当日

彼を迎えにいった。

不機嫌そう。
助手席に乗るなりシートを倒して
靴を脱ぎ足をダッシュボードの上へ
ドンと伸ばした。

「俺ついていってその間何してたら
いいの?終わるの何時?
わざわざ仕事まで休ませて。
てか金ねーから今ある分とりあえず
全部出すから立て替えといて。
残りは来月払う。」

そう言って32000円渡された。

いや、全然足りてない。
ましてや当日言うことではないし

それより何より…


彼ってこんな人だったっけ?


私の運転でクリニックへ。
同意書も判子を押していなかったので
途中店で買って。
本当にだらしがない人だなと思った。


クリニックへ着いたが
彼はおりないと言った。
俺がおりてもただ待つだけだから
車で待ってると。

私1人で院内へ。
すぐ診察室へ通された。

「中絶でよろしいですか?」

「はい」

「最後にエコーで診察してから
手術の準備に入ります。
内診室へどうぞ。」

内診台へ乗って診察を受けていたのだか。
先生から

「普段はもう中絶の方にはエコー画像を
見せたりしないようにしていますが
あなた同職ですよね。
ちょっとこの前は小さすぎて
わからなかったんですが
これをちょっと見てください」

エコー画像を映し出すモニターを
先生の方から私が見える向きへ
変えてくれた。

すぐにわかった。


「びっくりしたね。双子ちゃんでした。
どうする?今本当にもう決めてしまって
大丈夫ですか?」










「ちょっと、、、
ちょっと考える時間はありますか?
頭の中が真っ白です。」

「別の処置が入っているので
5分10分くらいしか時間はないけど、、
帰って考え直してもいいよ」

「ちょっと相談してみます…」


そう言って診察室を出た。
そして車で待っている彼のところへ。

車がない。
いない。

LINEを開くと

『車の中暇だからコンビニで
立ち読みしてるー!!』

『クーラーガンガンで寒いなう』




。。。恐ろしいほどの温度差。

彼に電話した。


「もしもし、診察終わったんだけど
双子だったみたい。どうしよう」

「双子だから何?もう堕ろすって
決めてきたんだから1人も2人も
変わらなくない?
え?予約してるのにやめるの?」

私、どうやらとんでもない人と
一緒にいたみたい。

「いや、、そうだよね。
ただ中絶って殺すのと同じだから
それが2人もだなんて、、
いいや、わかった。」


そう言って院内へ戻って
受付の方へ
今日で大丈夫ですと伝えた。

すぐに看護師さんがきて
待機する病室へ通された。