安倍元首相の急逝、衷心よりお悔やみ申し上げます。
皆様の心的ストレスを拡大させたくないので、この大事件からあえて離れ、
今日こそ、「宇宙一の債務者」について述べようと思う。
前回より、一部の方々から、
「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)が振るわない今、
ソフトバンク・グループ(SBG)が保有するお宝の英アーム株を担保に、
日本円(JPY)を調達。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB261XZ0W2A320C2000000/
それを米ドル(USD)に両替し、SVFにおいて利払いを約束していた
サウジのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)
などLP投資家への固定利払6%に充当するのですね」
というご意見があった。
PIF以外にもUAEさらにはフォートレスという華々しいLPたちの顔がある
プライベート・エクイティ(PE)・ファンドにおける「キングギドラ」は、
確かに胃袋は一つしかなくそのような動きを本年3月末には実施した。
また、
このUSD固定負債充当のために実施されたJPY調達は、
未上場であるARM株の価値が下落しても、
そもそもノンリコースであるがゆえ
調達したSBGが元本を払えない場合は、
担保で収めたARM株以上の責任を追求できない。
すなわち、シンジケートに参加した連中は、
これを組成したバルジブラケット(巨大投資銀行)に
ARM株の価値が下落すれば、元本を確保するために売却をしリスク管理することを前提としている。
バルジブラケットは、未上場であるARM株と連動する上場株式を売却するなどして、
リスク管理を行う。
まさに、コーポレートファイナンスとキャピタルマーケットの芸術とも言える。
(これができるハウスは自己資本の観点からも稀有である)
ただ、PEでのモンスターといえどもSVF1は10兆円規模。
https://group.softbank/system/files/pdf/ir/presentations/2021/earnings-datasheet_q3fy2021_01.pdf
https://s.srdb.jp/9984/content-2-2.html
しかもその内、固定分配分は4兆円で利払いに必要なのは年3千億円を下回る。
(豪勢なファンドマネージャーの人件費はここに含まれない、入れても4千億円程度
Rajeeve 居ないし・・・)
調達をするということは、財務諸表におけるバランス・シートで、
負債が増えるため、資産が増える必要がある。
資産が増えない場合は、資産が毀損していなければならない。
間違いなく毀損している。
それでも、このPE界の「キングギドラ」は、
日銀の月間長期国債買入規模である16兆円に比べても、はるかに小さい。
全額JPY売り・USD買いしても一週間くらいは円安に推移するであろうし、
動いて2円程度の影響しかない。
(大方の人は円キャリーというとあたかも新規で円と調達し売却して、何かで運用しているように錯覚する。そうではないのだ、過去の過剰投融資が毀損し、穴埋めに使っているだけなのだ)
実は、このPE界の「キングギドラ」よりも
はるかに大きな「宇宙一の債務者」が存在する。
(もちろん、この「キングギドラ」の非上場ARM株担保は
より小さな上場株式市場におけるドミノ現象を引き起こしている)
それは、一帯一路でUSD900bio(約122兆円)、
さらには国内高速鉄道で約120兆円。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM013KI0R00C22A5000000/
そして、
国内不動産の不良債権(最大手とはいえ民間の恒大集団だけで2兆元=約40兆円)
に関しては地方政府の債務は未知数、さらには1236兆元=2京2000兆円,
ただし、この数値は2021年末までの想定。)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/91583?page=4
(口に出すことすらも憚れるあのお方)の国では、
年16%の規模で債務が膨張している。
最近では、あの国の外貨準備が減少してきた。
今月、香港返還25周年で突如香港を訪問した主席、
その後、米独立記念日には、今まで試験的でかつ金額も決まっていた
「人民元と香港ドル(HKD)のスワップ協定」が、
常設されかつ上限も無くなった結果
香港金融管理局(HKMA)が有するHKDを
北京政府は引き出したい放題になった。
それでも足りない毀損した過剰投融資、
迫り来る債務利払
(国内では銀行出金を凍結することで対応)
に応じて、
随時自分達の与信が市場に許される間は、
低金利で調達できる流動性の大きな短期金融市場を利用し続けるであろう。
結局のところ、破綻するのは、財源がないからであり、
財源とは、資産(=ストック)のみならず、
持続的に稼ぎ続ける力(=フロー)が中核なのだと
私は改めて認識した。
しかし、このフローが継続しているかのように
見せかけの統計数字や
コンセプトとしてのプロパガンダの流布に対しては
結局のところ、
中立的な第三者の監査・ガバナンスが及ばない限り
信じるに値しない。
すでに
自由資本主義世界では、エンロン・ワールドコム・サブプライムを経て
昨今の純益でもないのに事業の将来・成長を
信じさせるだけで企業価値が評価されたユニコーンとも言われるベンチャーと
散々経験してきたはずなのだが・・・
相変わらず、彼の国に与信提供している。
次回以降に関しては、
宇宙一の債務のブラックホールのストラクチャー構造を解析するか
その「罠」から抜け出す方法において有効?と思われる手法
を記述するか悩んでいる。


