火にまつわる話は子供の頃から、父からよく聞いていました。父はそれを狐火と呼んでいましたが、所謂火の玉のようです。

子供心に、ヒトダマというものがあるんだとイメージしていました。


もう一つ、火にまつわる話。

私のお花のお師匠さんの先生から聞いた話です。


嫌な話ですので、読みたくない方は飛ばして下さい。

先生の義姉さんがまだ若いのに亡くなった話です。義姉さんとは先生の嫁ぎ先のお兄さんの奥様です。義姉さんは優しく綺麗な方だったそうです。


義姉さんが居間のソファの陽当りの良いところに布団を干していたとき、布団が日光に当たり、そこから火がついたそうです。

あり得ない話です。

義姉さんはその火を見つけ、パニックになったのだろうと思います。火を消そうとその布団の上に、身を呈して覆い消そうとしたのでした。

火は消えず、義姉さんはかなりのヤケドを負い、救急車で運ばれたそうです。

義姉さんはそれから数ヶ月、入院治療後、退院の見通しもたち、明日には退院かと言うときに、突然に入院中に亡くなったのだそうです。

さて、先生は、お姑さんの話をされました。なかなか、むずかしい方で嫁としては先生も義姉さんも苦労されたのかもしれません。


義姉さんが入院中に先生が、代わりに家事の手伝いに行っていたとき、引き出しの中から写真を見つけてしまったそうです。それはお姑さんが義姉さんの写真にまち針を刺したものだったそうです。


先生は、針を抜いて、写真をまた引き出しに戻したそうです。


義姉さんはその後亡くなったのです。

「お姉さん、綺麗な優しかったお姉さん、、何故急に亡くなったのか、何故布団に火がついたのか、何故あんな大やけどを負ったのか、私は人の思いの怖さを知ったのよ。お母さんはお姉さんに嫉妬していたんだよ。」と言いました。


それから時が経ち、お姑さんが亡くなり、お兄さんが亡くなった時にお兄さんの遺影に、お姑さんの小さな写真も添えたと話していました。


火、水、何れも人の力の及ばぬものです。しかし、人の強い思いが火や水をも動かすことがあるのでしょうか。

私は質問も出来ずに、この話を先生から聞いたのです。