夏休み真っただ中、普段より自由時間が一杯あるから、その有り余る時間をスマホやネットゲームに費やすという子も少なくありません。
夏休みが子どもたちのスマホ、ネットゲーム依存に拍車をかけることがないようにとの思いでこの記事を書きました。
内容は、依存物とは、依存症とは、子どもと依存症、その予防といったものです。
もし良かったらお読みください。
薬物、アルコールなどの依存症を引き起こすもの(依存物)の条件は以下の2つです。
・快楽を得られる事
・飽きにくい事、続けられる事
そもそも快楽をもたらさないものに人は自ら近づこうとはしません。だから注射依存症は起こり得ません。
また美味しいカラーライスは快楽を与えてくれますが、それが例えば一週間毎食続いたら多くの日本人は飽きてしまうでしょう。
だから日本人ではカレー依存症は起こりません。
加えて遊園地は私たちに快楽を与えてくれますが、時間的経済的制約からそこに毎日通い続けることはできません。だから遊園地依存症もありません。
先述した2条件、快楽を得られる事、飽きにくいことまたは続けられる事、を満たすものが依存物になり得るのです。
スマホやネットゲームはこれらの条件を満たすもの、つまり依存物なのです。
でもそのことを、子どもたちはあまりよく知りませんし、大人でも知らない方がいます。
さて、人はどのように依存物に取り込まれていくのでしょうか?
人は初め、依存物が快楽を与えてくれるから、それに接触するようになります。
快楽が得られるから依存物と接触しようとする、これを正の強化といいます。
しかし、依存物に触れ続けるうちに触れていないと不快感を抱くようになります。
触れていない不快感を解消するために一層依存物に接触するようになることを負の強化といいます。
触れていないと不快になる、不快故に依存物に触れる、
その結果触れていないときの不快感がなお強化され、最終的には片時もそれを手放せなくなります。
人はこのようなプロセスで依存症になってしまうのです。
そしてもっとひどくなると、日常生活を送れなくなり、薬物療法、カウンセリング、入院治療、ということになってしまいます。
子どもは大人より依存症になりやすいことが知られています。
「何かしたい、でも今は我慢しなければ」という心の働きを衝動抑制と言います。
衝動抑制を担う脳の部位はおでこの奥にある前頭前野と言われる部分です。
しかし人間の脳は後頭部から前頭部に向かって発達するという発達の順序があるため、
前頭前野の発達が完了するのは20代半ば以降なのです。
つまり子どもは前頭前野が未発達で衝動を抑えることが十分にできないため、
大人よりも依存症に対して脆弱な存在なのです。
だから大人と同じようにスマホやネットゲームを使っていても子どもの方が何倍も依存症になりやすいということです。
それでは子どもたちをスマホ依存、ネットゲーム依存にしないために、私達に何ができるのでしょうか?
それは、スマホやネットゲームは依存物であると子どもに伝え続けること、です。
この記事を書くにあたって参照させて頂いた久里浜医療センターの医師、中山秀紀さんによれば、
ある高校でインターネットの依存性や使い方の注意点に関するワークショップを年9回行ったところ、子どものネット依存度が減ったという事例があるそうです。
私もデジタル機器依存傾向が疑われる子どもたちにスマホやネットゲームの依存性の話を繰り返しすると、その付き合い方を見直してくれる子が一定数いました。
このように伝えることにはスマホ依存、ネットゲーム依存から子どもたちを守る効果があるのです。
ぜひこの記事を読んで知ったことをお子さんに伝えてあげてください。
子ども達だってそれが自分を害するかもしれないと知れば、付き合い方は変わっていくはずです。