こんなこと 想い出しながら描いた



ある夜

おふとんの中でじゃれ合っていたら

ケンが木になりたいと言った



このまま 時間も止まって ごはんも食べなくて 何にもしなくて

ふたりで抱き合ったまま 大きな木になりたい

そして 何百年も何千年も そのまま生きるの



って



木になったら どこにも行けないし

おいしいものも食べられなくて

写真も撮れなくて 踊る事もできないし

お話することもできない



目も見えないし 音楽も聴けない

ただそこにいるだけで 自由も奪われる

無心で ただ土に根を張って お空にまっすぐ伸びるだけ



それって 死ぬのと同じこと?



私 死ぬのは怖いけれど

ケンと一緒なら 今すぐ木になってもいいかなって想った



ふたりでぎゅっと抱き合った

この 愛おしいぬくもりの瞬間で 木になれるなら

私も 木になりたい



嬉しいと感じないけど 悲しいとも感じなくていい

ぎゅっと抱き合った 愛おしいぬくもりの瞬間のまま

ただ ふたりで無心に お空にまっすぐ伸びるだけ



青いお空の下で 燦々と陽を浴びて

焦げないように 雨がしとしとと降る



夜になると

真っ黒なおふとんでおおわれたような 暗闇の中で

キラキラと輝く光が ふたりの木を照らしたら



手をまっすぐ伸ばして お星さまをいっこつかみたい





それでね 今日これを描きながら想ったの

ふたりでなるのは フランジパニの木がいいなって

だって 香りがよくて 白くて黄色いお花が次から次へと咲く





ぽろり ぽろり とお花を落として

少女がお耳に花をさして 踊る

ケンとレイのかけらで

少女が踊る

レイも踊れるから



フランジパニって 五枚の花びらの白と黄色のお花

お星さまに少し似てない?

甘い星のなる木

バリの夜風に手伝ってもらって 香りも運ぼう