けさ洗濯物を干して、
あぁ寒い!早くうちの中に戻ろう!
と、石畳を駆けだしたら、飛び石に足を引っ掛けてすっ転んだ。
じんじんする手のひら。
ジーンズはどろんこ。
つつじにこすった手足は葉っぱだらけになっている。
「だいじょうぶ?」
すぐ後ろにいた母が駆け寄った。
大丈夫、と私は答える。
血は出ていない。
突然、小さな子どもの頃に帰りたくなった。
昔はこんな風によく転んだっけ。たくさん転んでは、はばかることなく大泣きした。
転んだ時に、
誰かに助け起こされる経験を
人は必要としていると思う。
ひとりではない。
自分は特別な存在だ。
母は子どもの頃の私にそう思わせてくれた。
もし誰かが目の前で転んだら、私もきっと手を差し伸べると思う。