午前の撮影を終えて、カズのマンションに二人で帰って来た。
「はぁ~、つっかれたぁ~」
ボフンとソファに埋るカズ。
俺はカズの荷物を片付け、キッチンへ行きながらカズに声をかけた。
「カズ~、なんか飲む~?」
「コーヒー」
間髪入れずの返答に、笑いそうになりながらコーヒーをセットした。
勝手知ったるカズの部屋。キッチンを使うのも俺の方が多いから、もう既に自分の家みたいになってる。
お揃いで買った青と黄色のマグカップを出して、相葉ちゃんにもらったビスケットも一緒に出す。
「さとし~、オレのゲームはぁ?」
ソファから一切動く気ないな………。完全に寝そべって、キッチンから見えるのは指の先だけ。
仕方なくカズのカバンからゲーム機を取り出してほれっと投げて渡す。
「おわっと。もー危ないじゃん。壊れたらどうすんだよぉ」
「じゃあ、起きて自分で取りなよ」
全く、ワガママ姫が……。
そうこうしている間にコーヒーが全て落ちきったのでカップに注ぐ。
マグカップ二つとビスケットを入れた皿をトレーに乗せてリビングに行く。
トレーをローテーブルに置いて、カズの足元にどかりと座った。
直ぐに絡まってくる足を好きにさせながら、うーんと大きく伸びをした。
疲れたけど、楽しい夏休みになったなぁ。俺とカズの絆もより深まったし、海っていう解放感からかカズがとっても積極的だった。思い出すだけで体が熱くなってくる。
「ちょっと、智。今なんか変なこと考えたでしょ」
「ほぇ?」
昨夜のカズを思い出した所でそう声をかけられて、変な声が出てしまう。
やばいやばい。なんでバレたんだ……。
「考えてないよ。そういうカズこそ、そんな事言って、怪しいな」
そう言うとうつ伏せているカズの白い襟足がほんのり赤くなる。
そんな反応されたら、ほっとけないだろ。
絡まる足を避けてカズの上に覆い被さるとその襟足にキスをする。
んっとくすぐったそうに首をすくめて、振り向いたカズは、既に潤んだ瞳で。
俺の下でくるりと体の向きを変えると、直ぐに俺の首に回される白い腕。
一瞬の見つめ合いの後、チュッチュッと触れる唇。
「ふふっ、んふふ」
「んふふ 、なに?」
カズの顔の横に肘をついて見つめると、ご機嫌に微笑むカズ。
「んー、オレね、今、チョーしあわせ」
………せっかく淹れたコーヒーだけど、また後で入れ直そ。
カズの首筋に顔を埋めて、コーヒーよりも俺の鼻腔をくすぐる芳醇な香りを吸い込んだ。
後日出来上がったポスターは2枚。
一枚は色気ダダ漏れで仰向けに横たわるNINOの胸元に光る星と月がモチーフのネックレス。
もう一枚は、海の中でキスをする二人。逆光で顔ははっきり見えないけど、これって………。
「あの時の……………マジか……」
あの日のJUNの顔を思い出して、大きくため息をついた。
fin.