私には姉がいる。2つ上の、自慢の姉だ。私達姉妹は2人っきりで森に住んでいるけど、姉様がいるから寂しくない。私は覚えてないけど、私達の両親は私が小さい頃に事故で死んだらしい。
「姉様、森の外ってどんな風なんですか?」
「この間持ってきてあげた絵本のように、とても綺麗な世界よ」
「私も外に行きたい!」
でも、姉様は私が森の外に出る事を許してくれない。その理由も、教えてくれない。
―――私はいつか、この目で外の世界を見る。この足で、外の世界の土を踏む。
いつからか、そう心に決めていた。
私が姉様に外の世界の事を聞いてから数日後。姉様は仕事で急に森を出る用事が入ってしまい、出かける事となった。
「いい子で留守番しているのよ。またお土産を買ってきてあげるから」
姉様は私の頭を撫でて、この家のある森を出て行った。
―――今こそ、外に出る時だ。
私はそう決めて、まずは家の外に一歩を踏み出した。
森は私の庭だ。何所に何があって、何処に行ってはいけないのかしっかり把握している。でも、森の外には行けなかった。
魔法使いの姉様が、私が外に出ないように常に結界を張っているからだ。今もしっかり働いているようだが、何事にも抜け道という物がある。
「姉様も多分気付いてない~、結界の破れ目~♪」
調子外れの鼻歌を歌いながら、私は森の外へと注ぐ小川へ近付く。小柄な私が屈んでやっと通り抜けられるかどうかという小ささだが、それでも結界は破れていた。半ば意地で、私はそこを潜り抜けた。
絵本や姉様の話の中でしか知らない外の世界を創造しながら、私は結界の外へと足を踏み出す。
瞬間、世界が傾いだ。
「あ、れ・・・?」
外の世界。木に遮られてない青空。私にはとっても広い。川が外へと続いていく。川ぞいの道を歩く前に、体が傾いだ。姉様の顔が、きおくが、思い出がきえていく。
お日さまをさえぎる、だれかのかげ。
「ごめんなさい、かわいい妹」
しってる声。だいじな声。だいすきな声。だれのものだっけ?
わかんない。
「おやすみなさい」
あいさつはちゃんとかえさなきゃ。
・・・うん、おやすみ。
もうよるになったのかな?
なんにもみえないや。
―――私は目を閉じた《妹》の頭を撫でると森へと入った。
「全くもって、今までのコ達に比べれば上出来だったのにね。」
私は、森で魔導人形を創る人形師だ。最終的な目標はヒトのように考え、ヒトのように思考し、己の意思で歩く人形。その試験体が、この《妹》だ。
欠点は唯一つ、この森の中でしかその存在を維持できない事。
「これで、100人目ね。まったく、いつになれば完成できるのかしら・・・」
地下室にしつらえた墓場に降り、棺桶の中に100人目の《妹》を横たえる。他の99の棺に眠るのも、やはり外を目指して果てた《妹》達。今度こそと思ってはまた失敗し、それでも「いつか」を夢見る人形師が積み上げた屍の山。
私はドアを閉めた。
「安らかにおやすみなさい、私の妹達」
「姉様、森の外ってどんな風なんですか?」
「この間持ってきてあげた絵本のように、とても綺麗な世界よ」
「私も外に行きたい!」
でも、姉様は私が森の外に出る事を許してくれない。その理由も、教えてくれない。
―――私はいつか、この目で外の世界を見る。この足で、外の世界の土を踏む。
いつからか、そう心に決めていた。
私が姉様に外の世界の事を聞いてから数日後。姉様は仕事で急に森を出る用事が入ってしまい、出かける事となった。
「いい子で留守番しているのよ。またお土産を買ってきてあげるから」
姉様は私の頭を撫でて、この家のある森を出て行った。
―――今こそ、外に出る時だ。
私はそう決めて、まずは家の外に一歩を踏み出した。
森は私の庭だ。何所に何があって、何処に行ってはいけないのかしっかり把握している。でも、森の外には行けなかった。
魔法使いの姉様が、私が外に出ないように常に結界を張っているからだ。今もしっかり働いているようだが、何事にも抜け道という物がある。
「姉様も多分気付いてない~、結界の破れ目~♪」
調子外れの鼻歌を歌いながら、私は森の外へと注ぐ小川へ近付く。小柄な私が屈んでやっと通り抜けられるかどうかという小ささだが、それでも結界は破れていた。半ば意地で、私はそこを潜り抜けた。
絵本や姉様の話の中でしか知らない外の世界を創造しながら、私は結界の外へと足を踏み出す。
瞬間、世界が傾いだ。
「あ、れ・・・?」
外の世界。木に遮られてない青空。私にはとっても広い。川が外へと続いていく。川ぞいの道を歩く前に、体が傾いだ。姉様の顔が、きおくが、思い出がきえていく。
お日さまをさえぎる、だれかのかげ。
「ごめんなさい、かわいい妹」
しってる声。だいじな声。だいすきな声。だれのものだっけ?
わかんない。
「おやすみなさい」
あいさつはちゃんとかえさなきゃ。
・・・うん、おやすみ。
もうよるになったのかな?
なんにもみえないや。
―――私は目を閉じた《妹》の頭を撫でると森へと入った。
「全くもって、今までのコ達に比べれば上出来だったのにね。」
私は、森で魔導人形を創る人形師だ。最終的な目標はヒトのように考え、ヒトのように思考し、己の意思で歩く人形。その試験体が、この《妹》だ。
欠点は唯一つ、この森の中でしかその存在を維持できない事。
「これで、100人目ね。まったく、いつになれば完成できるのかしら・・・」
地下室にしつらえた墓場に降り、棺桶の中に100人目の《妹》を横たえる。他の99の棺に眠るのも、やはり外を目指して果てた《妹》達。今度こそと思ってはまた失敗し、それでも「いつか」を夢見る人形師が積み上げた屍の山。
私はドアを閉めた。
「安らかにおやすみなさい、私の妹達」