津軽三味線の魅力は何と言ってもその迫力にあると思います。
「叩き三味線」と呼ばれるその奏法は、
撥で力強く、糸と皮を叩きつける、まるで打楽器のような弾き方です。
津軽三味線の名人の中に、叩き撥を極めた人がいます。
その人の名は、
木田 林松栄 (きだ りんしょうえい)
ダイナミックな撥さばき、正確なリズムと音程、完璧な唄付け・・・
津軽民謡の世界に名をとどろかせた人物です。
この本は木田林松栄先生の津軽三味線にかけた人生と
その背景を綴ったもので、私は何度か読みましたが、
今改めて読んでみると、その努力は半端なものではないと感じます。
レコードには木田先生のパワーみなぎる渾身の演奏が
数々残っていますが、何度聞いても圧巻です。
諸先輩からも木田先生の昔話を伺った事がありますが、
そうとうな努力家だったようです。
だからこそ、鋭く、力強く、心をえぐる様な音色を出せるのでしょう。