金融市場においては、株式の下落、金利の上昇、20年ぶりの円安水準と大騒ぎが起きているように見受けられる。

 

伝統的な金融市場からはかなりの距離があるが

暗号資産(かつての仮想通貨)においても大きな事象が観測された。

 

 

ステーブルコインとされたUST((TerraUSD)の崩壊である。

(わずか2日の間に99%下落)

 

ちなみに暗号資産とは、日本独特の分類である。

 

背景は以下の通り、

2017年、当時のビットコインバブルで、夥しい数の「仮想通貨」が産まれた。
著名なものでは
①「スピンドル」(発行体:BLACKSTAR、実質的には日本人〜250億円規模?)

 

 

②「オーシャンコイン」(発行体不明、OZプロジェクトなるものあり、集団訴訟〜100億円規模)

 

 

③「クローバーコイン」(発行体:48ホールディングス、集団訴訟 〜100億円規模)

 

 

これらの共通点は、

「何かをやります」という’空気感’?’雰囲気’を「仮想通貨」として、お金を(両替という形態で)集め、多くの被害者を生み出した。

 

ちなみに、世界での最大の仮想通貨集金詐欺は、中国のMLM(マルチ・レベルネットワーク・マーケティング)を使ったもので

「ウォートークン(WoToken)事件」である。

(USD1bio なので@130換算で1,300億円相当)

 

 

このように複数の事件に対して
2018年12月、

金融庁は「仮想通貨の「通貨」という名称が、

日本円などの通貨と混同されかねない」との理由で

仮想通貨の呼称を暗号資産に改めると発表。

2020年5月1日、改正資金決済法により施行。

 

仮想通貨という呼称が、夥しい被害を生むので、

法令を改正し名称も変えたということである。

 

自由国家において、

市民の権利は原則自由であり、

法律は確かに守ってくれるものではあるものの、

同時に何らかの規制を発生させる。

 

改正資金決済法の施行が遅れたと行政や立法を攻める前に、

市民一人一人のリテラシーというか

せめて、

たとえ知人・友人からでも「空気は買わない」

という程度の判断基準は有しておきたい。

 

前振りはともかく、

 

日本では、ステーブル・コインという定義のものは、

厳密には暗号資産には入っていないようだ。

(少なくとも発行は銀行か資金移動業者に限定)

 

 

厳密に言えば、ステーブルコインは、

「発行体の財務状況に影響することなく、法定通貨とその価値が連動するもの」であるべきなのだが、

諸外国で扱われているステーブルコインは、

明確に、「発行体」にその「価値の管理」をおまかせしている場合が多い。

 

先のUST(実態を考えてテラとする)は、
発行体:Terraform Labs(韓国企業)

しかも、

USTはTerra(LUNA)という仮想通貨とペッグさせる形で価格を維持させる無担保型(アルゴリズム型)のステーブルコインとされている。

例として、USTが下落するほど多くのLUNAが発行され、市場で売却される。USTがドルペグを奪還しない限り、負のサイクルは続く・・

 

こんな、訳のわからない主体に、

上のような訳のわからないアルゴリズム(運用方針)に、

よくお金を預けるものだと思うが、

一時は3兆円近くの時価総額があったというのだから驚く。
(そりゃ、マルチやるより効率的か・・・)

 

このテラなるものは、

アルゴリズムで価値を一定に保っているとされていたが、

残念ながらトレーディング能力は低かったらしい。(=一代)

 

ビットコイン(BTC)にも連動しているテラの下落が激しく、

その売却が追いつかなくなり、

結果一ドルの価値を維持できなくなってあえなく崩壊してしまった。

 

仮想通貨の『PayPal』を目指していたようであるが、

少額決済というのは極めて短い時間で決済が完了すべきものであり
(SUICAなどをイメージしていただきたい)

瞬時の市場変動にすら対応できてなかった以上、

製造業であれば「品質不適切事案」として

製造者(この場合は、発行体)本体が、

全責任を取るべき代物である。

 

幸いにも、日本では、厳格に金融庁・財務局による審査により

暗号資産において「発行体」が厳格に審査され、

この様な大量破壊兵器の上陸は阻止されている。

 

一部の方々には、自由度がないとされているが、

ジャングルのような無法な環境よりは

マシだと個人的には思っている。

 

また、先の「アルゴリズム」で価値を維持するように目指す・・・

という根幹も、

そもそも、指標に合わせて運用するというのが、

(誰かに責任を取らせ)

うまくいった試しがない。

 

理由は、「約定可能金額」と指標が一致しないからだ。

この部分は次回に記述するとして、

指標に合わせて運用する主体が発行体でもある場合、

もはや運用者に一任したに等しい。

 

年金に預けることを忌み嫌っている方々が、

こんな「野良」にお金を投じている

自己矛盾を感じないのであろうか・・・

 

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