皆さま、こんにちは。

小学生の部門を順繰りでご紹介しております。

後半戦、３周目に突入しております。

本日は高学年の部です。

今日は日曜日…　じゃないよ。

それでも何の躊躇いもなく、児童書・絵本

２０２２年に指定されていた

第６８回青少年読書感想文全国コンクール、

課題図書をテーマとして順番にご紹介さしあげます。

小学生５・６年生の部門の１冊です。

主人公の男の子ゲイブリエルと

親友の女の子フリータとの友情関係に触れられます。

４年生が終わる終業式から夏休みの間の物語です。

ゲイブリエルが５年生に進級したくないと言い出します。

いじめっ子の上級生と同じ校舎になってしまうからでした。

ゲイブリエルは、基本気が弱い男の子で

他にも苦手なものがたくさんあります。

フリータは、ゲイブリエルの弱虫を直すべく、

ある作戦を考えて行動を共にします。

至ってシンプルなものです。

苦手なものを紙に書き出していって、１つずつ順番に克服するというものでした。

そのリストの中には嫌いな上級生の名前を書いておいて、

他の項目をクリアして自信をつけてから最後に取り掛かることにしました。

フリータもその上級生が嫌いだったんです。

表紙をご覧ください。肌が褐色でしょ。

フリータはその上級生と取っ組み合いのケンカをした経緯があって、

その際、上級生の父親が人種差別ととれる用語をフリータに言ってしまいます。

弱虫なゲイブリエルでしたが、フリータの助けを得ながら強くなっていき、

最後は人種差別の問題に向かっていき、フリータを支えるようになります。

まずは、弱虫を克服していく話から触れていきます。

最初は、嫌いな蜘蛛を好きなることから始めました。

フリータのアドバイス、結構良いんですよね。

蜘蛛に名前を付けて、飼うことにしたんです。

意味も無く偏見だけで嫌うのではなく、

名前を付けることで自ら愛着を持って接するようになって、嫌いではなくなりました。

他にも池に飛び込むことに対しても、

落ちると判っていながらロープに無理矢理ぶら下がらせました。

落ちてしまった結果、それほど怖くなかった。

１回経験してしまえば、それほどでもないことに気付かせました。

また、大嫌いな芽キャベツについても

ある食材を混ぜて食べることで好物になりました。

何を混ぜたかはまた確認してみてください。

私はそんなものを混ぜたりはしませんが、

本人たちにとっては１番合っていたものでした。

自分なりに合う方法でアレンジしていくことを会得します。

フリータもまた克服したいリストを使って取り組んでいました。

取り組むというより、戦っていました。

自信を少しずつ付けてきたゲイブリエルが、

フリータに協力していくその過程で、

ご両親がかつて酷い人種差別を受けていたことを知ります。

ここで、人種差別の問題に触れる内容になります。

ご両親はかつて、

マーティン・ルーサー・キング牧師と一緒に

黒人差別の法律を変える活動をしていました。

その時、白人至上主義のメンバーに襲撃されました。

Ｋ・Ｋ・Ｋ（クー・クラシック・クラン）と称される団体です。

著書が出版された２０２１年でも、この団体は残っているそうです。

フリータはいじめっ子のお父さんに言い放たれた言葉で、

また家族が襲撃にあったり、住処を追い出されたりするのかもと

かつてのトラウマが蘇ってきました。

これは他の弱虫の項目とは比べ物にならない話ですね。

１９７６年の少し昔の物語でした。

ニクソンのウォーターゲート事件といった時代背景も窺えます。

そして、ジミー・カーターが大統領選挙に立候補し、

人種差別を受ける人達の希望になりました。

この物語に関していえば、

ゲイブリエルの一家は白人で

フリータの一家は黒人になります。

少し驚いたのは、ゲイブリエルの一家は裕福ではなく、

一方でフリータの一家は贅沢な生活をしています。

しかし、生活が苦しいはずの

ゲイブリエルのお父さんは息子に対し、

人種差別なんかあってはならないと、

本来あるべき正しい教えをしています。

お父さんなりの解釈として、

世界には良い物が少ししかなくて、

だから自分達だけのものにしたい、

別の人達が入ると分け前が減ってしまうと、

人種差別が起きてしまう理由を子どもにこのように説明をしています。

ゲイブリエルは、お父さんの言葉を通じて、

困難なことから逃げてしまうと

大切なものまで失ってしまって取り返しがつかなくなると受け止めます。

ここでいう大切なものとは

「誠実でいるという信念」「仲間から受ける愛」でした。

苦手を克服し、社会問題と向き合った経験を通じて

ゲイブリエルは成長しましたよ。

ちなみに、最初に飼うことになった蜘蛛は

「ジミー」と名付けられていました。

( *´艸｀)

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いかがでしたでしょうか。

明日から最終周となります。

低学年の部からのご案内となります。

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Ｋ・Ｌ・ゴーイング 作 久保陽子 訳 早川世詩男 絵 「ぼくの弱虫をなおすには」

Ｋ・Ｌ・ゴーイング作　久保陽子訳　早川世詩男絵　「ぼくの弱虫をなおすには」