ご家族が「がん」と診断されたあなたへ。
支え続けるために大切な「良い加減」という心の持ち方。
大切なご家族が「がん」と向き合われている、がん家族の皆さん。
毎日、本当に、本当にお疲れ様です。
きっと、ご本人のことを一番に考え、不安や戸惑いと向き合いながら、ご自身のことは後回しにして、懸命に日々を過ごされていることと思います。
「私がしっかりしなきゃ」
「できることは全部やらなきゃ」
「弱音なんて吐いていられない」
愛する人を支えたいという強い思いから、知らず知らずのうちに、ご自身の心と体に大きな負担をかけてしまってはいないでしょうか。
私自身も、家族の経験を通して「それまで当たり前だと思っていた健康は、決して当たり前ではなかった」と痛感した一人です。
だからこそ、今あなたが感じている張り詰めた空気や、言葉にできない重圧を、少しだけ想像できる気がします。
ご家族のサポートは、短い距離を全力で走り抜ける短距離走ではありません。
これから先も、様々な状況の変化に対応しながら、一緒に歩んでいく長い長い道のりです。マラソンのようなもの、と言えるかもしれません。
だからこそ、何よりも大切なのは、支えているあなた自身が「走り続けられる」状態にあることです。そこで、ぜひ意識していただきたいのが、「良い加減」を見つける、という心の持ち方です。
これは、手を抜くということではありません。
完璧なサポートを目指してご自身が燃え尽きてしまうのではなく、かといって何もしないわけでもない。
あなた自身が「これなら無理なく、長く続けていけるかな」と思えるような、心と体の「ちょうどいいバランス」を探していくことです。
あなたが心身ともに健康でいてくれること、あなたの心が少しでも穏やかでいられること。
それが、まわりまわって、患者さんご本人にとって一番の安心と支えになります。
もし、あなたが頑張りすぎて倒れてしまったら、それこそが一番悲しいことですよね。
とはいえ、ご家族のことで頭がいっぱいになっていると、なかなかご自身の「頑張りすぎ」には気づきにくいものです。
「最近、なんだか疲れが取れないな」
「夜、ぐっすり眠れない日が続いている」
「ほんの小さなことでイライラしてしまう」
「ずっと肩が凝っていて、体が重い」
もし、そんな風に感じることがあれば、それはあなたの心と体が発している「もう少し休んでね」「ちょっと無理をしすぎているよ」という、大切なサインかもしれません。どうか、その小さな声を見逃さず、ご自身の状態をチェックしてあげる習慣を持ってみてください。
「休む」といっても、まとまった時間が必要なわけではありません。
ほんの5分でも構いません。一日の中で、ほんのひとときでも、あなただけの時間を持ってみませんか。
例えば、窓を開けてゆっくりと深呼吸をする時間。好きな温かい飲み物を一杯、ゆっくりと味わう時間。そんなほんの少しの「自分をいたわる時間」を持つことが、結果として、大切な人を長く支え続けるためのエネルギーになっていきます。
時には、「これからどうなるんだろう」という答えのない問いで頭がいっぱいになったり、「何もしてあげられない」という無力感に押しつぶされそうになったりする日もあるかもしれません。
そんな時は、そのドロドロとした不安な気持ちや、やり場のない感情を、ただノートに思いつくまま書き出してみるのも一つの方法です。誰かに見せるためではありません。ただ「書き出す」という行為だけで、不思議と気持ちが整理されて、少し冷静になれることがあります。
そして、どうか「何か特別なことをしなければ」と、ご自身を追い詰めないでください。
「何もしてあげられない」と感じるとき、私たちはつい、必死に励ましたり、無理に食べさせようとしたり、頑張らせようとしたりしてしまいがちです。
でも、本当はそうする必要はないのかもしれません。
ただ静かにそばにいて、背中をさすったり、手を握ったりする。
あなたが「ただ、そこにいる」という事実そのものが、ご本人にとっては、言葉にできないほど大きな支えであり、安心感になっているはずです。
ご家族を支えることは、ご自身のことを犠牲にすることではありません。
どうか、ご自分自身のことも、大切なご家族と同じくらい、うんと大切にしてあげてください。