オルソケラトロジーのケースとスポイトを六か月使ったので先週更新した。

 これまで使ってきた古い方は、一応、なんかあった時の予備として取っておこうと思う。

 

 …でも、旧ケースとスポイトは六か月もお世話になってきたので、これまでの汚れがどのくらい蓄積されているかは見た目にはわからん。コンタクトレンズの保存消毒はMPS(まるちぱーぱすそりゅーしょん)を使用しているが、MPSは消毒能力があまり高くはないとのことなので、その点も少々不安ではある。

 

 予備ケースやスポイトをいざ使う際に、上記のことが原因で感染症に罹る可能性がどれほどあるかは、専門家でない俺にはわからない(ほとんどないだろうが)

 よって、予備備品を長期保管する前に、一旦ガツンと消毒をかましといた方が、急に古いケースやスポイトが必要となった時に心持ち安心な気がする。

 

 その消毒方法をどうするか。漂白剤とかは効くかもしれないけど、万が一残留すると悪影響がとても怖い。他にも強力な殺菌資材はあるが、やはり同様の心配はあるだろう。

 

 

 ということで、シンプルに、古いケースとスポイトを鍋で煮てみた。

 

 

 普通に鍋で煮る。

 

 今のコンタクトレンズは、消毒のために煮るなんて素材の劣化を招くのでとても考えられん事である。だが、古き良き時代はMPSなどなく、煮沸が唯一の消毒方法だったので、レンズやケースを専用の機器で煮沸してたらしい。まじかよ。だがそんな専用機はないので普通にケースとスポイトを鍋で煮る。

 

 とりあえず10分ほど沸騰状態を維持してみたが、割となんともない。耐熱性が高いシリコンゴム性のスポイトも全く問題なし。レンズホルダーのカニ爪の素材が柔らかいので、そこはひょっとしたら変形するかもと思ったがそれも無事。

 スポイトは大丈夫だという確信があったが、ケースも案外なんともないもんだなぁ。これでMPSでも死に切らなかった菌が居なくなってくれることを祈る。

 

 

 だがしかし。

 菌の中には沸騰状態の中に突っ込んでも生存するものがあるという。

 アカントアメーバのシストも100℃で60分煮ても死なないらしい。まぁシスト体ならば流水で流れやすいので余程良いとは思うが、そこは念のため心情的に万全を期しときたい。

 

 

 そこで、圧力鍋を簡易なオートクレーブに仕立てて120℃で20分間加圧してみた。

 

 

 ダメもとのためしなので、アルミ箔で雑に包んで高圧加温滅菌する。

 

 最近の圧力鍋の中には120℃付近まで上がるのがちらほらある。我が家の鍋を買った時にこれで滅菌できそうと考えたのをふと思い出した。まさか実際やるとは思わんかったが。

 

 加熱が終わってから中をみてみると、これまた特に問題なし。

 

 

 わずかに白いホルダーのカニ爪の根元が曲がった?って程度だけど、ただそれだけ。プラ表面も滑らかで変わりなく、ホルダーの柔軟性も同様なので、変形プラがレンズにダメージを与えるということもなさそう。

 

 ダメもとでやったけど、ご家庭オートクレーブも結構いけるのかも。

 毎日のケアのためにやるには、手間やプラ変形リスクの蓄積もあるので現実的ではないが、今まで使ってきた道具をいざという時に備えて長期保管するための前処理としては気持ち的に良かろうという感じ。

 最も、バイオフィルム中の菌は死ぬが、既に形成された有機物のフィルムそのものは残留する可能性があるわけで、結局は気休め程度だろうけど。

 

 プラ性のケースを頻繁にはちょっと怖いが、スポイトくらいは定期的に加熱滅菌しても良いかもしれない。