前回の続きになります。

 

 

 

 

1925(大正14)年における日本の重大事件についてでした。

 

 

 

 

 

重大事件②「日ソ基本条約」の締結

 

 

 

 

第一次世界大戦に参戦したロシア国内では、戦争が長期化する中、1917(大正6)年に帝政と大戦継続に反対する労働者・兵士による革命が勃発します😲

 

 

 

 

ロシア革命です。

 

 

 

 

ロシア革命の結果、世界ではじめての社会主義国家が誕生し、この国家はドイツオーストリアブレスト=リトフスク条約を結んで戦線からの離脱をはかったのです。

 

 

 

 

これにすばやく反応した資本主義国家であるイギリスフランスアメリカなどの欧米諸国とともに、日本も革命下のロシアに干渉戦争をしかけるべく出兵します。

 

 

 

 

シベリア出兵です。

 

 

 

 

しかしこのような干渉戦争にもかかわらず、1922(大正11)年15の共和国からなる多民族国家として、ソヴィエト社会主義共和国連邦が成立したのです。

 

 

 

 

ロシア革命の影響で共産主義の影響力が増大し、1922(大正11)年7月堺利彦山川均(ひとし)らによって日本共産党が、コミンテルンの日本支部として非合法のうちに結成されています。

 

 

 

 

堺利彦は、明治時代~昭和前期の社会主義者です。

 

 

 

 

社会主義結社である平民社を結成し、週刊『平民新聞』を発行して日露戦争に対する非戦論と政府批判を展開した人物として知られています。

 

 

 

 

山川均堺利彦同様社会主義者です。

 

 

 

 

妻は、第二次世界大戦後に新設された労働省初代婦人少年局長に就任したことで知られる山川菊栄(きくえ)になります。

 

 

 

 

そしてコミンテルンとは、ロシア革命を世界に広めるため1919(大正8)年3月に創立され1943(昭和18)年5月まで存在した国際共産主義運動の統一組織で、共産主義インターナショナルの略称です。

 

 

 

 

日本共産党非合法とはいえ結成されている状況は、ソ連の社会主義思想が日本にも流入してきていることを意味しています。

 

 

 

 

資本主義国である欧米列強がシベリア出兵を実行してまで防止したかった社会主義国家誕生でしたが、1922(大正11)年にソ連が成立し、こののちイギリスイタリア中国などの列国によってソ連の存在が承認されていきます。

 

 

 

 

こうした状況下にある中で、日本もソ連と国交を樹立する方針が打ち出されることになり、1925(大正14)年1月に「日ソ基本条約」が締結されることになったのです。

 

 

 

 

日ソ国交樹立における最大の懸案事項は、「共産主義思想の波及」だったことは言うまでもありませんでした。

 

 

 

 

ですから、日本政府はソ連との国交開始に先立って急いで治安維持法を成立させたのです。

 

 

 

 

 

みなさんは、「マルクス主義」という考え方を知っていますか

 

 

 

 

マルクス主義」は、資本主義社会をブルジョアジー(資本家階級)とプロレタリアート(労働者階級)の対立としてとらえ、プロレタリアートの勝利によって無階級社会を実現していかなければならない❢❢としているのです。

 

 

 

 

この「マルクス主義」に基づいたコミンテルンの日本支部である日本共産党が目指したものが、君主制の廃止・大地主の土地没収とその国有化・8時間労働制の実現など、プロレタリアート独裁の確立でした。

 

 

 

 

マルクス主義理論はしだいに知識人・学生らの心をとらえるようになり、東京帝国大学の学生を中心に結成された思想団体である「東大新人会」なども、マルクス主義の研究・実践活動の団体としての性格を強めていくことになりました。

 

 

 

 

このように見てくると、為政者(いせいしゃ:政治を行う者)側にとって、どれほど共産主義が脅威だったのかが見えてくるのではないかと思います。

 

 

 

 

 

「普通選挙法」の成立「日ソ基本条約」の締結という2つの事件は、日本国内に共産主義思想が拡大・浸透していく重要な契機であると、日本の為政者に強く認識されました。

 

 

 

 

こうした事態をあらかじめ防止するためにも、日本政府にとって治安維持法を制定することがどうしても必要だったのです。

 

 

 

 

第二次世界大戦後の1945(昭和20)年10月に廃止されるまで生き続けた日本国民の弾圧法規は、こうして誕生したのでした。

 

 

 

 

 

歴史は「なぜを問う」学問です。

 

 

 

 

みなさんも「なぜ」を追って物事を深く考えてみませんか😊