第4話〜信念〜
多恵おばあちゃんの家を後にした私は、
彩香の元に向かった。
彩香の家のインターホンを押すと、
弟の聡が出てきた。
「お姉ちゃんいる?」
「今はいないよ、もう少しすると
帰ってくると思うから中で待ってなよ」
それから十数分後、彩香が帰ってきた。
見知らぬスニーカーが玄関にあったので、
さぞ驚いたことだろう。
彩香が私のいるリビングに入ってきた。
「急にどうしたの?」
「この前の返事を伝えようと思って。
あれからいろいろ考えたんだけど、
やっぱり彩香とは付き合えない。ごめんな」
「うん。。。
なんかそんな気がしてたんだよね。
あの時の忠志の目には私じゃない誰かが
映っていたと思うんだ。」
不意を突かれた私はなにも言ってあげることが
できなかった。
「ごめん」
そう言い捨てて彩香の家を飛び出した。
今の私には罪悪感しか残っていないが、
自分で決めた信念に従ったまでのこと。
「前だけ見て進もう」
そう自分の心に言い聞かせた私は、
二日後に迫る入学式に臨んだ。