言って内線を置いて、ゆっくりと立ち上がったマリのそばに駆け寄って)
ミャ:「マリ聞いて、20尾増であっているって!これで在庫の2尾持って帰れるね…」
マリ:「そうなんだ…(20尾全部食べられないのは)ざんね…いや良かったね、ミャーコちゃん…」

ナレ:そんな会話を交わしている間に、副店長シホがやってきた。シホは申し訳なさそうな顔をして2羽を見つめた。

シホ:「今日はご苦労様~」

ナレ:そして、在庫になっていたアンチョビーを袋に入れて2羽に渡した。

ミャ&マリ:「やったー」
シホ:「それから、ちょっと待っていてね」
ミャ&マリ:「はい」
(シホ倉庫の奥にちょっと消える)
シホ:「店長がおわびにって、アンチョビーとオキアミをあげてねっって」

ナレ:シホの手には、新鮮なナンキョクオキアミ10匹ずつと少し大きめなアンチョビーが1尾ずつ入った袋が、合計4袋あった。

ミャ&マリ:「わぁいいんですか?有難うございます」
シホ:「今日は疲れただろうから、帰っていいわよ」
ミャ&マリ:「じゃあ、お先に失礼します」(と、頭を下げる)
(ミャーコとマリは、左右フリッパーを広げながら楽しく話す)
マリ:「…アンチョビーは2尾だったけど、代わりにオキアミだったから、嬉しいなぁ えへへ」
ミャーコ:「もう、マリは食いしん坊だな…」(とフリッパーで軽く肩を叩く)

ナレ:ミャーコ達の顔はとても充実していた。こんな楽しいことを信頼して任せてもらえることに喜びを感じていたのだった。

ミャ:「また来月も一緒にしたいね」
マリ:「うん」

ナレ:ふと気が付くと、日は落ち始めていて、2羽の歩く影は、長くなっていた。

登場人鳥 ミャーコ:外伝の主人公 棚卸大好き

       シホ:カフェ温順の副店長

       ジュン:オーナー名前だけ登場

       マリ:ミャーコの同僚 

       他



今日は、カフェ温順の毎月恒例の棚卸がおこなわれようとしていました。

そんな中、ミャーコは意気揚々とフリッパーを後ろにして、力強い足取りで自信を持って出勤していました。

カフェ温順の従業員用の入口に近づくと、ぴたりと止まり、一言「よし、頑張る!」と気合を入れて、ドアをフリッパーで押して開けて中に入り、すぐにタイムカードを押した。タイムカードは、かわいた音で時刻を打刻すると、すぐに上がってきた。

「よし!今日は頑張るぞ♪」

ミャーコは気合を入れた。

「ミャーコちゃんおはよう。今日は、あなたの得意な棚卸しだから頑張ってね」

「副店長お早うございます。本日もよろしくです」
声を掛けてきたのは、副店長のシホであった。シホは、アルバイトから様々な経験を積んで、副店長までなり、そして、次の店長候補とされているペンギンであった。ただシホは、しっかりとしているという感じではなく、どこか抜けている所があって、そこがとても憎めなくていい所だなと、ミャーコは思っていた。

「さてするか」とミャーコは気合を入れる為にフリッパーをパタパタさせた。そしていつものパートナーのマリと一緒に倉庫へと入った。

カフェ温順は、飲食店であったので主に食品の在庫管理を行っていた。カフェで出される様々な茶葉や、コーヒー豆、ペンギンソーダの素、パフェの素、アンチョビーサンドイッチの用のアンチョビーであった。これらの食品はg単位及び魚は匹単位で納入されていた。その中で特に人気があったのはアンチョビーサンドイッチであった。この商品は特に消費が早く他の店では在庫が切れることもままあった。しかし、カフェ温順本店ではそのようなことは決してなかった。アンチョビーが獲れる漁場が近くにあることと、そしてなにより在庫管理がしっかりしているからであった。その一端を担っているのがミャーコだった。ミャーコが担当し始めてからアンチョビーの在庫がちょっとしか狂うことがなくなったのであった。そのちょっとの狂いというのが、ペンギンらしい理由であった。まぁ自分たちの好物であるアンチョビーを目の前にして本能が我慢できるはずもなく、ついパクッと食べてしまうからであった。でもそれは常識の範囲内であったら許されていた。ただそれがすぎると、店の経営が成り立たなくなってしまうので、こうして管理していた。

「よしまずは、茶葉からね、えっと何gかし…」

とミャーコが言い終わらないうちに

「誤差50g以内、問題なしです」

とマリが答えた。

「流石早いわね…じゃあ次はペンギンソーダの素」

「ソーダの素、入庫・出庫・在庫とも誤差なしです」

という風に次々とこなしていった。

この日はとても順調で午前中のうちに最難関のアンチョビー以外をすべて終えた所で副店長のシホが

「疲れたでしょう、そろそろ昼食にしまししょう」

と入ってきた。そうして3羽で外に出て、昼食をとった。

昼食はまかないがカフェ温順のルールであったそれはナンキョクオキアミのサラダだった。これは、宿泊の客やVIPにしか出されないものであった。それは貴重というわけではなく、南極支店から取り寄せているのと、養殖しているからであった。だから、味見を兼ねて賄いとして出しているのである。

それが食べ終わると、シホが午後もよろしくねと言って店の方へ帰っていった。

ミャーコとマリは、それを見送ると、すぐに倉庫に入りいつも足りなくなるアンチョビーにとりかかった。

昔、アンチョビーは、在庫管理をしなくてもたくさん獲れたのだが、今は環境の影響かなかなか入荷できなくなっていた。そのことで店長のジュンは何か秘策があるようだと、ミャーコは噂に聞いていた。そうなったら少しは楽になるのにとミャーコは思っていた。

「でも今は…目の前にあるアンチョビーの在庫確認ね…」

そんな独り言にも似た言葉を聞いてマリは不思議そうな顔をしたが、この作業をする時はいつものことだなと納得して頷いて作業に取り掛かった。

「まず1月前の入荷分から…マリ、どんな感じ?」

マリは水槽をのぞき込みながら

「一月前は2尾だけね、これは管理表通りです」

と言ってニコニコした。その理由はアンチョビーの在庫期限はほぼ一月と決められていたからである。つまりその時点で在庫になったアンチョビーは処分されることになるのだが、それは棚卸しを担当したペンギンが貰えることになっていた。だからニコニコしてるのである。

「うん、それは良かった」

「よし次、その2日後は…」

「在庫は、60尾で、-1なので許容範囲です」

という具合に今日は珍しくどんどんと数値が合致していった。

「私が棚卸しをしてあわないわけがないから」

ミャーコは自信を持って言った。事実ミャーコが担当している時、ずれがほとんどなく、時間も素早く終わることで有名であった。それによって必殺棚卸人との異名が定着していた。ミャーコもそれが嬉しかった。

そうこうしているうちに、ミャーコ達は最後の水槽にとりかかった。そこで事件が起こったのだった。少し少ないとかちょっと多い分には問題がないのだが…20尾以上もアンチョビーが多かったからである。まぁ入庫の時期によってはアンチョビーの産卵の時期と重なり卵が孵ってたくさん増えることはあるのだが、今はその時期ではなく、大量に増えることなどありえなかった。考えられることと言えば、今月分の入庫と来月分の在庫を混入して入れてしまうことであった。それを急いで確認する為シホに確認を取るため、内線をかけた。しばらくしてシホが出て確認すると、来月分の在庫はまだ到着していないことが分かった。シホは店長に確認してみるねと、内線をおいた。マリちゃんは、今日は早く終わって美味しいアンチョビーにありつけるとおもっていたのだが、ちょっとがっかりしていた。そんな中、ミャーコは、他の理由を考えてみて、もう一度マリと在庫を確認したが、理由はみつからなかった。そう、減ることはあっても、増えるというのはありえなかったからだ。2羽は、思案にくれ、急にどっと疲れが出て腹這いになって眠くなりうとうとし始めた時、突然内線がなった。

「ごめん、ごめん店長が、昨日から始めた養殖のアンチョビーを一緒にしっちゃたんだって…だか20尾増であってるからって…ごめんね…」

シホからであった。

「…養殖?ですか…わかりました、有難うございます」

と言って内線を切った養殖という言葉が引っかかったが、そのことをありのままに告げるとマリはほっとした。

「良かったこれで、在庫の2尾貰って帰れるね、ミャーコ」

「うん」

棚卸しが終わったことを確認したシホが急いで倉庫にやってきた。

「今日はご苦労様」と言って在庫になっていたアンチョビーをすくって2羽に1尾ずつ渡した。

「ちょっと待っててね」と言って奥にちょっと消えると何かを持って2羽の所に来た。

「店長がおわびにって、奥からアンチョビーとオキアミをあげてね」

と言いながら新鮮なナンキョクオキアミ10匹ずつと少し大きめなアンチョビーを1尾ずつ持って来てくれた。

「わぁいいんですか?有難うございます」と2羽は声を揃えていった。

「今日は疲れただろうから、帰っていいわよ」

とシホが告げると2羽はお先に失礼しますと、頭を下げて帰っていった。

ミャーコとマリは、左右フリッパーを広げながら楽しく話しながら帰った。

ミャーコの顔は充実していた。こんな楽しいことを信頼して任せてもらえることに喜びを感じていた。

またこれを来月もしたいなと思っていた。必殺棚卸人の名にかけて…

2羽の歩く影は、いつの間にか長くなっていた。