当初の予定を変更して、夜の撮影は無しになった。スタッフたちがどうします?と聞いてきたのに対し、JUNは意味ありげに笑ってもういいよ、なんて言ってた。
なので、ゆったり過ごせた夕食後の時間。
ビールは昼間にしこたま飲んだから、コーヒーとJUNが作ったと言うチョコレートケーキを食べた。これがまた、絶品で。
JUNの意外な特技や、相葉ちゃんの天然エピソードトークなどに花を咲かせていたら、俺の横に引っ付いて座っていたカズくんがなにやらモゾモゾしはじめた。

「カズくん、眠いの?」

「ん?んー………」

目がトロンとしているし、体の触れてる部分がほんのりあったかい。

「ニノ、今日は泣いて疲れたんじゃない?もう寝な」

櫻井さんが優しくそう言うと、JUNもそうだな、と言って食器などを片付け始めた。そして、俺の方を向いて

「大野さん、ニノと一緒でいいんだろ」

「へっ?」

「部屋だよ。他に空いてないし」

あ、そうか。俺、押し掛けたようなもんだしな。

「あ、でも」

くるりと振り返ったJUNがニヤリと笑う。

「明日ももう少し撮影あるから、ほどほどにしてくれよ」

軽くウインクしてキッチンに向かった。

「なっ!分かってるよ!」

てゆうか。既に半分目が閉じちゃってるカズくんに、何するっていうんだよ。いや、まあ、もしかしたら、触ってたら、目覚めないかな?とか思ったりしないこともないけど………。
…………ダメ元でやってみるかな。何気に昼間から焦らされまくってるんだよな。
よしっ。

俺はカズくんの肩を軽く叩き、声をかける。

「カズくん。もう部屋に行こう」

「んぅー。さとしもいっしょー」

両手で目を擦りながら、寝ぼけた舌ったらずな声で言うカズくんは超絶キュート。今すぐ食べちゃいたい気持ちを押さえて「一緒だよ」て言うと「さとし、だっこぉー」なんて両手を俺の首に絡ませる。

「うん。抱っこするよ。ほら、しっかり掴まってて」

カズくんの背中と膝裏に腕を差し込むと、ぐっと引き寄せ立ち上がった。
そうして二階への階段を上がり、一番奥の部屋に入る。

入る寸前、相葉ちゃんの「あー、お姫様抱っこ!オレもやって、しょーちゃん」てのと、櫻井さんの「や、むりぃー」ていう情けない叫びが聞こえた。