日本史の考え方100テーマ目を迎えることができました。

 

 

 

 

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さてみなさんは、治安維持法という法律を知っていますか❓

 

 

 

 

 

第一条 国体ヲ変革シ、又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ、又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ、十年以下ノ懲役又ハ禁錮(きんこ)ニ処ス

 

 

 

 

現代語訳

 

 

 

 

第一条 天皇制や資本主義を否定する目的で結社を組織し、または内容を知って加入した者は、10年以下の懲役(刑務所内に拘置して労役に従事させる)、または禁錮(刑務所に拘置する)にする。

 

 

 

 

 

上記に掲げた史料はあまりにも有名な条文ですが、この法律で「国体(=天皇制)の変革」または「私有財産制度(=資本主義)の否認」を目的とする結社に関わる行為を厳しく禁止しています。

 

 

 

 

1924(大正13)年松方正義西園寺公望2人元老(げんろう)は、枢密院(すうみついん)議長であった清浦奎吾(きようら けいご)を首相に推薦します。

 

 

 

 

枢密院とは、大日本帝国憲法下における天皇の最高諮問(しもん)機関です。

 

 

 

 

諮問とは、有識者や特定機関に意見を求めることです。

 

 

 

 

 

元老により選出された清浦奎吾が、陸軍大臣海軍大臣を除く全閣僚を貴族院から選出すると、憲政会(けんせいかい)・立憲政友会(りっけんせいゆうかい)・革新俱楽部(かくしんくらぶ)の3党は、政党政治を実現させるべく憲政擁護運動と呼ばれる政治運動を展開します。

 

 

 

 

この後、帝国議会が解散され総選挙が実施されますが、憲政会立憲政友会革新俱楽部のいわゆる護憲三派が圧勝するのです。

 

 

 

 

総辞職した清浦奎吾内閣にかわって、衆議院第1党憲政会総裁であった加藤高明が、3党の連立内閣を組織することになります。

 

 

 

 

これが、護憲三派内閣です。

 

 

 

 

この護憲三派内閣によって、治安維持法が制定された目的は一体何だったのでしょうか❓

 

 

 

 

さて今回は、治安維持法制定に関する歴史を深めてみたいと思います。

 

 

 

 

 

 

治安維持法が制定されたのは、大正末期の1925(大正14)年です。

 

 

 

 

じつはこの1925(大正14)年という年は、日本にとって重大事件が起こった年であることを忘れてはいけません。

 

 

 

 

重大事件①「普通選挙法」の成立

 

 

 

 

これまでに存在した納税資格要件を廃止し、一定年齢以上の国民に選挙権が与えられることになりました😊

 

 

 

 

衆議院議員選挙法が改正され、25歳以上30歳以上の「帝国臣民タル男子」にそれぞれ選挙権、被選挙権が与えられたのですが、女性や植民地の人々はこの選挙制度から除外されていました。

 

 

 

 

大日本帝国憲法下では「国民」ではなく、「臣民(しんみん)」の用語が使用されていました。

 

 

 

 

この衆議院議員選挙法改正は、どのような事態を引き起こすと想定されたのでしょうか❓

 

 

 

 

みなさんはお分かりになりますか

 

 

 

 

 

選挙権における納税資格要件が廃止されたということは、選挙権が富裕者などによる一部の特権ではなくなるということです。

 

 

 

 

当時の日本に多く存在した低賃金労働者階級が選挙権を持つことになるのです。

 

 

 

 

彼らは、何を要求するのでしょうか❓

 

 

 

 

階級社会と経済格差の是正を、政治を通じて国家に求めるのではないでしょうか。

 

 

 

 

階級社会の是正の要求が、天皇制を否定することにつながる。

 

 

 

 

経済格差の是正の要求が、資本主義を否定し、社会主義や共産主義を求めることにつながる。

 

 

 

 

つまり社会における平等を求めることになるのです。

 

 

 

 

 

天皇制と資本主義」を推進する日本帝国の方針とは正反対のことを求めてくる可能性を持った労働者階級を、治安維持法を制定することで強烈に牽制(けんせい)したのです。

 

 

 

 

のち治安維持法は改正され、反体制運動の関係者をいつでも好きなように取り締まることができるようになるなど、国民生活は国家により極めて厳しく監視されることになるのです。

 

 

 

 

しかし、1925(大正14)年における日本の重大事件は、これだけではありませんでした

 

 

 

 

この続きは次回にしたいと思います😊