二つ折り財布の御注文を頂きました。

使用した革はイタリアンレザー・アリゾナのリスシオです。

通常のアリゾナはシボ（細かなシワ）がありますが、こちらは無染色でシボの無い仕上げです。

しっとりして柔らか目の手触りが心地よい感触です。

御客様からナチュラル系の革を使って欲しいとの御注文だったのでナチュラルの中で個人的に一番好きなこの革を採用させて頂きました。

また、ステッチは私自身が染色したものを使っております。

薄めの染色は染料の濃度や染色時間の調節がとても難しいのですが、このステッチはアリゾナ・リスシオと同じ色に染める事が出来ました。

経年変化で革の色が変わっていくにつれてステッチの色が際立ってくる小粋な仕様です。

内部はこのような構造です。

左側にカードポケットが４枚分有ります。全てヘリ返しで作ってあり、最下段には御客様の御名前刻印入りです。

また、上から二段目のポケットのみ、アリゾナ・クラストを用いています。

これは無染色・シボ有りの革で良く見ると他の部分とは表情が異なります。

作り手の遊び心として仕込んだものです(^^)

その裏側もポケットになっておりカードを数枚収める事が可能です。

右側には小銭入れです。

今回はマチや小銭入れの胴体部分も革を貼り合わせて床面（革の裏面）が露出しない構造にしています。

これは小銭入れ部分に限らず、全てのパーツを貼り合わせて作っています。

制作中の画像です。

この小銭入れ部分ですが、マチの縫い付けを表と裏で同じ位置にし、正面から見たときに余計なステッチが見えないようにしています。

また下部は折り返して縫い合わせる事で小銭が挟まる事を防ぎ、カブセの部分は御財布を傾けて中身を確認する際に小銭のストッパーとして作用する構造にしています。

以前からずっとこの作り方ですが、すっきりした見た目で手縫いならではの独自の構造です。

細かい工夫の積み重ねですが、使って頂ければ他の財布との違いが良く分かると思います。

その小銭入れの裏側には御客様の御要望で免許証入れのスペースを設けてあります。

札入れは一箇所です。

ベルトとループには革の芯材を仕込んでボリューム感を出し、同時に耐久性の向上も図っております。

コバはほんの少し染料を使い繰り返し磨いてあります。このアリゾナ・リスシオはコバを綺麗に仕上げるのが他の革より難しく、いつもより時間を掛けてじっくりと仕上げました。

各部のステッチは革の表面より沈ませて摩擦によるダメージを防いであります。

アリゾナの柔らかな感触と控え目なツヤが伝わってくる画像です。

今回御注文頂いた御客様とはバイクで鹿児島県本土最南端の佐多岬を御案内した縁で知り合いました。

私の工房は鹿児島県最北端にあるのですが、ゆっくり走っていたとはいえ到着まで６時間程も掛かってしまいました。

しかしながら帰路で見た沈みゆく夕陽は忘れられない絶景でした。

バイク乗り用のキーホルダーをセットにして納品済です。

R様、この度は御注文頂き有難う御座いました。
また是非鹿児島に遊びに来て下さい(^^)

そして先日より御好評頂いているカフェ・サンデイズシスコさんとのコラボキーホルダーも増産中です。

革の在庫状況により一点限りになる場合もあるので気になる方はお早めにお買い求め下さい。

今回はこちらのキーホルダーのステッチも全て自分で染色したものです。

勿論手縫いでコバはきっちりと磨いてあります。経年変化を楽しめるタンニン鞣し革のみを使用しています。

オーダー品の納期は4～6週間程度です。

詳細はreilather@gmail.comまで御問い合わせ下さい。

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