「白木蓮蕾揃って空仰ぐ」

　読みたいと思っていた小池真理子著　「月夜の森の梟」を読み終えました。

　夫で作家の藤田宜永（よしなが）氏との日々や喪失と向き合う痛みを描いたエッセー。

　「かつて藤田と過ごしていた時に話していたこと、彼の習慣、癖などが自然の森の中の風景と一緒になって、色々な言葉になってあふれてきた。やっぱり書きたい。書いておこうと思った」とのこと。

連載を始めるにあたり、著者は「悲しい、辛いと叫ぶように書くことは絶対にするまい」と決めていたといいます。

「作家である以上、私の中を通り過ぎてきた感情の群れを循環させ濾過（ろか）して、不要な夾雑物（きょうざつぶつ）を全部排して残ったものを言葉にしていこうと思った」。

読者からの反響をすべて読んだという著者は「皆さん、悲嘆や絶望感を覆い隠しながらふだんの日常生活を送っている。100人いたら100通りの悲しみがあるが、悲しみの周波数はみんな同じなのだなと思った」という。

　どちらが先になるかはわかりませんが配偶者を亡くした喪失感、孤独感、そして絶望感は今の私にとって恐怖に近いものです。

だからこの本にはなかなか手がでなかったのです。

　でも、著者が話している通り感情的に辛いとか悲鳴めいたことは一切書かれておらず自分を制して書き込んだのだろうと思います。　そういう意味では私が読む前に感じていた（期待していた）内容と異なっていました。

　悲嘆や絶望感を覆い隠しながら日々を送っている人たち。

100人いたら100通りの悲しみがあるということは納得です。

でも悲しみの周波数はみんな同じと言う意味は私には理解できない。どういう意味なのだろうか。

だれもが世界中で一番悲しいと思い込んでしまうのではないだろうか。

　著者が猫と暮らしているのは有名ですが毛繕いした猫の毛を小さな箱にいれておくと庭に来る小鳥たちがいつの間にか　巣やねぐらに持っていくとのこと。

　毎朝のミミのブラッシング。

今朝、ミミのグレーの毛を小さな木箱に入れて雀たちの餌場の塀の上に置いておきました。

　さて・・ミミちゃんの毛。　役にたつ？

ミミの毛